軍備・米軍・平和

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 日米両政府は16日、2016年〜20年度まで5年間の在日米軍「思いやり予算」について基本合意しました。11〜15年度分より約130億円増の総額9465億円となる見込みです。

 当初、日本側は戦争法成立や沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設費など日本側の負担増から減額を求めていましたが、米側はアジア太平洋地域に戦略の重心を置く「リバランス」(再配置)に伴う在日米軍の増強などを理由に大幅増額を要求。結局、日本側が屈した形になりました。

 安倍政権は国民には17年4月から消費税率10%への増税を押し付け、医療、年金、介護などの社会保障は大幅に削減する計画です。その一方で、「思いやり予算」は増額するという、国民切り捨て、アメリカいいなり優遇の姿勢を鮮明にしました。

 両政府は今後、「思いやり予算」の支出根拠となる新たな特別協定について細部の調整を行い、来年1月にも署名する見込み。日本政府は次期通常国会に新協定を提出し、現行協定が期限を迎える3月末までの国会承認を目指す構えです。

 今回の合意で、米軍基地で働く従業員の労務費について、日本側負担の対象となる人数を現行の2万2625人から2万3178人に拡大。隊舎(単身兵の宿舎)など基地整備費も毎年度206億円以上を支出することになります。今後5年間の負担額は、年度あたりの平均では約1893億円となる見込み。思いやり予算の大半を占める労務費が人事院勧告で上昇すれば、負担がさらに増える可能性もあります。


「思いやり予算」多額支援は日本だけ
78年度 62億円➔現在 年7000億円超

 「(戦争法成立などの)安全保障環境の変化の下で『見直し』の好機だ」。10月26日、財務省が設置した財政制度等審議会分科会の会合では、在日米軍「思いやり予算」の削減に向けて、こうした意見が交わされていました。

 1978年度、基地従業員の給与の一部(62億円)を負担する形で始まった思いやり予算(在日米軍駐留経費負担)は、日米安保条約上の根拠もないまま90年代後半には年3000億円近くまで膨張。費目も基地従業員の基本給、米兵の娯楽施設や家族住宅、水光熱費、さらに戦闘用の滑走路など拡大していきます。

 その後、金額は漸減していきますが、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をはじめとした在日米軍再編経費などが加わり、在日米軍関係経費の総額は現在、年7000億円を超えました。

 これに加え、9月19日に安倍政権・与党が強行した戦争法の成立で、“日本の軍事分担が増したので、せめて『思いやり予算』を減額させてほしい”―。これが財政審の卑屈な要求でした。ところが、この要求ですら米側に突っぱねられて屈服。減額どころか、今後5年間にわたり増額を受け入れてしまったのです。

 米国の同盟国でこれだけの財政支援をしている国は日本以外にありません。これでは、日本本土や沖縄への米軍駐留の戦略的な意義が失われても、「日本がカネを負担してくれる」というそれだけの理由で米軍は居座り続けるでしょう。

 安倍政権は戦争法によって、米国が海外で起こす戦争に、いつでも、どこでも、どんな戦争でも参戦・支援することを可能にするとともに、沖縄県民の民意を踏みにじって新基地建設を強行しようとしています。その上さらに、日米地位協定上、日本が支払う義務のない「思いやり予算」も増額する―。安倍政権の視線が国民ではなく、米側に向いていることをはっきりと示しました。


2015年12月17日(木)

 ユネスコが「世界記憶遺産」として中国申請の資料を登録した(10月10日)ことで、話題となった日本軍による南京大虐殺事件(南京事件)。1937年12月13日の南京入城を前後し、南京攻略戦と占領時に日本軍がおこなった戦時国際法・国際人道法に反する、中国の軍民への不法残虐行為です。日本軍関係者の資料を中心に南京大虐殺を見てみます。(若林明)

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 安倍晋三首相は記憶遺産への登録に、「遺憾」を表明しました。菅義偉官房長官は、登録を不満としてユネスコへの拠出金停止や減額を検討するといい、馳浩文部科学相が記憶遺産制度の「改善」を求めました。

 日本政府が10月のユネスコ会合に同行させた高橋史朗明星大学教授は「『南京大虐殺』の歴史捏造(ねつぞう)を正す国民会議」の呼びかけ人の一人です。同会の「声明文及び要請文」(10月23日)は、記憶遺産登録について「歪(ゆが)められ捏造された歴史『事実』を登録承認したことに、強い憤りと危機感を抱く」と、「南京事件否定論」を述べています。

 しかし、南京大虐殺は、「捏造」どころか、学問上も、国際的にもみとめられた歴史上の事実です。

中国戦線の岡村大将/“市民に暴行は事実”

