軍備・米軍・平和

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 国会前に12万人が集まるなど、多くの人々が反対の声を上げた戦争法(安保法制)。安倍政権・自公両党などによる強行成立以来、2カ月余が経過しました。日本共産党の「戦争法廃止の国民連合政府」提案が反響を呼び、同法廃止を求める2000万人目標の統一署名が全国で取り組まれています。戦争法とは何か。なぜ廃止しかないのか。あらためて考えます。

戦争法とは何か

 戦争法とは何でしょうか。一言で言えば、日本が海外で戦争する=武力行使をするための法律です。

 「戦闘地域に行かない」「武器使用は正当防衛だけ」といった従来の海外派兵法の歯止めを外し、地球上のどこでも米軍の戦争に参戦し、自衛隊が武力行使する仕掛けが何重にも施されています。

 1945年以来の世界の紛争犠牲者は数千万人にのぼり、第2次世界大戦に匹敵すると言われます。その中で自衛隊は54年の創設以来、1発の弾も撃たず、1人も戦死せず、1人の外国人も殺してきませんでした。憲法9条があったからです。その9条を破壊し、日本を「海外で殺し、殺される国」に変えるのが戦争法なのです。

子どもたち戦場に

 「だれの子どももころさせない」―。全国に広がる「安保関連法に反対するママの会」のスローガンです。

 戦争法の具体化で、真っ先に戦地に行くのは若い自衛隊員です。放置すれば、現在の子どもたちがおとなになるころ、海外での戦闘態勢はすっかり整ってしまいます。

 自衛隊員が死傷するだけではありません。紛争の犠牲者の9割以上は、女性や子どもを含む民間人です。罪のない人々に銃口を向け、憎しみの連鎖を生み出してしまいます。

 侵略戦争を禁じた憲法解釈を1990年に変え、2002年からアフガニスタンに派兵したドイツは55人の戦死者を出し、多くの民間人を殺傷しました。11年2月、21歳の兵士が戦死しました。彼は、憲法解釈を変更した90年前後の生まれです。

 日本は、子どもたちの未来を左右する、戦後最大の岐路に立っています。

戦争でテロなくせぬ

 さらに、テロが世界に拡散する中、戦争法廃止は全ての国民にとって、差し迫った課題になっています。

 130人もの犠牲者が出たパリ同時多発テロ(13日)をはじめ、過激組織ISによるテロの脅威は国境を超えつつあります。

 どんな理由であれ、罪のない人々を無差別に殺すテロは許せません。同時に、戦争でテロはなくせない、というのが、米国同時多発テロ以降の14年間の教訓です。

 ISは、03年に始まったイラク侵略戦争と11年からのシリア内戦の混乱で生まれ、勢力を拡大してきました。イラク戦争の当事者であるブレア元英首相は「イラク戦争がISの台頭につながった」(10月26日、米CNN)と認めています。過去の教訓に照らすなら、ISへの空爆強化は混乱に拍車をかけ、悪循環を広げるのは必至です。

 戦争法とのかかわりで言えば、同法によってISに空爆を行う米軍などへの兵たん支援が可能になったことが重大です。

 安倍晋三首相は「軍事的な支援は考えていない」と言います。しかし、「要件を満たせば、法理論としては適用されることはありうる」(6月5日、参院安保法制特別委員会)と答えました。これでは、日本が米国から空爆支援を要請されたら、「法律がない」と言って拒否することはできません。

 兵たん支援で言えば、ドイツが1200人規模の派兵を計画しています。安倍政権がいつ名乗り出てもおかしくありません。

8割「テロ可能性」

 共同通信の最新の世論調査によれば、約8割が国内で大規模テロの可能性があると答えています。

 日本はすでに、米国主導の対IS有志連合に名を連ねており、ISは日本を攻撃対象として名指ししています。その上、戦争法で軍事支援を行えば、国民がテロにさらされる危険はいっそう高まります。 (竹下岳)

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「しんぶん赤旗」2015年12月2日(水)より
 安倍政権は10月29日、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う「公有水面埋め立て事業」=いわゆる本体工事に着工しました。新基地ノーの圧倒的な県民世論を無視した暴挙です。ただ、真の本体工事である、辺野古海域の埋め立てまでには多くのハードルがあります。 (竹下岳)

