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 憲法53条に基づく野党の臨時国会召集要求を安倍政権と自公両党が拒否している影響で、国会の同意が必要な人事が決まらず、任期切れなどで欠員が生まれる重大事態を招いています。

 3日の任期満了で4日以降空席となるのは、経済市場での不当・不公正な競争などを禁止する独占禁止法を担う公正取引委員会の委員1人(山崎恒氏)です。7日には、国の収入・支出をチェックする会計検査院の意思決定に責任を負う検査官3人のうち1人(柳麻理氏)が任期満了を迎えます。

 公正取引委員会は、内閣から独立した職務執行を保障される一方、その人事に国会の同意を要することで民主的コントロールを確保。国会の同意は職務の基盤となる重要な手続きです。

 政権が憲法を無視して国会を開かないことで、重要な国の職務執行に空白をもたらしかねない、法の予定しない重大事態が起きています。

 ほかにも、任期満了前に辞職した電波監理審議会委員1人や、マイナンバー導入に伴い同制度の運用を監視するために来年1月1日から「個人情報保護委員会」に改組される「特定個人情報保護委員会」の増員分(2人)の委員も決まらない事態が生まれます。来年1月7日には地方財政審議会委員(5人)も任期満了となります。

 以上の人事のうち、新たに改組・発足となる「個人情報保護委員会委員」については、法律上、新たな委員が決まるまで現任者が引き続き職務を行うことができる「職務継続規定」があるほか、「地方財政審議会委員」についても、国会閉会中は総務相が任命でき、次の国会で同意を得るとの規定があります。しかし、公取委員や検査官などには同様の規定がなく、任期満了で直ちに欠員となります。

 国会同意人事は、国会を召集した上で衆参両院の本会議でそれぞれ議決する必要があり、閉会中審査で決めることはできません。


臨時国会年内召集拒否で欠員が生じる国会同意人事

 電波監理審議会委員 1人(9月30日に辞職)

 公正取引委員会委員 1人(12月3日任期満了)

 検査官(会計検査院) 1人(12月7日任期満了)

 個人情報保護委員会委員 2人(来年1月1日発足)

 地方財政審議会委員 5人(来年1月7日任期満了)


「しんぶん赤旗」2015年12月4日(金)より

 日本共産党の志位和夫委員長は10日夜放映のBS11「報道ライブ21 INsideOUT」で、フリーアナウンサーの露木茂、黒塚まや両氏、コメンテーター役の末次省三・毎日新聞政治部長とともに語り合いました。


国民は戦争法への怒りを決して忘れない

 番組ではまず、政府・与党が野党の臨時国会開催要求を拒否していることが話題になり、露木氏は「この状況はどうなっているのですか」と率直な疑問をぶつけました。

 志位氏は、国会を開催しないのは憲法53条の義務規定に反する憲法違反の姿勢だと強調し、「安倍晋三首相は戦争法について『丁寧に説明する』といったきり何も説明していません。環太平洋連携協定(TPP)、沖縄、原発、経済など問題が山積しているのに臨時国会をやらずに来年までいってしまうのはとても許されるものではありません」と批判しました。

 末次氏は、“突っ込みどころ満載”の政治状況のなかで国会を開きたくないというのが与党側の思いではと指摘。志位氏は、「戦争法強行への怒りを国民に忘れてもらう」のが国会を開かない理由だとしつつ、戦後かつてない新しい国民運動が起きているいま、「国民が(政府の)都合よく忘れるというようなことには決してならない」と実感を込めて語りました。

野党が本気度を示せば情勢は大きく動く

 露木氏は、メディアの世論調査では安倍内閣支持率が上昇傾向にあると問題提起しました。

 これに対し志位氏はズバリ、「野党が本当にここでしっかり結束して、安倍政権を倒すという本気度を示すことが、新しい情勢を開くと思っています」と力説しました。

 末次氏は、内閣支持率上昇の世論調査結果がある一方、安保法(戦争法)反対の声はいまも「毎日」調査で約6割を占めているとし、「確固たる根強い(内閣)支持層が増えているわけではない」と指摘。志位氏が、「不支持の方はかなり根強いという感じです」と述べると、露木氏は「なるほど」とうなずきました。

 ここで、10月25日実施の宮城県議選で日本共産党が4議席から8議席へ大躍進したことが話題となりました。

 志位氏は、同選挙の特徴として、「戦争法とTPP(環太平洋連携協定)など、安倍暴走政治に対する深い怒りが表れた」とするとともに、「保守の人々などを中心に自発的に共産党を応援してくださる『勝手連』的な動きが広がった」ことを強調し、こうつづけました。

 志位 おそらく、(世論調査では)「支持政党なし」の中に入っていらっしゃるような方々が応援してくださった。こうした「勝手連」的な動きは、安倍政権の暴走があまりにひどい、なんとかしてほしい、ここから起こっていると思います。

 ですから、野党の側がしっかり協力する体制がつくられれば、宮城で起こったような、自発的に野党を応援してくださる動きが澎湃(ほうはい)として起こってくる。(世論調査では)支持政党なしが断然の“第1党”ですね。こういう方々が動きだす、あるいは自民党支持にいまなっている方々も動きだすというような変化が、野党の意気込み次第でつくれる、私はそう思っています。

「国民連合政府」――“非常に筋が通っている”

 ここから、「国民連合政府提案」そのものが議論のテーマになりました。

 露木氏は、「日本共産党は(戦争法強行成立と同じ日の)9月19日の中央委員会総会で、志位委員長がいち早く『国民連合政府』という構想を打ち出されて、野党がまとまらなきゃだめなんだという旗印をはっきり示されました」と切り出しました。

 志位氏は、戦争法について、憲法の平和主義、立憲主義、民主主義をすべて破壊して強行したものであり廃止するしかないこと、加えて、集団的自衛権行使を容認した昨年7月の「閣議決定」を撤回する必要があることを力説。この二つを実行する“特命政権”をつくることがどうしても必要だと訴えました。「立憲主義の破壊を放っておけば本当の独裁政権になる、無法国家になるという非常事態ですから、これを正すというのは、これ以上の憲政上の大義はないと考えます」と述べると、露木氏は「非常に筋が通った話だと思います」と応じました。

参議院選挙――各党との話し合いと、躍進のための手だてを同時並行で

 次に話題となったのは、いかに「国民連合政府」樹立の声を結集するかです。露木氏は、参議院選挙にむけて「共産党は着々と候補者を立てている。民主党は、候補者の調整がやや遅れ気味になっている。そうすると、(1人区の)選挙区ごとに候補者を調整する選挙協力というのも、なかなか前に進まないのではないか」と問いかけました。

