まちづくり・再開発

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テーマ:市街地再開発の手法が通用しなくなることについて《2015(H27)年3月11日 予算特別委員会》


○志村委員
 次に、市街地再開発についてなんですけれども、この市街地再開発事業というのは採算の見通し、収支のバランスがとれないと成り立たない手法だと思いますけれども、どのような条件になったら採算がとれなくなる、つまり、この手法が通用しなくなるのでしょうか。

○松村地域整備課長
 市街地再開発事業の収支のバランスについてのお問い合わせでございます。再開発事業の収支につきましては、まずは事業費、支出に相当する部分についてでございますけれども、再開発の最初の段階につきましては、計画の策定でありますとか、地権者の合意形成に資する、そういった調査費の計上がございます。また、組合を設立して、いよいよ建物を除却するというころになりますと、それまでの権利者の方々やお住まいの方々の補償の費用でありますとか、建物を解体する費用というのがかかってまいります。また、建物を工事する際、いわゆる工事費というものが出てきます。

 また、あわせて準備組合、それから、再開発組合の中に事務局を担っている方々がいらっしゃいますので、そういった方々の事務費。それから、いろいろな資金を銀行等からお借りするということも含めて利息。そういったものが事業費、支出のほうで構成される要素でございます。

 一方、いわゆる収入側のほうでございますが、基本的には保留床というものを売却して得ていく。その中に公共側の助成金、補助金のほうも一部入っていくという構成でございます。

 こういったバランスの中で、例えば工事費、現在高騰しているところでございます。3割、4割、以前より高くなっている状況でございますので、そういったものをカバーするだけのことを収入側で得ていく必要があるということが出てきますし、一方で、本区ではございませんけれども、地方のようなところにおきましては、今度、保留床の売却について見通しが難しくなってくるというケースも多々あるというふうに聞いてございます。そうなってきますと、かかっている工事費を回収するのが難しくなる、そういったことも事業が難しくなる1つの理由だと思っております。

 以上でございます。

○志村委員
 この収支のバランスがとれなくなると、進めている中でも権利変換というのがうまくいかなくなるというリスクが生まれないのか。バランスが崩れても、現在の居住や営業等の継続が可能なのかどうか、その点はいかがでしょうか。

○松村地域整備課長
 バランスがとれなくなりますと、権利変換にも支障が出てくるものと認識してございます。そうならないように、例えばその権利変換の前におきましては、建築計画を多少見直しまして、建築計画の合理化でありますとか、工事費の削減に資するような工事計画の合理化といった計画上の努力、工夫をしてまいって、支出を減らすというような取り組みを現在でもいろいろな地区でしているところでございます。

 そういった中で地権者の方々の合意がなされるような権利変換計画をつくっていく、そういった取り組みを現在しているところでございます。

 また、いろいろなそういった経済状況のリスクもございますので、なるべく最初の段階においては余裕のある計画をつくるよう、準備組合のほうを指導してまいっているというところでございます。

 以上でございます。

○志村委員
 そういう地権者の中で零細の土地の権利者の方というのは、住めるだけの権利交換がなかなかできないのではないかと。あと、そういう零細の土地の権利者でも権利変換して入居できるような、そういう仕組みはあるのでしょうか。

○松村地域整備課長
 国のほうのいろいろな権利変換の基準等もございます。そういった従前の評価をする中で、従後の評価に基づいて権利変換計画を立てているところでございます。

 以上でございます。

○志村委員
 今、新川のほうでも地上げが行われている場所も幾つかありまして、そういう中で相談を受けている方は、権利変換してしまうと、本当に狭くなってしまうということで悩んでいる方もいます。これだと、泣く泣く売却せざるを得ないのかということで、結局、転出せざるを得ないというような状況も生まれるというふうに思っています。

 それから、賃借人ですけれども、やはり借家権があっても、家賃が前より高くなるということで、再開発されたこのビルで住み続けるということが可能なのかどうか。コミュニティ・ファンドが全てのそういう再開発事業に適用できるとは思わないんですけれども、その点はいかがでしょうか。

○吉田副区長
 大変恐縮ですが、新川地区で私ども大手の再開発事業はやっておりません。民間の事業の中での権利変換の話は私どもの承知するところではございませんので、それは了解していただきたい。

