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安倍政権がねらう教育委員会制度の改悪に関して、中央教育審議会(中教審)が示した案とは別の案を自民党が検討していることが7日までに分かりました。教育行政を決定する「執行機関」としての立場は教育委員会に残す一方、教育委員長と教育長(事務執行責任者)を兼ねる「代表教育委員」を設けて、地方自治体の首長が任命・罷免します。 |
教育・学校
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中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の教育制度分科会は10日、首長を教育行政の執行機関とし、教育委員会を首長の付属機関とする答申案を、強い反対を押し切って決めました。13日の中教審総会で決定し、答申する構えです。 答申案は現在の教育委員会制度について「スピーディな対応ができず、危機管理能力が不足している」と決め付け、首長が任免する教育長を通して教育行政を支配するという大改悪を打ち出しました。 教育委員会制度の見直しは、安倍内閣が設置した教育再生実行会議の提言(4月)で首長の権限を強化するよう求めていたものです。 教育委員会は現在、教育方針の決定や教科書採択を行う合議体の執行機関。その下に置かれた教育長が具体的事務を行っています。 答申案は首長を執行機関とし、大綱的方針も首長が策定するなど、教育行政に関する権限を首長に集中。教育委員会は首長の「特別な付属機関」となって審議などを行うだけとなります。学校の設置や管理、教職員や事務局職員の人事、教育内容、教科書の採択など一切の教育行政は、首長が直接、任命・罷免する教育長が行うことになります。 一方、答申案には、反対意見を反映し、教育委員会を執行機関として残す「別案」も掲載されました。 「その時々の権力が都合のよい教育をしてはならないことは歴史が示している」などの反対意見が討論の最後まで相次ぎましたが、小川正人分科会長(放送大学教授)は「一任していただきたい」と討論を打ち切りました。 解説 意見聴取で懸念相次ぐ 今回の答申案は、戦後の民主主義の柱にすえられた教育委員会を実質的に解体するものです。17回に及ぶ中教審の議論や関係者への意見聴取では毎回、首長権限の強化に対する懸念が相次ぎ、合議制の執行機関として教育委員会を存続すべきとの声があがりました。 教育委員会は、数人の教育委員が合議し、その地方の教育に関する事柄を決めるという合議制執行機関です。合議は、さまざまな見解がありうる教育を、首長や地方議会の多数決で押し切らずに、広く民意を反映させていくための戦後民主改革の一つです。それを廃止することは重大な問題と言わなければなりません。 教育行政を首長の直轄とすることで、すでに東京や大阪で横行しているように、政府や首長の意向に沿った教育介入が教育現場に持ち込まれ、異常な競争主義など日本の教育のゆがみをいっそうひどくすることは明白です。 教育委員会は戦前の軍国主義教育の反省から、首長による支配を排し、住民による合議体の執行機関として発足しました。しかし、教育委員の公選制の廃止など教育委員会の機能を十分に果たせなくしてきたのが、戦後の自民党の教育行政です。改革をいうなら、戦後の原点に立ち返って教育委員会制度を住民本位に改革することこそ必要です。 こうした背景には、安倍晋三首相が私的諮問機関にすぎない教育再生実行会議の提言の具体化を猛スピードで進めていることがあります。道徳の教科化、教科書検定制度の見直しなど戦争できる国づくりと弱肉強食の経済という国策に従う人づくりを進めるための先がけが教育委員会「改革」です。 「しんぶん赤旗」2013年12月11日(水)より
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中央教育審議会(文科相の諮問機関)の教育制度分科会は10日、「今後の地方行政の在り方について」の「審議経過報告」を審議しました。数日中にまとめます。 同分科会が示した方向は(1)首長を執行機関とし教委を首長の付属機関とするA案(2)教委を執行機関とするが現行よりも権限を縮小するB案―の2案。 A案は、教委が首長の付属機関に格下げされ、勧告などしかできなくなり、その時々の首長の意向でストレートに教育行政が動かされる仕組みです。 B案では、教委は執行機関の性格を維持しますが、基本方針など限られた事項について審議・決定するものです。教委の権限について、基本方針のほか教科書採択などをあげる一方、「首長の意向を反映しやすくするため、教育長の罷免要件を拡大することや、教育長の任期を現行の任期(4年)より短縮することも検討する必要がある」としています。 現行制度では、教委は首長から独立して教育行政を執行する機関。2案は首長や教育長の権限を強化するものですが、住民や教育関係者の意向の反映や、子どもの命にかかわる事態への迅速な対応など、求められている改革方向はありません。 同分科会は今後、関係団体のヒアリングを経て、具体的な制度設計を検討し、審議のまとめを中教審本体に提出する予定。中教審は年内にとりまとめて文科相に答申し、政府は来年1月の通常国会に教育委員会「改革」法案を提出する予定です。 解説 求められているのは住民目線と憲法理念 もともと教育委員会は1948年、戦前の軍国主義教育の反省に立ち、教育行政を首長の一般行政から独立させ、教育を権力支配から守る制度として発足しました。しかしわずか8年後の1956年、自民党政権が現行制度に改悪。重要な役割を担う教育委員の住民公選は廃止され、多くの教育委員会が国の意向に忠実な上意下達的な組織となり、政府でさえ「形骸化」(1986年臨教審答申)を認めるほど行き詰まっていました。