 志位 わが党としては、候補者を擁立してきています。ただ、私たちとしては、とくに1人区は(野党共闘のうえで)とても大事なたたかいになってくると思うので、しっかりした大義のもとに選挙協力をしたいと思っています。できれば、1人区全部の選挙区で統一して、全部で自民党に打ち勝つたたかいをやりたいと思っています。ですから、選挙協力の話がきちんとまとまったら、すでに発表している候補者であっても、選挙区によっては降りることがありうるということは、最初からはっきりさせています。私たちは、候補者擁立を進めて、選挙に躍進するための手だてはとっていきますが、同時並行で、各党との話し合いをやっていく。話がきちんとまとまれば、これはこれとして対応します。ですから(野党間の選挙協力と)何か矛盾があるわけではないのです。

「国民連合政府」での政策的対応をどうはかるか

 ここで露木氏は、「国民連合政府」をつくるうえで、他の野党には“共産党アレルギー”があるといわれるが、どういうことかと議論となりました。

 志位氏は、「基本政策が違う政党同士が一緒に政権を組むことは難しいという気持ちがこの言葉で表れるのかなと思います」としたうえで、「国民連合政府」をめぐり二つの問題を解明しました。

 一つは、暫定的な性格をもった“特命政権”に共産党が参加する場合に、基本政策の違う問題は保留するということです。

 志位 たとえば日米安保条約については、日本共産党は国民多数の合意を得て廃棄するという立場ですが、これは他の党と一致しません。ですからこの方針は連合政府に求めることはしません。連合政府の対応としては、戦争法は廃止することを前提にしますが、そのうえで、これまでの条約や法律の枠内で対応する。たとえば、日本有事が起こったりした場合は、これまでの条約や法律の枠内で行動する。(安保条約にかかわる問題は)現状維持ということです。政策の不一致点を持ち込んだら、政権はすぐ壊れてしまうわけですから、そういう問題は留保して、政権には持ち込みません。

 もう一つは、“特命政権”とはいえ、戦争法廃止や立憲主義回復以外の問題でも政治を変える新たな可能性が生まれることはありうるということです。志位氏はつぎのように表明しました。

 志位 ただ同時に、この「国民連合政府」というのは、暫定とはいえ一定期間、(政権を)お預かりするわけですから、その期間に直面する国内外の問題は当然出てきます。たとえば沖縄問題をどうするのか、あるいは原発、TPP、消費税、雇用などいくつかの問題があると思います。この点で、野党5党は、共同して内閣不信任案を出したわけですから、安倍政権を退陣させるという点では共通の基盤があるわけです。ということは、安倍政権が国民の多数の声を無視していろいろな暴走をやっている、これを止めて、転換をはかるということは一致するはずなんですね。

 たとえば沖縄の問題では、米軍基地のあり方全体については考え方が一致しなくても、沖縄県民の意思を無視して、ああやって工事を強行するようなやり方は、これは連合政府としてはやらないということで対応することは、おそらく、話し合っていけばまとまるのではないか。そういう形で、いろいろな問題をきちんと協議していけば、かなり前向きの一致は得られるというふうに私は思っています。

 これを受け露木氏は、「非常に共産党の柔軟な姿勢というものを、いまのお話で感じる」と述べました。

「トリクルダウン」は完全に破綻――政策転換を求める

 番組では最後に経済問題がテーマに。

 露木氏は、安倍政権が明らかに政治テーマを経済にシフトしていると述べ、これは安保法制を国民に早く忘れてほしいということなのかと問いました。

 志位氏は、「この(戦争法の)問題を争点にしないというのは作戦だと思います」と指摘しつつ、経済については、「3年間の『アベノミクス』の失敗をきちんと認めるべきだ」と力を込めました。

 志位 たいへんに印象深かったのは、2014年度の日本のGDP(国内総生産)は全体でマイナスですよね。ところが、大企業の経常利益は過去最高なんです。戦後、GDPが下がったことは過去何度かありますが、この時は大企業の利益も下がりました。ところがいまは、GDPが下がっているのに大企業は空前のもうけをしている。ですから、いわゆる「トリクルダウン」――つまり「大企業がもうかれば、いずれは家計に回る」と安倍さんは言い続けてきたけれども、これはまったく破綻しているわけです。

 「トリクルダウン」どころか、大企業だけが肥え太っている。そして庶民の暮らしは、消費でも雇用でも冷え込んだままです。ですからこの失敗を認めて転換する必要があります。消費税10%はやめる、家計と中小企業を直接応援する政治に切り替えることを求めていきたいと思います。

 露木 やっぱり消費税10%は無理?

 志位 いろいろな世論調査でも6割は反対です。いまの経済情勢のなかでこれをやるのは自殺行為になるし、だいたい(低所得者対策として)「軽減税率」というのだったら上げなければ一番いい。

 露木氏は、こう番組を締めくくりました。「やはりこういう議論を国会でちゃんと聞きたいですよね。私たちは」


「しんぶん赤旗」2015年11月12日(木)より

 15日に日本外国特派員協会で行われた日本共産党の志位和夫委員長の講演をうけての出席者との一問一答を紹介します。発表にあたって、若干の修正・加筆を行っています。


他の野党とどう協力していくか? 合意できるか?

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記者の質問を聞く志位和夫委員長(右から2人目)=15日、日本外国特派員協会


 問い 他の野党とどう協力していきますか。志位委員長は他党とも会談していますが、民主党のなかには異論もあるように思いますが、合意できると思いますか。

 志位 この間、各党の党首の方々と、会談を行ってきました。

 民主党の岡田(克也)代表との会談では、まず私から、「戦争法廃止の国民連合政府」の「提案」を説明しました。岡田代表からは、「思い切った提案に敬意を表する」との発言があり、「提案」の内容について、熱心かつ真剣な質問・意見が寄せられ、私は丁寧に考えをお伝えしました。両党首として「引き続き話し合っていく」ことで一致しました。良いスタートが切れたのではないかと思っています。

 社民党の吉田(忠智)党首との会談では、私の説明に対して、先方から「たいへん大胆で踏み込んだ提案をいただいた。前向きに受け止めて、積極的な選挙協力ができるように、しっかり議論を進めていきたい」「さまざまな困難はあろうが、連立政権の方向性も賛同する」との発言がありました。心強いことです。

 生活の党の小沢(一郎)代表との会談では、私の説明に対して先方から「従来の方針を大転換した共産党の決断を高く評価する」「手を携え選挙に勝ち、政権を打ち立てるという目標に向かって、自分も努力したい」との発言がありました。両党が方向性を共有できたことはうれしいことです。

 維新の党の松野(頼久)代表とも、会談することになると思います。

 岡田代表についていいますと、ブログのなかで、「共産党との政権協力はハードルが高いが、候補者調整は重要」と述べたうえで、「志位さんは、政治家として、人間として、私は信頼していい人だと、今までの長い交流の中で感じています。しっかり話し合っていきたい」ということが述べられていました。

 私も、岡田さんに同じような信頼を感じています。互いに信頼感を大切にして、誠意を持って話し合っていけば、合意できる可能性は大いにあると考えています。いろいろな困難はあると思いますが。話し合いがスタートしたところですので、温かく見ていただけるとありがたいと思います。

本当の民主主義とはどのようなものと考えるか?