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着工詐欺」と

 中谷元・防衛相は同日の会見で、陸上部分の作業である仮設ヤード、仮設道路から着手する考えを示しました。このうち、作業に着手しているのは辺野古崎突端に設けられる作業ヤード(資材置き場)の整備です。

 ただ、現在行われているのは、ヤード建設のための整地にすぎず、実際に作業する業者の契約は12月からです。厳密にいえば本体工事はこの時点から始まります。本体工事の「着工詐欺」という声もあがっています。

文化財の調査

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(写真)防衛省沖縄防衛局による本体工事で動きだすクレーン車=29日、沖縄県名護市


 作業用車両が利用する仮設道路については、名護市の文化財調査(来年2月末まで)が終了するまでは着手できません。市の調査については、米軍も立ち入りを認めており、すでに6月から始まっています。

設計変更承認

 辺野古の埋め立て計画(沖縄防衛局)に変更が生じた場合、公有水面埋立法に基づいて都道府県知事の承認を得る必要があります。岩国基地(山口県)の滑走路沖合移設の場合、8回の変更申請がなされ、その都度、知事が承認しています。沖縄では翁長雄志(おなが・たけし)知事が承認することはあり得ないため、政府はその都度、障害にぶつかることになります。

埋め立て土砂

 沖縄防衛局は昨年末、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)前知事の退任直前に4件の変更申請を行いましたが、埋め立て推進派の仲井真氏でさえ、承認したのは2件だけです。

 残る2件のうち、不承認となったのは埋め立て土砂の搬入方法です。防衛局は当初、辺野古沖に近い辺野古ダム周辺を切り開き、土砂をベルトコンベヤーで運ぶ計画でした。しかし、新基地阻止を掲げる名護市の管理区域にかかるため、不可能と判断。ダンプカーで輸送する計画に切り替えましたが、不承認になりました。

 沖縄防衛局は土砂の大半を県外から調達することを余儀なくされましたが、特定外来生物の流入などを防ぐための県の土砂規制条例が1日、施行されました。

水路切り替え

 残る1件の変更申請は今年1月、防衛局が自ら取り下げました。これは、キャンプ・シュワブを通って海に注いでいる美謝(みじゃ)川の水路切り替えです。河口部を区域外に切り替えないと、埋め立て自体が困難になる重大問題です。しかし、これにも名護市の協力が不可欠のため、見通しが立っていません。

岩礁破砕許可

 辺野古の海の埋め立てで、唯一、危険度が高いのが護岸工事です。防衛局は今年7月、護岸工事に関する事前協議を県に申し出ましたが、その後、防衛局は一方的に協議を打ち切りました。

 ただ、辺野古で抗議船の船長を務める沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは、こう指摘します。「埋め立て承認願書によれば、護岸工事に入る前に汚濁防止膜を設置するが、これを固定するために最大、286個の巨大コンクリートブロックを投入する必要がある」

 これらを投入するためには、県知事の岩礁破砕許可が必要です。



 新基地に向けた安倍政権の常軌を逸した強権ぶりは軽視できませんが、沖縄県・翁長知事と名護市・稲嶺進市長が一連の権限を行使し続ければ、新基地阻止は十分に可能です。北上田さんは言います。「翁長県政の真価は、これから問われる」

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「しんぶん赤旗」2015年11月4日(水)より

 安倍首相はじめ政府は戦争法強行の目的として、「抑止力」の向上を前面に掲げてきました。しかし、NHKが13日に発表した世論調査結果によると、国民の多数はその説明に反発しています。改めてこの問題について考えてみました。(小泉大介)

6割の人たちが「納得できない」

 NHK世論調査では、「安全保障関連法の成立によって抑止力が高まり、日本が攻撃を受けるリスクが下がる」という政府の説明に納得できるかとの問いに対し、「大いに納得できる」は6%、「ある程度納得できる」は28%にとどまりました。一方、「あまり納得できない」が34%、「まったく納得できない」は25%に達しました。