 それから、私どもその立場で申し上げますけれども、先ほど前委員のお尋ねもございましたけれども、私どもは法定再開発事業で公共がかかわる再開発事業において、再開発事業が理由になって転出する人がふえては困るということでコミュニティ・ファンドの制度を開始しておりますので、大変恐縮でございますが、私どもが関与していない民間の開発事業について居住継続ということはいたしておりません。

○志村委員
 区内でいろいろ開発事業が行われている中で、やはりこういう賃借人の方たちも出ていかざるを得ない。湊二丁目の開発でも、吉田副区長はあの開発で泣いた人がたくさんいることを知らないらしいんですけれども、私はこういう賃借人の方たちから相談も受けて、向こうの組合とも話し合いもしながら、しかし、結局は家賃が高くなるということで転出せざるを得ないという方たちが1人じゃない。そういう方たちがいらっしゃるということで、まさに住民追い出しの開発が進められているというふうに思っています。

 こういうことで、バランスがとれなくなると、さまざまな変更もする。そして、そういう中では、事業が変化すれば権利変換等の中での中身も大きく変わってくると思いますけれども、先ほどの工事費、建築費が高騰する。工事費が膨らむということで、先ほどいろいろな努力もするということですけれども、そういう努力というのは地権者の方たちの負担をなしに進めるということを前提にさまざまなそういう工夫をしていくということなのかどうかお聞かせいただきたいと思います。

○松村地域整備課長
 先ほど申し上げましたいろいろな工夫につきましては、権利者の皆様のもともとのそういった合意について変更しないように工夫するということを区のほうから指導しているところでございます。

 以上でございます。

○志村委員
 そういう中で、どこまでできるかということもありますけれども、湊二丁目の東地区の事業で、おととしの暮れですけれども、建設費の高騰が理由と聞いておりますけれども、その計画がしばらくストップして、年明けて3カ月ぐらいで動き出しました。そういうことで、この事業が再開できたその理由は何だったのでしょうか。

○菅沼副参事(都市計画事業・特命担当)
 湊二丁目東地区につきましては、今、委員の御指摘のとおり、工事の高騰のあおりといいますか、影響を受ける形で、組合側と特定業務代行者である大成建設側が綿密な事業フレームの再チェック、再点検をした上で、ほぼ現在の水準に、これまでの水準、権利変換を守る水準でリスタートを切れるんだという形の話し合いを重ねた結果、また無事に着手できたというふうに伺ってございます。

 以上です。

○志村委員
 国からの援助というのが行われていたと思うんですけれども、その点はいかがですか。

○菅沼副参事(都市計画事業・特命担当)
 さまざまな工夫という中に、今、御指摘の国が新たな工事費の高騰ベースを補完するような形の補正予算を組んだ部分での補助金の導入はしてございます。

○志村委員
 この当時の年末の閣議決定でそれが急遽決められたわけですけれども、それは資材とか人件費、建設費が高騰したことに伴って、進んでいる事業がとまらないようにということで国が助け船を出したわけだと思います。

 ですから、これは今、当たり前のように建設費が高騰して、そういう中では、例えば収支のバランスがとれなくなったというときにはもうこの税金の投入というのは通用しないというようなことですから、本当にこの収支のバランス、採算の仕組みというのが大変重要になってくるというふうに思います。

 そういう中で、先ほどもこのバランス、採算の仕組みの中での保留床の部分がありました。ですから、この保留床というものをちゃんと計画どおり売却できなければ、そのしわ寄せが支出のほうに回ってくるということになるわけですけれども、今、マンションの賃貸市場の状況を見れば、需要と供給のギャップが拡大していると言われています。いわゆるマンションの供給過多、マンションのほうがたくさんつくられているということが言われております。

 国立社会保障・人口問題研究所が2013年に発表した推計によると、日本の世帯総数は2019年の5,307万世帯でピークを迎えて、35年には4,956万世帯まで減少すると見込まれる。この2019年を境に不動産は縮小マーケット時代に突入する、この19年ごろに住宅の建設需要がピークアウトするという、そういう指摘が専門家たちから共通して挙がっています。

 この世帯数の減少による供給過多、マンションの供給過多という問題について、区はどう考えているんでしょうか。

○松村地域整備課長
 日本の人口が減り始めまして、また、世界のほうも間もなく減り始めるということは認識しているところでございます。日本全体で見回した中で、やはり地方のほうから空き家が多くなってきているというのは私のほうもテレビ等、報道等で把握しているところでございます。