 問い 「戦争法廃止の国民連合政府」の「提案」には、「主権者としての力を行使して、希望ある日本の未来を開こう」というくだりがあります。国民の反応、学生のすばやい反応、年配の方々の反応にも言及されました。彼らはみんなで力を合わせる戦略を実践してきました。本当の民主主義とはどのようなものだとお考えですか。

 志位 この間、国民の中で安保法=戦争法に反対する戦後かつてない新しい国民運動が起こっていることに、私たちはたいへん励まされています。とりわけ若者と女性が素晴らしい役割を発揮していることは、日本の未来にとっての大きな希望です。もちろん年配の方々の大奮闘もあります。学生のみなさんと話していますと、これまで自分の父母や祖父母の世代が守りぬいてきた憲法の平和主義、立憲主義、民主主義を、しっかりと受け継ぎたいということを言います。世代を超えた国民的連帯が広がっていることを感じます。

 本当の民主主義とは何かというご質問でした。国会前の抗議行動では若いみなさんが「民主主義って何だ?」というコールをしています。彼らはこの問題を深く考えています。安倍首相は、選挙でいったん多数を得たら、何でも多数決で決めていい。国民がどんなに反対しようが、多数決で決めていい。これが民主主義だと言ってはばからない。しかし民主主義というのはそういうものではありません。たとえ選挙で多数を得たとしても、自らに対する異論や批判には真摯(しんし)に向き合う。誠意をもって議論をつくす。そういう不断のプロセスが民主主義ではないでしょうか。安倍政権には、この姿勢が決定的に欠けています。くわえて、国会の多数といっても、昨年の総選挙で自民党の得た得票は17%にすぎず、もっぱら小選挙区制のおかげで得た「虚構の多数」をもって、半数を超える国民の多数意思を踏みにじることは、国民主権の民主主義を根幹から破壊する行為です。

 いま若いみなさんが、安倍政権の政治について、憲法の平和主義、立憲主義を壊すとともに、民主主義のまっとうなあり方を壊すものだと批判しているのは、私は非常に深い批判だと思います。私たちは、「国民連合政府」をつくることは日本に本当の民主主義を取り戻す第一歩にもなると考えています。

安保条約のあつかいをどうする? 政権をめざすタイムスケジュールは?

 問い 民主党の岡田代表は、安保条約の廃棄には反対のように思います。岡田氏や民主党の多数や維新の党にたいして、安保条約廃棄をどう説得していくのでしょうか。政権を目指すタイムスケジュールはどうなっていくのでしょうか。2018年を前に、自民党を打倒することは可能なのでしょうか。

 志位 日米安保条約については、日本共産党と民主党の立場は異なっています。どのように説得するかというご質問でしたが、私は、違いは違いとして相互に尊重し、横に置くということが一番現実的なやり方だと思っています。違いをなくして合わせようとなったら、いつまでたっても合意はできません。

 日米安保条約についての立場は異なっていますが、野党5党が、安保法=戦争法の成立を阻止するために結束してたたかったという事実があります。一致して安倍内閣不信任案を提出したという事実があります。内閣不信任案の提出を決めた9月18日の野党党首会談では、「今後どういう事態になろうとも、憲法の平和主義、立憲主義、民主主義を守るために協力しよう」ということも確認しました。私は、この野党党首会談の席上で、「仮に安倍内閣不信任案が可決されたら、ここにいる野党5党と不信任案に賛成した人たちで連立政権を構成することになりますね」と言いました。不信任案の共同提出というのは論理的にはそういうことになります。今回の「提案」は、そういう野党共闘の積み重ねのうえにつくったものです。ですから日米安保条約についての見解が異なっても、この「提案」の方向での合意は可能だと考えています。

 「タイムスケジュール」についてご質問がありました。私たちの「提案」では、「安倍政権を追い詰め、すみやかな衆議院の解散・総選挙を勝ち取ろう」とよびかけています。こうした構えでのぞみますが、解散・総選挙とならなかった場合には、来年の7月の参議院選挙がまず重要なたたかいになります。参議院選挙に向けて、私たちの「提案」の方向で、野党間で政治的合意、政権合意、選挙協力の合意――この三つの合意をぜひ達成して、そのもとで選挙をたたかいたいと思っています。

 とくに32ある1人区のたたかいが非常に重要になってきます。私たちとしては、32の1人区のすべてで、野党が相互に選挙協力を行い、自民党を打ち負かして勝利を勝ち取る、そのくらいの構えでのぞみたいと考えています。そういう勝利を勝ち取ることができれば、自公は参議院で過半数を割ることになるでしょう。次のステップで解散・総選挙に追い込んでいく。そういう流れをつくっていきたいと考えています。

連合政権で閣僚ポストを要求するのか?

 問い 連合政権をつくるにあたって、共産党は、閣僚ポストを要求するのでしょうか。共産党が内閣に入るかどうか、これは他党との協力、また有権者にとっても高いハードルになる可能性があるのではないでしょうか。

 志位 「国民連合政府」がつくられる場合に、日本共産党がどういう形で関与するかというご質問ですが、私たちの「提案」では、閣内協力か閣外協力かという条件を、最初から設定しているわけではありません。「提案」では、「閣内協力でなければいけない」と最初から条件をつけているわけではないんです。それは選択肢がいろいろあるでしょう。その時点で最良の選択肢を取ることになると思います。

アベノミクスをどうみる? 民主党政権をどう評価する?