 安倍政権が昨年7月に集団的自衛権行使を容認する「閣議決定」を行って以来、呪文のように唱えてきた「抑止力」。その一般的な意味を辞書で調べると、“活動をやめさせる力”“思いとどまらせる力”などとなっています。しかし、軍事的にはそんな生易しいものではありません。

 「抑止というのはあからさまな暴力の話。敵が1発でも撃てばこちらは100発で撃ち返すというのが本質」「抑止を多少なりとも効かせようと思えば、恐ろしく軍備を増強しなければならない」

 ある軍事研究者がこう解説するように、「抑止力」とは危険極まりない概念です。これを本気で強化するということは、まさに日本という国の生きざまを根本から変えてしまうことを意味します。

 さらに、「抑止力」を発揮するために軍拡をすれば、「敵対国」にそれ以上の軍拡で対抗する口実を与え、軍事対軍事のエスカレーションも生み出してしまいます。これは学問的には「安全保障のディレンマ」と呼ばれ、常識ともいえる理解となっています。

 にもかかわらず安倍首相は、「抑止力」について“バラ色”の説明をするだけで、その本質や危険性について国民に何一つ語っていません。沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設も、「抑止力」の理屈で推し通そうとしており、その罪はあまりにも深く重い。

中国「脅威」論を振りまいた政府

 安倍首相が「抑止力」の柱に位置付けているのが、「米軍との一体性」です。ところが―。

 かつて自衛隊のイラク派兵を仕切った柳沢協二・元内閣官房副長官補は15日に都内で開催した会合で報告し、「(戦争法で)日米が一体であることが示されるから抑止力が高まるというが、これは何なんだ」と根本的な疑問を表明しました。

 同氏は、安倍首相訪米を控えた2013年2月、米軍準機関紙「星条旗」が尖閣諸島をめぐり、「無人の岩のために俺たちを巻き込まないでくれ」という論評記事を掲載したことを紹介しました。

 政府は戦争法強行成立のため、中国「脅威」論も振りまいてきました。しかし実際には、「(日米の)双方が感じる脅威には隔たりがある」(柳沢氏)というのです。

 なるほど、昨年4月に来日したオバマ米大統領は安倍首相との会談後の会見で、「日本の施政下にある領土は、尖閣も含めて安保条約第5条の適用対象となる」と述べつつも、「安倍首相との議論で私は、この(尖閣領有をめぐる)問題を平和的に解決することの重要性を強調した」「挑発的な行動はとるべきではない」と釘を刺しました。

 米政府は中東地域で「対テロ戦争」を継続・強化する一方、中国については「関与」政策を基本的に維持しているとみられます。日本が中国の「脅威」をもって「抑止力」を強化しても、肝心の米国にはしごを外される可能性があり、この点でも政府の言い分は破綻しています。

 柳沢氏は、戦争防止のためには経済などソフトパワーのさまざまな手段を発掘することが重要だと指摘した上で、こう力説しました。「軍事的抑止に頼らない思想のアセット(資産)をしっかりつくらなければならない」


「しんぶん赤旗」2015年10月20日(火)

 自民党の谷垣禎一幹事長は7日の記者会見で、戦争法案を審議中の衆院安保法制特別委員会の現状について、「特段新たな論点が出てきているわけでもない。出口を探っていく時期に来ている」と述べ、採決強行を示唆しました。しかし、憲法学者3氏の「違憲」判定(6月4日)以来、審議は憲法論に集中してきたのが現状で、「大詰め」(谷垣氏)どころか、入り口にさしかかったにすぎません。

 6日の沖縄の地方参考人会では米軍基地との関わりで負担増や基地固定化の批判や懸念が出され、5人全員から慎重審議を求める声が噴出。埼玉でも、未審議論点が40項目以上残されているとの指摘が出されました。

 これを受け8日の審議では、新たな日米軍事協力の指針(ガイドライン)や沖縄の基地問題との関わりを追及する質問が他党からも出されるなど、審議はようやく日米軍事協力の実態論や、個別の法案審査に移りつつあります。