 ただし、本区におきましては、人口が14万人に達する勢いというところもある中で、やはり都心区の利便性を享受するという方々、それから、江戸以来の文化の享受、それから、水際のそういった自然との触れ合い等を含めて、そういった中央区の魅力を感じて希望される方もまだまだいらっしゃるのかというふうに認識しているところでございます。

 再開発事業を通じまして、いろいろなところで需要についてはリサーチしているところでございますけれども、現在、中央区の中で住宅需要が厳しいという話は聞いていないところでございます。

 以上でございます。

○志村委員
 中央区では減らない。ふえるのではないかといっても、結局、全体としてこのように世帯数が減るということは周辺の地域、首都圏であれば、首都圏周辺の空室がふえる。そういう不動産の価格も下がってくるという中で、不動産業界の全体の足を引っ張るということも予測できます。

 この中央区などの湾岸部についてなんですけれども、専門家からは、晴海や豊洲などの湾岸部は、そもそも開発業者たちが頭で設計図を引いたようなまちで魅力が薄い。吉祥寺や下北沢のような、自然に形成されてきた魅力あるまちに比べると価格が落ちるのも早いだろうという指摘もあるわけです。

 また、今のマンションなどが売れているという背景には、住むのが目的でない、外国人を中心とした投資家たちが円安を背景に新築マンションを買いあさっているということであるわけです。

 ですから、総世帯数が減る中で、そのような投資家たちが持っているマンションが賃貸に出されるということによって、都心の賃貸市場というのは完全に供給過多になると言われているんですけれども、その点についての認識はいかがでしょうか。

○松村地域整備課長
 いろいろな情報の中で湾岸地域の魅力がすぐ衰えるのではないかというところもございました。確かに大規模な団地の中でコミュニティが手薄になっていくような団地の中では、いろいろな問題も生じてきているものと思っております。

 今後のそういった開発の中には、住宅づくりに加えて、そういったコミュニティを含めた活動の場をあわせてつくりながら、地域の交流が継続的に続いて、地域の魅力が継続できるようなまちづくりをすることが大事であるというふうに認識しているところでございます。

 また、昨今、海外の投資家が日本の不動産市場に投資をしていくという話も聞いているところでございます。そういった中で、賃貸住宅で供給されるということもあろうかと思っておりますが、需要につきましては、先ほど申し上げましたとおり、本区の利便性のよさから、当面そういった需要は継続するものと認識しているところでございます。

 以上でございます。

○志村委員
 このような中で、今、2019年問題というのが不動産業界で言われております。海外の投資家たちは、結局、自分たちが住むためとか、または、長期的に誰かに貸そうというようなことで買っているのではなくて、売りやすいブランドに目をつけているわけです。不動産に投資をして、そこから利益を上げるということです。

 ですから、オリンピックを今、視野に入れて、円安を背景に買いながら売りどきを見ているというのが今の状況で、その売りどきというのが2019年、その前後だというふうに言われて、この2019年前後で不動産の大暴落が起こって、これが2019年問題と言われているわけです。日本の税制では、取得して5年以内の不動産の売却益は39%の税金がかけられますが、5年以上保有すると、税率は21%に下がる。ですから、投資用にマンションを買った人たちは5年を過ぎると一斉に売り始めるというような状況になるわけです。

 外国人投資家たちが大量に東京の物件を買ったのは2013年から14年ごろと言われております。キャピタルゲインを狙って物件を売り始めるというのは購入から5年後、つまり2018年から2019年ごろというふうになるわけです。

 オリンピック後の値崩れを警戒する人たちが早目に売り抜けようとするこの2019年の問題、このような問題についての不動産の価格の暴落、これが保留床の販売価格への引き下げということにもつながると思うんですけれども、その点の認識はいかがでしょうか。

○吉田副区長
 再開発事業という事業自体も、現実に今の日本の状況の中で、正直、都心の港区、中央区、それから江東区の一部で成立する事業であって、また、この中央区においても現実の問題として、つくれば売れる、つくれば貸せる、そういう状況はリーマンショック後はない。このまちをどういうふうにつくっていって、どういう環境づくりをするんだ。このまちでどういうふうにして、まちの経済と住民の生活の豊かさをつないでまちづくりとするのか。つくれば何でも売れる、貸せるという時代ではないということは我々はもう十分承知している。