 問い 第1次安倍政権は、1年あまりで失脚しました。そして5年後に以前より、より戦略的に、「アベノミクス」など国民受けする政策をもった政治家として戻ってきたわけですが、第1次政権での教訓から学んでいるようです。民主党の3年間の政権から、野党はどのような教訓を学ぶべきでしょうか。

 志位 まず「アベノミクス」について一言申し上げたい。私は、日本経済の現状は、「アベノミクス」の失敗を証明していると思います。とりわけ消費税を8%に引き上げて以降、日本のGDP(国内総生産)はマイナスを続けています。消費税を上げて1年を経過した今年の4〜6月期のGDPもマイナスです。国民の実質賃金は低迷が続き、消費も冷え込んだままです。国民の多数に景気回復の実感はありません。「大企業をもうけさせれば、いずれは家計にまわる」という経済論が破たんしているのです。安倍政権はまず、「アベノミクス」のこの現状についてきちんと総括すべきです。この総括なしに、「新3本の矢」などと言っても、何の説得力もありません。

 民主党政権からどういう教訓を学ぶべきかとのご質問でした。民主党政権については、いろいろと考えるところはありますが、いま話し合っているパートナーですので、今日はコメントを控えたいと思います。(笑い)

 ただ、私たちの提案している「国民連合政府」についていいますと、国民のみなさんにはっきりと達成すべき目標を示しています。戦争法の廃止、立憲主義と民主主義の回復という目標です。これはシングルイシュー(単一の課題)ではありますが、非常に大きなイシューです。この目標をしっかりお示しし、これを必ず実行する。これは日本の政治のあれこれの部分の問題ではありません。根幹、土台を立て直すという大事業です。国民に約束したこの目標をしっかりとやりとげれば、国民の政治に対する信頼は大きく回復することになることは間違いないと考えます。

「共産党への懸念」をどうみる? 自衛隊をどうする? 民主集中制は?

 問い 民主党の岡田代表は、選挙協力については否定しませんでしたが、政権をともにすることはハードルは高いといいます。共産党と政権をともにすることについての懸念があるようです。その懸念とは共産党側から見ると何だと思いますか。それを払拭(ふっしょく)するために何をしますか。また、共産党が政権に入った場合に、(日本)有事がおきたときに自衛隊を出動させるのでしょうか。共産党の民主集中制の問題についてどうするのでしょうか。

 志位 岡田代表との会談で、先方から、民主党内には、共産党と政権をともにすることはハードルが高い、難しいという議論があるというお話がありました。私からは、なぜ連立政府が必要なのか、これは安保法=戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻すということを本気でやろうとすれば、どうしても必要になるということをお話ししました。懸念ということでいえば、たとえば天皇制をどうするのか、自衛隊をどうするのか、日米安保条約をどう扱うのか。こういう問題への懸念もあるかもしれません。しかし、一つひとつについて丁寧に私たちの考え方をお伝えすれば、政権協力の障害にはならないということが理解いただけると思っています。

 「共産党アレルギー」ということがよくいわれます。私たちも「アレルギー」をなくしていくための努力をします。しかし、いまは、互いに、過去のいろいろな問題を乗り越え、「アレルギー」を乗り越えるべき時ではないでしょうか。未来に向かって団結しようという立場で話し合っていきたいと思います。

 つぎに「国民連合政府」が安全保障の問題にどう対応するかというご質問についてです。私たちは、日米安保条約にかかわる問題は、先ほど述べたように、連合政府の対応としては「凍結」という対応をとるべきだと考えています。すなわち戦争法廃止を前提として、これまでの条約と法律の枠内で対応する、現状からの改悪はやらない、政権として廃棄をめざす措置はとらないということです。

 戦争法を廃止した場合、今回の改悪前の自衛隊法となります。日本に対する急迫・不正の主権侵害など、必要にせまられた場合には、この法律にもとづいて自衛隊を活用することは当然のことです。

 わが党の民主集中制についてのご質問がありました。民主集中制というのは、私たちは特別のことではないと考えています。それは、「民主的な討論をつくし、決まったことはみんなで実行する」という当たり前のことです。この原則は近代政党として当然のものだと考えています。何よりもこうした問題は、それぞれの党の運営のあり方の問題であり、党の内部自治に属する問題です。その種の問題は、お互いに連立政府をつくるさいに障害にしてはならないし、また障害にならないと思います。それぞれの党の理念、政策、あり方の相違は、相互に尊重しあって、一致点で結束することが大事ではないでしょうか。

ユネスコへの拠出金停止、削減の動きをどうみる?

 問い ユネスコ(国連教育科学文化機関)が中国の申請した「南京大虐殺の記録」を世界記憶遺産に登録したことを受けて、日本政府がユネスコへの拠出金の停止を検討する考えを示していますが、日本共産党はどう評価していますか。南京大虐殺に対してどのように見ますか。

 志位 日本政府が、自分たちの意見がいれられなかったからと言って、ユネスコへの拠出金の停止の検討という方策をとることは、国際社会の理解を得ることはできないと考えています。いわば強権的なやり方であって、とるべきではありません。

 南京大虐殺については、虐殺の規模、数については、さまざまな推計がされていますが、私たちは、大虐殺があったということは動かしがたい歴史的事実だと考えています。それは当時の日本軍関係者のさまざまな証言などを見てもあきらかです。それを否定することは許されないことです。

参院選での1人区での選挙協力の対応は?

 問い 次回の参議院選挙の選挙協力について。全国32の1人区が重要と言いましたが、32のすべてで1人に集中する場合、共産党が1人も出ないという可能性はあるのでしょうか。その場合も選挙協力をすることがあるのでしょうか。

 志位 私たちが選挙協力といっているのは、まさに「協力」であって、相互的なものです。すなわち、ある選挙区では私たちが立てないで他の野党の候補者を応援する。ある選挙区では他の野党が立てないで私たちを応援してくれる。あるいは無所属の候補者を共同で推すということもありえるでしょう。いずれにせよ選挙協力ですから、これは相互的なものです。そういう相互の協力を本気になって追求してこそ、一番力が発揮されると思います。

TPPの「大筋合意」をどうみるか?