 そもそも今回の戦争法案は、新ガイドラインの日米協議と日本の憲法解釈を“整合”させた産物であり、“ガイドライン実行法”とも呼ぶべきものです。

 しかし、法案の国会提出と同時期に公表されたことが影響し、1997年の前回ガイドラインと比べても、きわめて不十分な議論しか行われていないのが現状です。

 8日の日本共産党の畑野君枝、宮本徹両衆院議員の質問は、2000年代以降に在日米軍再編の中で進められてきた司令部統合などの日米軍事一体化が、戦争法案と新ガイドラインによって平時から戦時まで部隊・作戦レベルにまで引き上げられる危険性を改めて浮き彫りにしました。

 前回ガイドラインの中心要素となっていた戦時の日本の基地利用や民間動員の問題についても、新ガイドラインでは議論が尽くされていません。世論調査で政府の説明不足を指摘する声が軒並み8割を超え、未消化論点が山積する現状で採決に踏み切ることは、国会の役割放棄ともいえる愚の骨頂です。
 (池田晋)


「しんぶん赤旗」2015年7月9日(木)より

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米軍新基地建設が狙われ、浮具などで海上を囲まれた沖縄県名護市辺野古の大浦湾=6月25日


 1945年、太平洋戦争に勝利した米国は日本と沖縄を占領し、巨大な基地網を形成しました。当初の駐留目的は日本の軍国主義復活を抑え、占領支配を進めるためでした。

 しかし、日本と沖縄の基地は、国際情勢の変化の中で、朝鮮半島や台湾、インドシナ半島などの出撃拠点として強化されていきます。

全て日本の責任

 51年9月に署名された旧日米安保条約は第1条で米軍の「駐留権」だけを明記。「日本防衛」は一言も入っていませんでした。その後、60年1月に改定された安保条約は「日本と極東の平和と安全」のために米軍が基地を使用する(第6条)としました。全国での反基地闘争の高揚を受けてのものです。

 ところが、そのまやかしが、「日本防衛のための基地は一つもない」という米国防総省の文書(1面報道)で明らかになりました。同様の認識は、70年1月26日の米上院外交軍事委員会の秘密会(サイミントン委員会)でジョンソン国務副次官が「われわれには、日本の通常型防衛に関するいかなる地上・航空戦力もない。それ(防衛)は完全に日本の責任である」と発言したことにも示されています。

“沖縄は掃きだめ”

 日本本土と切り離され、米軍の全面支配下にあった沖縄にいたっては、米軍は「必要だから」といって住民の土地を「銃剣とブルドーザー」で次々と奪い、基地を拡張しました。

 しかし、沖縄住民の抵抗も強まります。これに関して1面報道の文書はこう明記しています。「『金の流出問題』(財政問題)とは別に、基地使用に関する将来の政治的複雑性は、琉球(沖縄)を日本や東南アジアからの部隊移転のための『収容所』としてみなすことができづらくする」

 つまり、これまで米軍は沖縄を基地や部隊の「収容所」=“掃きだめ”として使ってきたものの、住民の抵抗で難しくなったから米本土に引き揚げよう、というものです。

 文書は、普天間基地(宜野湾市)を閉鎖候補にあげています。同基地の固定兵力は68年当時で339人しかおらず、大半を米本土からローテーション(交代)で駐留させ、ベトナムに出撃していました。これらを米本土にそのまま戻せば、普天間を維持する必要はない、というものです。

 しかし、米海兵隊を管轄する米海軍省は当初から、普天間などを閉鎖すれば「西太平洋での将来の紛争対処能力を減らす」(68年10月23日付文書)などと抵抗しました。

政治の堕落だ

 結果的に、普天間基地は閉鎖されず、他の基地からの部隊や米本土からの交代配備が維持され、ベトナム戦争前より強化され、「世界一危険な基地」になり、今日まで居座っています。

 今日、海兵隊を含む在日米軍は、東南アジアどころか地球規模の遠征部隊に変容しており、ますます「日本防衛」とは無縁の存在になっています。

 徹頭徹尾、米側の都合で押し付けられてきたこれらの基地のどこが、「抑止力」なのでしょうか。普天間基地を返してほしければ代わりの基地(名護市辺野古の新基地)を差し出せというのは政治の堕落だ―。翁長雄志知事が安倍晋三首相に突きつけた言葉は極めて重いと言わなければなりません。
 (竹下岳)


「しんぶん赤旗」2015年7月3日(金)より

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