 旧日本軍の岡村寧次(やすじ)は、1932年に上海派遣軍参謀副長に着任以後、支那派遣軍総司令官として終戦を迎えるまで、中国戦線を指揮した中心的な軍人です。岡村は、戦後、防衛庁(当時)の戦史室に依頼されて「戦場体験記録」をまとめています。(『岡村寧次大将資料 上巻―戦場回想編―』として刊行)

 岡村は南京事件の直後に、南京攻略戦に参加した第6師団や第9師団を含む第11軍を率いて、漢口攻略戦を指揮します。司令官着任直後(38年9月)に、「南京攻略戦では大暴行が行われたとの噂(うわさ)を聞き、それら前科のある部隊を率いて武漢攻略に任ずる」上での必要性から、「南京事件」について将校らに聞き取りを行いました。

 その結果について「一、南京攻略時、数万の市民に対する掠奪強姦等の大暴行があったことは事実である。一、第一線部隊は給養困難を名として俘虜(ふりょ)(捕虜)を殺してしまう弊がある。一、上海には相当多数の俘虜を収容しているがその待遇は不良である。一、最近捕虜となったある敵将校は、われらは日本軍に捕えられれば殺され、退却すれば督戦者に殺されるから、ただ頑強に抵抗するだけであるといったという」とまとめています。

 岡村は南京での日本軍の性的暴行や捕虜虐殺を確認したのです。岡村は「戦場体験記録」に「南京事件の轍を覆(ふ)まないための配慮」「軍、風紀所見」を記しています。

 日本陸軍の中枢にいた人物が、当時から「南京大虐殺」を事実として認めていたことは明らかです。

旧陸軍将校の親睦団体/“非はわれわれの側に”

 旧陸軍将校と元自衛隊幹部の親睦団体「偕行(かいこう)社」は、機関誌『偕行』に「証言による『南京戦史』」を連載します。(1984年4月号〜85年3月号)

 「多くの敗残兵を捕えたが、“ヤッテシマエ”と襲いかかるケースが多かった。城内掃蕩(そうとう)中でも、獅子山付近で百四・五十名の敗残兵を見つけたが、襲いかかって殺した」(島田勝巳第二機関銃中隊長の遺稿)、「大勢のなかには刺殺、斬首などの真似をした 馬鹿者も居りました」「入城後数日、下関(シャーカン)で毎日、捕虜が処分されているという噂を聞き、又実際にその光景を見ました。…一人ずつ歩かせて桟橋の端に来た時、突き落として小銃で射殺していました」(石松正敏第二野戦高射砲兵司令部副官の述懐)など戦場にいた兵士から証言が寄せられています。

 『偕行』(83年11月号)は、「いわゆる『南京事件』に関する情報提供のお願い」という読者に投稿を呼びかける記事を掲載しました。よびかけの目的は、「虚妄の批難に対し、具体的な反証する手だてがないのが現状であり、『南京大虐殺』などという茫漠(ぼうばく)たる表現をもって一括され、20万、30万という膨大な数が日本軍の暴虐のあかしとしてまかり通っている」ことへの反論だとしています。

 ところが、集められた証言は、先に引用したように、「大虐殺」を認めるものが少なくなかったのです。

 連載の最終回(1985年3月号)で『偕行』編集部の執筆責任者の加登川幸太郎氏は「(死者数の)膨大な数字を前にして暗然たらざるを得ない…この大量の不法処理には弁解の言葉はない」と虐殺の事実を認めざるを得ませんでした。加登川氏は「中国人民に深く詫びるしかない。まことに相すまぬ、むごいことであった」「特に被害者である中国の人びとが、日本軍の非行を何と告発、非難されようが、非はわれわれの側にある。これは何とも致し方がない」と述べています。

 なぜ大虐殺が起こったのか。日本軍の中国侵略を研究する伊香俊哉都留文科大学教授は「南京占領戦は基本的に旅団長や師団長から、捕虜をとらないという方針が出ていました。大量の中国軍を降伏させてもどう扱うかきちんとしていなかった。それが虐殺につながった。さらに中国軍、中国人に対する日本側の蔑視がありました。中国人捕虜なら殺しても問題にならないという感覚があった」と指摘します。

 南京大虐殺の犠牲者数で、現在の学問研究で有力な説は「十数万以上、それも二〇万人近いかあるいはそれ以上の中国軍民が犠牲になった」(笠原十九司『南京事件』)です。ただしこれは、現在の資料の発見状況からの推定です。日本軍は連合国の追及を恐れて、敗戦前後に、多くの資料を焼却しました。陣中日誌などの資料が公開されているのは、全部隊の3分の1程度だといわれています。