 問い TPP(環太平洋連携協定)について賛否両論がでています。米国でも、民主党の大統領候補の討論会でも、賛成の立場だったクリントン候補が反対を表明するという事態も起こっています。安倍首相は、たいへん重要な、日本社会全体にとって素晴らしい合意だと称賛しています。日本共産党はTPPをどう考えていますか。合意について他の野党と考えを共有していますか。

 志位 私たちはTPPについては、厳しく反対するという立場で一貫しています。

 この間の「大筋合意」されたという内容をみても、日本が一方的な譲歩につぐ譲歩をやっているという内容になっています。とりわけ一連の重要な農産物について、関税の引き下げと撤廃、輸入枠の一方的な拡大などがはかられようとしていることは、日本の農業、食料自給にとって破壊的な影響を及ぼすものです。

 TPPについては、国会決議が、自民党も賛成して採択されています。農林水産分野の重要5項目については、「聖域の確保を最優先」するとされています。今回の「大筋合意」の方向は、この国会決議にも明らかに反すると考えます。わが党以外の野党も、この国会決議にてらして、TPPの「大筋合意」のような内容での決着には賛成しかねるという方向で一致しうるのではないかと考えています。

 アメリカ国内の状況をみましても、大統領選挙の過程で、民主党のサンダース候補がTPP絶対反対を唱えて支持を伸ばし、クリントン候補も反対を表明するという状況があります。TPPは、米国と日本を中心とする多国籍企業が各国国民を収奪する体制です。ですから、関係する各国国民のなかから反対の声が広がる。

 わが党は、TPP交渉からの即時撤退、調印の中止を強く求めています。多国籍企業の利益を最大化する国際経済秩序ではなくて、各国の経済主権を尊重し、各国の国民生活を最優先にする新しい国際経済秩序が必要です。

「国民連合政府」のもとで日本有事のさいの在日米軍の出動をどうするか?

 問い 「国民連合政府」で、(日本有事のさいには)自衛隊を出動させるということでしたが、(同様の場合に)在日米軍への出動要請についてはどうするのでしょうか。共産党は反対するということでしょうか。

 志位 「国民連合政府」の対応としては、日米安保条約にかかわる問題は「凍結」するということになります。先ほど述べたように、戦争法廃止を前提として、これまでの条約の枠内で対応することになります。日米安保条約では、第5条で、日本に対する武力攻撃が発生した場合には(日米が)共同対処をするということが述べられています。日本有事のさいには、連合政府としては、この条約にもとづいて対応することになります。

 もちろん、日本共産党としては、国民多数の合意を得て日米安保条約を廃棄し、それに代えて日米友好条約を結ぶという綱領で掲げている大方針、大目標を一貫して追求します。しかし、「国民連合政府」にそのための措置を求めることはしません。「凍結」というのはそういう意味です。

沖縄・米軍新基地問題をどうみるか? 沖縄周辺の緊張をどう考えるか?

 問い 沖縄について、翁長(雄志)知事の要求を否定する安倍政権の動きをどう考えますか。沖縄周辺での戦争の準備につながる軍事化の進行についてどう考えていますか。

 志位 まず、沖縄の米軍基地の問題について見解を述べます。いま問題になっているのは、名護市辺野古に海兵隊の最新鋭の基地を建設するという問題です。この動きに対して、昨年、沖縄県民の総意として、これを拒否するという審判が、明確に下されました。この総意のもとに、翁長新知事が生まれました。翁長知事は、勇気をもって、公約を実行するという姿勢を貫いています。

 13日、翁長知事は、前知事が行った辺野古の埋め立て承認を取り消すという決定を行いました。私たちはこれを強く支持します。翁長知事は、この決定を明らかにした記者会見で、「日本の民主主義が問われている」と訴えました。私も、いま問われているのは、文字通り、日本という国の民主主義だと思います。いったい沖縄県が、島ぐるみで繰り返し「ノー」を突きつけているにもかかわらず、政府がその声を一顧だにせず、強権をもって新基地建設を強行するなどということが民主主義の国で許されるのか。これが問われています。この問題を、日本全体の問題ととらえ、沖縄の決意に日本国民全体が応えなければなりません。沖縄に連帯するたたかいを日本全体でおこしていくことを私たちは呼びかけます。

 名護の新基地建設はきっぱり中止すべきです。それでは普天間基地をどうするのか。「普天間の固定化をしていいのか」。安倍政権はそう恫喝(どうかつ)しています。これに対して翁長知事は、理の通った断固たる反論をしています。普天間基地は一体どうやって造られたのか。沖縄県民が「どうぞ」と差し出したものではない。米軍による軍事占領のもとで、強奪した土地のうえに造ったのが普天間基地ではないか。沖縄県民から無理やり取り上げておきながら、反対するなら「固定化」だと、こういう言い分は許しがたいというのが翁長知事の反論ですが、私は、まさにこの反論にこそ道理があると思います。普天間基地が「世界一危険」というならば、日本政府は、その無条件撤去を求めて対米交渉を行うべきです。沖縄県民に押し付けるのではなくて、アメリカに「返せ」と言うべきです。

 いま一つ、沖縄周辺の緊張の問題について質問がありました。おそらく尖閣諸島をめぐる問題だと思います。私たちは、中国が、尖閣諸島の日本領海内に公船を入れてくる、そのような物理的な力によってことを進めようというやり方には反対しています。こういうやり方はやめるべきだと、中国大使と会談したときにわが党の見解を伝えています。

 同時に、こうした緊張を、自衛隊の海外での活動拡大の理由とすべきではありません。冷静に見る必要があるのは、中国が公船を領海に入れるという乱暴なことをやっているのは事実ですが、軍艦を入れているわけではありません。そのときに日本が海上自衛隊で対応するということなったら、中国は海軍で対応するということになりかねない。この問題は、決して軍事対軍事の悪循環に陥ってはならないというのが、私たちの主張です。

 わが党は、尖閣諸島に対する日本の領有権の主張は、国際法上も、歴史的にも、まったく正当なものだという詳しい見解を発表しています。この問題は、何よりも、外交の場において、日本政府が、領有の正当性を、中国政府に対しても、国際社会に対しても、道理をもって説くことによって解決すべきです。もちろん、領海を守るうえで海上保安庁が対応することは当然ですし、必要なら強化も当然です。繰り返し言いたいのは、軍事対軍事のエスカレーションを起こしてはならないということです。そういう方向に陥ることが、日本の平和にとっても、地域の平和と安定にとっても一番危険なことです。


「しんぶん赤旗」2015年10月17日(土)
 日本共産党の志位和夫委員長が、15日の日本外国特派員協会で行った講演は次の通りです。


「提案」実現の最大のカギ―「野党は協力を」の声を国民的な流れに

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講演する志位和夫委員長=15日、日本外国特派員協会


 今日はご招待をいただきまして、まことにありがとうございます。日本共産党の志位和夫でございます。

 9月19日未明に、安倍政権・与党によって安保法=戦争法が強行されました。日本共産党は、同日の午後、第4回中央委員会総会を緊急に開催し、「戦争法廃止の国民連合政府」の「提案」を決定しました。