 その上で、かつ、大変残念なことに、これは現実にそうなんだけれども、マンション自体の価格について言えば、中古のマンションであっても、中央区のマンションは値崩れしない。しかしながら、町場の10坪や15坪の土地は、例えば東京駅前であっても10坪の大きさ、15坪の大きさというだけで、実は売れていない、売れない。

 だからこそ、逆に言うと、住民の方々は自分の資産を守るためにそれでは共同化して再開発しようかというようなことで、再開発を考えてくれというような方向に今、町場はなっている。

 その中で、かつ保留床の問題については、やはり昔と違って、つくれば売れる、つくれば貸せるという状態ではないから、そこのところに何を持ってきて、何をまちとしてつくっていくんだということを十分検討しながらまちづくりというものはやっている。そういう状況でございます。

 ですから、大変恐縮ですが、先ほど御引用がありました環境建設委員会のときのお話についても、再開発事業を区役所が地元に持ち込んで、住民の方々を苦しめているような御発言がございましたので、そういうことはないんだ。まちの実況の中で住民の方々が自分たちの生活を再建するために、住民の人たちが自分の資産をキャピタルとして再開発事業の中に参加してきて、その人たちが主人公で進めているのであって、私ども区役所はそのサポートをしているだけですから、そこのところを誤解しているようなので、御訂正を申し上げただけでございました。

 常に我々としては主人公は区民なんです。このまちづくりの主人公は区民なんです。その区民の人たちが、私たちはこういうことを考えたいんだけれどもどうだろうかというお話があるから、私どもそこへ出かけていく。そういうことなわけですから、逆にその辺は十分御理解いただきながら、かつ、我々も委員が御研究になっているような不動産のさまざまな情報についてはあらゆるベースで知っておりますから、そういうことを工夫させていただきながらやらせていただきたいというふうに思っています。

○志村委員
 前半の吉田副区長の答弁を聞いていたら、ああ、いい方向に行くかと思ったら、結局は後のほうはこれまでどおり進めますということで、砂上の楼閣を追い求める、そういうのがありました。

 再開発の勉強会をする中で、こういうやり方、ああいうやり方、これだと時間がかかります、これだと自己負担になります、自己負担なくて早くできる、こういうのが再開発事業ではないですかという、そういう誘導している実態をやはり見なくてはいけないと思います。

 吉田副区長が最初に言っていたようなまちづくりをすれば黄金時代になるかもしれないけれども、今の話を聞いて、やはりこの黄金時代どころか、暗黒の時代に進んでいくというふうに思いました。建設費の高騰、そして、先ほどありました幾つかの要因による不動産の大暴落が起これば、中央区だけが高く売れるという状況もない。やはり専門家の人たちもそういう、先ほど湾岸部の指摘もありましたけれども、こういう中で保留床の売却、販売価格の引き下げなどのツケは結局は住民に回される。移転補償の引き下げとか、こういう権利書の価格の引き上げなどを通じて、結局は、いろいろ変更したとしても、住民のほうにツケを回されるという状況になってしまいます。

 こういう中で、結局多数の住民が再開発事業によって追い出されるということはこれまでも経験済みですし、これも必至です。成長戦略が破綻して、こういう不動産の価格崩壊が起これば、これまでの都市計画の手法が一挙に崩れるとともに、建てられた高層住宅でも空室が増加していくと思います。オリンピックをてこにつくろうとしている黄金時代は1964年東京大会の日本橋の上の高速道路のような、そういう負の遺産、これを中央区中に残すことになると思います。巨額の投資をしても、東京全体の経済を浮揚させる効果はなく、むしろ施設維持負担が重くのしかかる危険性が高いと言われている中で、黄金時代だと思ってこれまでのようなまちづくりを進めていけば、実はバブル景気がはじけるような暗黒時代に突入するだろうと思います。

 いま一度立ちどまって中央区のまちづくりのあり方を考え直すときが来ているのではないでしょうか。中央区に求められるまちづくりは、中央区の事業所の大半を占める小規模企業と、地域コミュニティを大勢にする地域産業振興、商業振興と区民生活が結合した人と環境に優しいまちづくりだと考えます。

 以上の意見を述べて私の質問を終わります。

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