 情報統制によって国民には知らされていなかった南京事件は外務省の官僚や、「陸軍大学の学生」まで多くの軍関係者は知っていました。さらに、海外のジャーナリストや外交官によって世界に発信されました。戦後、連合国は南京事件を重視します。日本の戦争責任を裁いた極東軍事裁判(東京裁判)で南京戦の司令官の松井石根(いわね)大将は死刑になりました。

 笠原十九司都留文科大学名誉教授は「南京事件は負の遺産として、日本だけでなく人類的に見て教訓にすべきです。なぜ、あんな残虐な事件が起こったのかを記憶としてとどめておくべきでしょう。記憶遺産登録に反発するのは、否定論に立っているということを国際的にしめすことになり、恥ずかしいことです」と指摘します。


「しんぶん赤旗」2015年12月13日(日)より
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TBSラジオ番組「荒川強啓デイ・キャッチ!」に出演する志位委員長(左から2人目)=東京・赤坂のTBS放送センター


 日本共産党の志位和夫委員長は8日、TBSラジオの「荒川強啓デイ・キャッチ!」に出演し、メーンパーソナリティの荒川強啓氏やアシスタントの片桐千晶氏、国際ジャーナリストの小西克哉氏、国会担当記者の武田一顕氏と、共産党が提唱する「戦争法廃止の国民連合政府」提案について大いに語りあいました。

 志位氏は、「国民連合政府」の提案について詳しく語り、野党共闘の展望について、「戦争法のたたかいのなかで、ずいぶん(他の野党とも)信頼関係が強くなってきました。その信頼関係を生かしてやっていきたい」と決意を語りました。

 番組終了ぎりぎりまで、出演者や聴取者からの質問は途切れませんでした。

 「民主党の中には、安保法の全廃を求めないという声もあるが。どう対応するのか」という問いに対して志位氏はこう答えました。

 「私たちは戦争法全廃を主張しています。政府は『平和安全法制』の名で11本の法律を一括で強行し、野党はこれに一括して反対しました。経緯から言っても、戦争法(安保法)は一括して廃止するのが当然の筋です。全廃がはっきりしませんと、協力の土台ができません」

 加えて志位氏は、戦争法が海外での武力行使を可能にし、戦闘地域での兵たんという違憲の活動を可能にするものだと指摘。戦争法による差し迫った危険として、南スーダンPKO(国連平和維持活動)での「駆けつけ警護」や過激組織ISに対する空爆への自衛隊による支援などもあげ、「本当に危ないのは、南スーダン、イラク、シリアです。戦争法はまとめてきれいさっぱり廃止する立場にたたないといけない」と強調しました。


「戦争法は全廃」 志位委員長発言

 日本共産党の志位和夫委員長が8日放送のTBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ!」で行ったやりとりの一部を紹介します。

 国際ジャーナリストの小西克哉氏 ちょっと、一つ聞いていいですかね。岡田(克也・民主党代表)さんは、安保法制の全廃を主張されていないというふうに理解しているんですが、そこのところ、共産党の志位さんとのギャップがあると思うんですが、これは埋められるんですか。それはあんまりたいした問題じゃないんですか。

戦争法は一括廃止が筋

 志位 私たちは、安保法=戦争法は全廃すべきだということが強い主張です。これは、経過からいっても、政府は「平和安全法制」の名で、11本の法律を一括して出してきて、一括して強行したわけです。それに対して野党は、一括して反対したわけです。ですから、これは一括で廃止するというのが、当然の筋だと思います。

 それから、内容的にも、この法律は、集団的自衛権行使という、海外でのむき出しの武力行使の危険があることがもちろん重大なわけですが、それだけじゃなくて、米軍に対する兵たん、いわゆる「後方支援」を「戦闘地域」にまでいってやる。これも憲法違反です。それから、PKO(国連平和維持活動)法の改定で、たとえばアフガニスタンのISAF(国際治安支援部隊)のような活動に参加できる。あるいは、南スーダンのPKOについても、「駆けつけ警護」なども可能にする。これも戦争行為になってきます。

「戦争法全廃」は協力の土台になる

 小西 岡田さんのポジションとの差はあるということはお認めになるわけですね。

 志位 そこはきちんと話し合っていきます。全廃がはっきりしませんと、協力の土台ができません。

 小西 それは選挙協力の阻害にはならないですか。

 志位 これは、この土台がきちんとしないと、これは(協力の)大義が立たなくなりますね。ですから、私たちは、全廃が必要だということで話し合っていきたいと思っています。