 私たちの「提案」は、つぎの三つの柱からなっています。

 第一は、戦争法(安保法制)廃止、安倍政権打倒のたたかいをさらに発展させようという、たたかいの呼びかけです。

 第二は、戦争法廃止で一致する政党・団体・個人が共同して「国民連合政府」をつくろうという、政府の提唱です。

 そして第三は、「戦争法廃止の国民連合政府」で一致する野党が、国政選挙で選挙協力を行おうという呼びかけです。

 すでに「提案」は、大きな反響を呼んでいます。私たちは、この「提案」をもって各界・各分野の方々との懇談を続けていますが、これまでにない広範な方々から賛同と激励の声が寄せられていることは、たいへんうれしいことです。最近のJNNの世論調査では、「共産党が呼びかけた選挙協力」について、37%の方が「期待する」と答えています。「野党は協力を」という声が、一つの流れとなりつつあります。これを文字通りの国民的な流れにしていくことが、この「提案」を実現する最大のカギとなります。私たちは、そのためにあらゆる努力を続けたいと決意しています。

 この「提案」をもっての野党各党との話し合いも始まりました。私は、民主党、社民党、生活の党との最初の党首会談をおこないましたが、全体として良いスタートが切れたと考えています。維新の党とも党首会談が行われることになると思います。さまざまな困難もありますが、互いの信頼関係を大切にして、粘り強く話し合いを続け、合意できるように誠実に努力したいと考えています。

本気で、戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻そうとすれば、実行する政府が必要

 メディアの報道では、私たちが選挙協力を呼びかけたことに、注目が集まっています。しかし、私たちの「提案」の一番の要は、「国民連合政府」という政府を提唱したことにあります。もちろん、「国民連合政府」という名称は仮称でありまして、みんなで決めればいいと考えています。

 なぜ「国民連合政府」か。

 一言で言えば、本気で日本の政治を立て直そうとすれば、いまどうしてもこうした政府を実現する必要がある。これが私たちの考えです。

 私は、三つの点を強調したいと思います。

 第一に、本気で、戦争法(安保法制)を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻そうとすれば、それを実行する政府が必要になります。

 すでに国会論戦で明らかになったように、戦争法は、憲法9条をじゅうりんして「海外で戦争する国」へと日本をつくりかえる違憲立法です。それを進めたやり方も、60年余にわたる政府の憲法解釈を一内閣の専断で覆すという、立憲主義を乱暴に破壊するものでした。戦争法は、内容でも、やり方でも、二重に憲法を破壊するものであり、この法律ばかりは与党の「数の暴力」で成立させられたからといって、それを許したままにしておくことはできません。私たちは戦争法廃止の新たなたたかいを、国民とともに大きく発展させていきたいと強く決意しています。

 戦争法を廃止するためには、廃止を求める勢力が衆議院と参議院で多数を獲得し、廃止法案を可決することが不可欠となります。同時に、それだけでは足りません。それだけでは集団的自衛権行使を容認した昨年7月1日の「閣議決定」が残ります。これが残る限り、自衛隊の海外派兵の大きな火種が残ります。デタラメな憲法解釈が続き、立憲主義がないがしろにされた異常事態が続くことになります。ですから、この「閣議決定」はきれいさっぱりと撤回されなければなりません。

 そして戦争法廃止、「閣議決定」の撤回という二つの仕事を、本気でやろうとすれば、安倍政権のもとではもとより不可能です。それを実行する新しい政府をつくることが必要不可欠となってきます。

本気で、安倍政権を打倒しようとすれば、それに代わる政権構想が必要

 第二に、本気で、安倍政権を打倒しようとすれば、それに代わってどういう政権をつくるのか。安倍政権を打倒した後の政権構想を、野党が責任をもって示すことが、どうしても必要となります。

 野党間に、国政の基本問題での政策的一致が存在する場合には、本格的な野党連立政権をつくることが現実的な課題になるでしょう。しかし、現実にはそうした一致が存在しません。だからといって野党間で基本政策が一致するまで待つわけにはいきません。それでは、安倍政権がいつまでも続くことになります。

 それではどうするか。私たちの「提案」は、野党間で政策的な相違点があるもとでも、それを横に置いて、“戦争法廃止、立憲主義の回復”――この一点で、この国民的大義で、一致するすべての政党・団体・個人が共同して連立政府をつくろうというものです。「小異を捨てて大同に」という言葉がありますが、私たちの提案は、「大異を横に置いて大同に」というものです。

 この政府は、この一点での合意を基礎にした政府ですから、その性格は暫定的なものとなります。すなわち、この政府は、その任務を達成した時点で、解散・総選挙を行い、その先の日本の進路については、国民の審判をふまえて選択すべきだと考えます。そのことを、私たちは「提案」のなかに率直に明記しています。

 安倍政権を打倒した後に、どのような政権をつくるのか。それはそれぞれの野党に問われている問題です。それはまた多くの国民にも問われている問題だと思います。打倒した後も、自民党内の政権のたらいまわしで、安倍政権の亜流政権に交代するだけでは、何の意味もありません。私たちは、「国民連合政府」という政権構想が、現時点で、安倍政権に代わる唯一の現実的で合理的な政権構想だと確信するものです。

本気で、選挙協力を成功させ、自公を打ち負かすためには、国民的大義が必要

 第三に、本気で、野党の選挙協力を成功させ、自民党・公明党を打ち負かし、安倍政権を退陣に追い込もうとすれば、野党の側が明確な国民的大義を掲げることが、どうしても必要となります。

 昨年12月の総選挙で、私たちは、沖縄1区〜4区までのすべてで選挙協力を行い、すべてで自民党候補を打ち破って、勝利をかちとりました。なぜ勝利ができたか。その最大の要因は、「辺野古新基地反対」という「オール沖縄」の声――県民的な大義を、高々と掲げてたたかいぬいたことにありました。

 野党が選挙協力を行ったとしても、自公に打ち勝つのが容易ではないことは明らかです。勝利するためには、国民的大義をはっきりと示すことが必要です。私たちは、「戦争法廃止、立憲主義回復、国民連合政府」という国民的大義を明確に示し、そのもとで野党が結束してたたかってこそ、勝利をつかむことが可能になると考えます。野党が、共同して政権を担うというところまで互いに腹を固めてこそ、そして、その本気度が国民に伝わってこそ、激しい選挙戦を勝ち抜くことができる。これが私たちの考えです。

 要は、野党が、本気になって日本の政治を変える志をもつかどうか。私たち野党に問われている問題の核心はここにあると考えます。

 本気で立憲主義を取り戻そうとすれば、本気で安倍政権を打倒しようとすれば、本気で選挙協力を成功させようとすれば、「国民連合政府」の旗を掲げることがどうしても必要となるのではないでしょうか。これが私たちの立場であります。

「政策的に違う政党が、政権を共にすることには無理がある」という批判にこたえる

 先日、あるメディアからの取材で、「政策的に違う部分がある政党が、暫定的な政権であれ、政権を共にすることには無理があるという批判にどうこたえますか」という質問がありました。