この間のいじめ自殺への隠蔽(いんぺい)的対応もその一つです。教育委員会の民主的改革は喫緊の課題です。 ところが今回の方向は民主化ではなく、教育委員会を首長の下に組み込もうというものです。とくに自民党教育再生実行本部の主張に近いA案では、教育委員会は方針決定の権限を失い、首長の付属機関に格下げされ、教育行政は首長直轄となります。中教審の議論でも「市長、知事の顔色を見ながら校長が学校運営する、こんなことになったら教育の最も大事なところが死んでしまう」と懸念の声があがりました。 教育委員の合議で方針決定する現行制度は、教育への乱暴な権力支配への一定の歯止めです。橋下徹大阪市長による職員への違法な「思想調査」は、教育委員の反対で教育職員には実施されませんでした。松江市での「はだしのゲン」排除問題は教育長の独断で行われ、教育委員の合意がなかったとして撤回とされました。その歯止めを失うことは重大です。 問題の背景には、改悪教基法の具体化に固執する安倍政権の姿勢があります。教育の権力支配を無制限にする改悪教基法にそって教育制度を改変しようというものです。審議のあり方も、まず安倍首相の教育再生実行会議が教育委員会を「審議」機関とするなどの枠を決め、国の正式な審議会がその枠内で検討するという異例なものでした。首長や教育長の暴走への歯止めをなくす構想をゴリ押しすることは、広範な教育関係者との矛盾を深めることになります。 教育委員が、住民の目線で子どものことを考え、その自治体の教育方針や事務局の日常業務をチェックするとともに、憲法や子どもの権利条約の理念を教育の分野で具体化する役割を果たすなど民主的改革こそが求められています。 「しんぶん赤旗」2013年10月11日(金)より
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文科省は中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の教育制度分科会で10日、教育委員会制度「改革」について四つの案を示しました。それによると、教育委員会は首長または教育長の付属機関とされる一方、首長が任命する教育長を「教育行政の責任者」と定めて権限を集中します。教育委員会が教育行政の責任者となり、首長から独立した合議体としての執行機関(行政委員会)であるという現行制度を根本から大改悪する内容です。 政府の教育再生実行会議は4月、教育長に権限を集中し、教育委員会制度を解体する提言を出していましたが、これに沿う内容です。同分科会は年末の答申へ向けて近く、中間まとめを行う予定です。 現行制度では教育委員の互選で教育委員長が選ばれ、教育長の任命・指揮監督は教育委員会が行っています。しかし、提言は、首長が教育長を直接任命するだけでなく、罷免しやすくする内容です。 四つの案は次の通り。 (1)教育委員会は首長の付属機関。教育長に答申などを行い、事務執行をチェック。教育長は首長の補助機関。 (2)教育委員会は「性格を改めた執行機関」とし、基本方針の審議や教育長の事務執行をチェック。教育長は教育委員会の補助機関。 (3)教育委員会を「性格を改めた執行機関」とするが、教育長は首長の補助機関とする。 (4)教育委員会は教育長の付属機関。教育長に答申などを行い、事務執行をチェック。教育長が執行機関とする。 審議会では委員から「選挙で選ばれた市長だからと民主主義を破壊するようなおごりたかぶりがみられる(事態がある)」と首長の権限強化を疑問視し、「改悪になる可能性が非常にある」との意見があがりました。 「しんぶん赤旗」2013年9月11日(水)より
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全国の計1120市区町村の首長と教育長を対象にした、教育委員会のあり方に関するアンケート調査で、現在の教育委員会が「首長部局から独立していることが首長にとって制約になっている」かどうか尋ねたところ、半数を超える首長・教育長が「そう思わない」と回答したことがわかりました。 調査は村上祐介・東京大学大学院教育学研究科准教授が実施。22日に開かれた中央教育審議会(文科相の諮問機関)の教育制度分科会で報告しました。 教育委員会の独立性を敵視する安倍政権は、首長の任命する教育長に権限を集中し、国と首長による教育への統制を強化する姿勢です。現在、中教審で教育委員会制度「見直し」の論議を行っており、年内に答申を得て来年の通常国会に法案を提出する方針です。 調査結果によると、「教育委員会が首長部局から独立していることが首長にとって制約になっている」かについて、首長の51%、教育長の59%が「そう思わない」と回答しました。「教育委員会が合議制であるため事務執行が遅滞しがちである」かについては、首長の62%、教育長の76%が「そう思わない」と答えました。 「現行の教育委員会制度を廃止して、その事務を市町村長が行う」方向については、首長の58%、教育長の85%が「反対」と回答。一方、「合議制の執行機関としての教育委員会を存続しつつ制度的改善を図る」方向に、首長の57%、教育長の67%が「賛成」と答えました。 教育委員会の独立性を支持する調査結果について、櫻井よしこ委員が「統計は恣意(しい)的に解釈されることが多い」と述べ、「戦後日本の教育は本当におかしい」「納得いかない」と不快感を示しました。義家弘介政務官は「(教育委員会の)無責任な状況が表出している」「責任体制の確立をしなければならない」などとして、「改革」の断行を強調しました。 「しんぶん赤旗」2013年8月24日(土)より
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