実際に危ないのは南スーダン、イラク、シリア

 小西 いつごろ、つめた話し合いができますかね。

 志位 民主党はいま検討されているようです(小西「ああ、そうですか」)。ですから、これは、その検討の状況もみたいと思うんですが、私たちとしては、11本の安保法=戦争法はまとめてきれいさっぱり廃止するという主張をしていきます。

 たとえば南スーダンPKOの「駆けつけ警護」は、最初の戦死者はここから出る可能性がある。少年兵を撃ってしまったら、取り返しがつかない。それからISに対する空爆、いまやっていますね。これを強化している。これについて、去年の8月、米側から日本政府に対して、自衛隊の支援を要請してきた。「閣議決定」をやったんだからできるでしょうと。そのとき、日本は、まだ法律ができていないからといって断ったんですね。ところが法律をつくってしまったわけですから、ISに対する(米軍への)軍事支援もOKということにならざるをえない。そうしますとね、実際に危ないのは南スーダンであり、イラクであり、シリアなんですよ。ですから、本当にそういうことを考えても、法律を全廃しないといけないということでやっていきたいと思います。


「しんぶん赤旗」2015年12月9日(水)より
 過去最高額となった在日米軍関係経費とは、在日米軍に対する日本政府の支出の総称です。

 現在の在日米軍関係経費の内訳は、(1)在日米軍駐留経費(思いやり予算、基地周辺対策費、基地交付金、土地の賃料等)(2)在日米軍再編経費(辺野古新基地等)(3)SACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費―から構成されています(図)。この大部分は、日米安全保障条約上、日本の支払い義務がありません。

 支出する省庁も多岐にわたっています。大部分は軍事費(防衛省予算)からですが、基地交付金は総務省、「提供普通財産借上」(土地の賃料)は財務省が支出しています。

 財務省の財政制度等審議会の分科会(10月26日)では、来年度からの「思いやり予算」は減額・一部廃止を検討する方針を出しましたが、在日米軍関係経費は今後さらに増額される危険があります。沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設など、在日米軍基地や米領グアムの海兵隊基地建設を推進しているためです。

 当初、在日米軍関係経費は基地周辺対策経費、基地交付金、土地の賃料のみでした。しかし、1978年度から、アメリカ政府の要求をのんで金丸信元防衛庁長官(当時)が始めた「思いやり予算」が加わり、97年度からのSACO関係経費、06年度からの在日米軍再編経費と、日本が支払い義務を負わない経費が次々と継ぎ足され、金額が膨れあがっています。

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「しんぶん赤旗」2015年12月6日(日)より

 11月13日のパリ同時テロ以後、フランスや英国などが相次いでシリア空爆への参加・強化に踏み切っています。これについて、西側のジャーナリストとして唯一過激組織ISから許可されて支配地域の取材をしたドイツ人記者が、「空爆はIS戦闘員を喜ばすだけだ」と批判する寄稿を英紙に寄せています。現地でIS戦闘員たちに直接インタビューし、彼らの行動を目撃しての結論として、空爆は新たなテロリストを生み出すだけだと警告しました。

 この記者は、ドイツで保守政党の国会議員を務めたこともあるユルゲン・トーデンヘーファー氏。英紙ガーディアン11月27日付で、「西側の政治家たちはテロリストの仕掛けたワナに落ち込んでいる」と指摘しています。

 同氏はアメリカのブッシュ前政権が始めた「対テロ戦争」について「対テロ戦争が推定100万人のイラク国民の命を奪った後、現在われわれが直面しているのは約10万人のテロリストだ。ISはブッシュの『申し子だ』」と告発しました。

 その教訓を学ばないまま、欧米諸国が現在強化しているシリア空爆についても、「子どもが1人殺されるたびに新たなテロリストが生まれる。戦争はブーメランだ。後になってテロの形態をとってしっぺ返しがやってくる」と主張しました。

 2014年10月にIS支配地域に滞在した同氏は、米国のジェット戦闘機や無人機の攻撃が迫るたびにISの護衛が素早く地元住民たちの中に消えていったことを紹介。空爆は、地元住民に被害を広げ、新たなテロリストをつくり出し、欧米との直接決戦をのぞんでいるIS戦闘員たちを「歓喜で満たすだろう」と述べています。

 同氏は、軍事的手段によらないIS打倒の方法として、(1)湾岸諸国からの武器供給の停止(2)トルコ国境封鎖による戦闘員流入の阻止(3)シリアとイラクの国民的和解の促進―の3点を提言しています。


「しんぶん赤旗」2015年12月5日(土)より


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