 こうした質問に対して、私は、まず、「立憲主義の回復」という課題は、あれこれの政策問題とは次元の違う、この国の根幹、土台を立て直す大問題だということを強調したいと思います。どんなに国会で多数をもつ政権であっても、憲法の枠組みは守らなくてはならない。これが立憲主義の要請です。ところが現状は、この根幹、土台が崩されているのです。それをそのままにしておけば、日本は無法国家になってしまいます。独裁政治になってしまいます。すなわち、日本の政治は、あれこれの政策を論じる土台そのものが損なわれかねないという非常事態にあります。「立憲主義を取り戻す」という課題は、政権をつくるうえで、これ以上の憲政上の大義はないといってよいほどの、大きな国民的大義を持つ課題であるということを、私は強調したいと思います。

 それではその他の国政上の課題をどうするか。私たちは、「立憲主義の回復」という国民的大義での大同団結がはかられるならば、その他の国政上の問題についても、「相違点は横に置き、一致点で合意形成をはかる」という原則で対応していくことが可能になると考えています。

 たとえば、日米安保条約についてどうするか。私たちは(安保条約)「廃棄」という方針ですが、国民連合政府の対応としては「凍結」するということになります。「凍結」とはどういうことか。戦争法廃止を前提として、第一に、これまでの条約と法律の枠内で対応する、第二に、現状からの改悪はやらない、第三に、政権として廃棄をめざす措置はとらないということです。野党間の政策上の相違点については、こういう精神で対応していきたいと私たちは考えています。

 もちろん、一致点では前向きの仕事にもとりくんでいきます。重要なことは、野党5党には、安倍内閣不信任案を共同で提出したことに示されるように、「安倍政権の退陣・打倒」という点では、政治的一致がすでに存在するということです。そういう政治的一致を基礎におけば、安倍政権の民意を無視したさまざまな暴走に対しても、これを許さず、転換をはかるという立場に立って、さまざまな協力の一致点が見いだされるのではないでしょうか。一例ですが、たとえば、労働法制の問題では、この政府のもとで前向きの改革が実行できるのではないかと考えています。

 こういう立場で政策的な調整を行えば、国民に責任をもった政権運営を行うことは、十分に可能だと私は考えています。

「個人の尊厳」を守り、大切にする社会への歴史的一歩を踏み出す政府となる

 最後に「国民連合政府」が掲げる「立憲主義を取り戻す」という課題が、国民のみなさん一人ひとりにとってどういう意味を持つのかについてのべたいと思います。

 いま安倍政権が行っている政治の特徴を一言でいうならば、国家の暴走によって、「個人の尊厳」を踏みにじる政治と特徴づけることができるのではないでしょうか。それは戦争法でも、沖縄問題でも、原発問題でも、労働問題でも、税と社会保障の問題でも、あらゆる問題で言えることです。

 それはまた、この政権が突然持ち出した「1億総活躍社会」なるスローガン、菅官房長官の「たくさん産んで国家に貢献」という言葉にもあらわれています。“国家のために働け、国家のために子どもを産め、GDP(国内総生産)600兆円を達成せよ”。国家と個人の関係がまさに逆立ちしているではありませんか。国家のために国民があるのではありません。国民の幸せのためにこそ国家があるのではないでしょうか。

 それは、日本国憲法第13条が国家に命じていることです。この条項では冒頭に、「すべて国民は、個人として尊重される」とあります。私は、「個人の尊重」「個人の尊厳」こそ、近代民主主義の原点のなかの原点であると考えるものです。

 「国民連合政府」が目標とする「立憲主義の回復」とは、すべての国民一人ひとりの「個人の尊厳」を守り、大切にする社会をつくることにほかなりません。

 この間、戦争法案に反対して立ち上がった多くの国民は、まさに一人ひとりの意思で、「個人の尊厳」をかけて立ち上がりました。

 これらの人々が広く手を結んでつくる「国民連合政府」は、文字通り「すべての国民」の「個人の尊厳」を守り、大切にする社会への歴史的一歩を踏み出す政府になると、私は確信をもって言いたいと思います。

 ご清聴ありがとうございました。


「しんぶん赤旗」2015年10月16日(金)
 「戦争の善悪の区別がつかない首相に、日本を『海外で戦争する国』につくりかえる戦争法案を出す資格はない」。日本共産党の志位和夫委員長は20日の党首討論で、日本が過去に行った戦争に対する安倍晋三首相の認識を問いただし、戦争法案撤回を迫りました。 

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党首討論で安倍晋三首相に質問する志位和夫委員長(左)=20日、衆院第1委員室

 志位委員長が党首討論にのぞんだのは11年ぶり。一連の国政選挙での躍進を受け、実現しました。

 志位氏は、戦後70年の節目の年にあたって日本が過去の戦争にどういう基本姿勢をとるかが重大問題になっていると提起し、首相に「過去の日本の戦争は『間違った戦争』だという認識はありますか」と端的に問いました。

 安倍首相は、村山富市首相談話(1995年)など「節目節目にだされている政府の談話全体として受け継いでいく」とのべるだけで、善悪の判断を正面から答えません。

 そこで志位氏は、日本が1945年8月に受諾し、戦後日本の始まりとなった「ポツダム宣言」に言及しました。同宣言は、日本の戦争に対する認識を二つの項目で明らかにしています。

 一つは、日本の戦争を「世界征服」のための戦争だったと明瞭に規定した第6項。もう一つは、日本の戦争を「侵略」と規定し、「暴力と強欲」で奪った地域の返還を求めた「カイロ宣言」の履行を記した第8項です。

 志位氏は「ポツダム宣言の(間違った戦争という)この認識を認めないのか」と問いただしました。

 首相は「私はまだ、その部分をつまびらかに読んでいない。論評は差し控えたい」と答え、戦争の善悪をかたくなに口にしないばかりか、戦後日本の原点となった「ポツダム宣言」すら読んでいないという首相の資格に関わる重大な事実が明らかになりました。

 志位氏は「『侵略戦争』はおろか、『間違った戦争』だともお認めにならない」と指摘したうえで、「いま進めようとしている集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、米国が、世界のどこであれ、戦争に乗り出したさいに、その戦争に自衛隊を参戦させるものです。しかし、米国の戦争の善悪の判断が総理にできますか。日本の戦争の善悪の判断もできない総理に、米国の戦争の善悪の判断ができるはずがない」と述べ、戦争法案の撤回を求めました。


(討論全文)

 志位 今年は、戦後70年です。この節目の年にあたって、日本が、そして総理自身が、どういう基本姿勢をとるかは、たいへん重大な問題であります。

 戦後50年の「村山談話」では、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩ん(だ)」と述べ、過去の日本の戦争に対して「間違った戦争」という認識を明らかにしております。

 総理に端的にうかがいます。過去の日本の戦争は「間違った戦争」という認識はありますか。

 ことは日本自身が行った戦争の善悪の判断の問題です。歴史の研究の話ではありません。日本の平和と安全に責任を持つ政治家ならば、当然判断しなければならない問題です。「間違った戦争」という認識はありますか。端的にお答えください。

 首相 今年は、戦後70年の節目の年であります。70年前、戦争は終結をしました。しかし、さきの大戦において、多くの日本人の命は失われたわけであります。同時に、アジアの多くの人々が戦争の惨禍に苦しんだ。日本はその後の歩みのなかで、まさに塗炭の苦しみを味わったといってもいいと思います。

 戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない。われわれはこの不戦の誓いを心に刻み、戦後70年間、平和国家としての歩みを進めてきたわけであり、その思いにまったく変わりはないわけでございます。そして、だからこそ、地域や世界の繁栄や平和に貢献をしなければならないと、こう決意をしているわけでございます。

 当然、また、「村山談話」、あるいは「小泉談話」、節目節目に出されているこの政府の談話を、私たちは全体として受け継いでいくと、再三再四申し上げてきたとおりでございます。(議場がざわめく)

 志位 私が聞いているのは、何も難しい問題じゃないんです。過去の日本の戦争が、「間違った戦争」か、「正しい戦争」か、その善悪の判断を聞いたんですが、まったくお答えがありませんでした。

志位 「ポツダム宣言」の認識を認めないのか

首相 つまびらかに読んでいないので論評は差し控えたい

志位 この問題は、すでに70年前に歴史が決着をつけております。

 戦後の日本は、1945年8月、「ポツダム宣言」を受諾して始まりました。「ポツダム宣言」では、日本の戦争についての認識を二つの項目で明らかにしております。

 一つは、第6項で、「日本国国民ヲ欺瞞(ぎまん)シ之ヲシテ世界征服ノ挙(きょ)ニ出ヅルノ過誤」を犯した勢力を永久に取り除くと述べております。日本の戦争について、「世界征服」のための戦争だったと、明瞭に判定しております。日本がドイツと組んで、アジアとヨーロッパで「世界征服」の戦争に乗り出したことへの厳しい批判であります。

 いま一つ、「ポツダム宣言」は第8項で、「『カイロ』宣言ノ条項ハ履行(りこう)セラルベク」と述べています。

 「カイロ宣言」とは、1943年、米英中3国によって発せられた対日戦争の目的を述べた宣言でありますが、そこでは「三大同盟国は、日本国の侵略を制止し罰するため、今次の戦争を行っている」と、日本の戦争について「侵略」と明瞭に規定するとともに、日本が「暴力と強欲」によって奪った地域の返還を求めています。

 こうして「ポツダム宣言」は、日本の戦争について、第6項と第8項の二つの項で、「間違った戦争」だという認識を明確に示しております。

 総理におたずねします。総理は、「ポツダム宣言」のこの認識をお認めにならないのですか。端的にお答えください。

 首相 この「ポツダム宣言」をですね、われわれは受諾をし、そして敗戦となったわけでございます。そしていま、えー、私もつまびらかに承知をしているわけでございませんが、「ポツダム宣言」のなかにあった連合国側の理解、たとえば日本が世界征服をたくらんでいたということ等も、いまご紹介になられました。

 私はまだ、その部分をつまびらかに読んでおりませんので、承知はしておりませんから(議場がざわめく)、いまここで直ちにそれに対して論評することは差し控えたいと思いますが、いずれにせよですね、いずれにせよ、まさにさきの大戦の痛切な反省によって今日の歩みがあるわけでありまして、われわれはそのことは忘れてはならないと、このように思っております。

 志位 私が聞いたのは、「ポツダム宣言」の認識を認めるのか、認めないのかです。はっきりお答えください。

 首相 いま申し上げましたようにですね、まさに「ポツダム宣言」を私たちは受け入れて、これがまさに戦争を終結させる道であったということであります。この、われわれは受け入れることによって、終戦を迎え、そして、まさに日本は平和国家としての道をその後、歩き始めることになったということではないかと思います。

志位 日本の戦争の善悪の区別さえつかぬ首相に、米国の戦争の善悪の判断ができるわけがない

 志位 私は、「ポツダム宣言」が認定している「間違った戦争」という認識を認めないのかと聞いたんですが、認めるとおっしゃらない。これは非常に重大な発言であります。

 戦後の国際秩序というのは、日独伊3国の戦争は侵略戦争だったという判定の上に成り立っております。ところが総理はですね、「侵略戦争」はおろか、「間違った戦争」だともお認めにならない。

 総理がいま進めようとしている集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、アメリカが世界のどこであれ、戦争に乗り出したさいに、その戦争に自衛隊を参戦させるというものであります。しかし、米国の戦争の善悪の判断が、総理にできますか。日本が過去にやった自らの戦争の善悪の判断もできない総理に、米国の戦争の善悪の判断が、できるわけないじゃないですか。(「そうだ」の声)

 戦争の善悪の判断ができない、善悪の区別がつかない、そういう総理が、日本を「海外で戦争する国」につくり変える戦争法案を出す資格はありません。撤回を強く求めて終わります。(大きな拍手)


ポツダム宣言から
 六、吾等ハ無責任ナル軍国主義カ世界ヨリ駆逐セラルルニ至ル迄ハ平和、安全及正義ノ新秩序カ生シ得サルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ日本国国民ヲ欺瞞(ぎまん)シ之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ツルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレサルヘカラス

 八、「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ

「カイロ宣言」(1943年12月1日)から

 「三大同盟国ハ日本国ノ侵略ヲ制止シ且(かつ)之ヲ罰スル為(ため)今次ノ戦争ヲ為(な)シツツアルモノナリ右同盟国ハ自国ノ為ニ何等ノ利得ヲモ欲求スルモノニ非ス(あらず)又領土拡張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ス」

 「日本国ハ又暴力及貪慾(どんよく)ニ依リ日本国ノ略取シタル他ノ一切ノ地域ヨリ駆逐(くちく)セラルヘシ」


ポツダム宣言
 第2次世界大戦末期の1945年7月26日、米・英・中が、対日戦の終結、日本の降伏の条件を定めて、ドイツのポツダムで発した宣言。ソ連も対日参戦にあたってこれに加わりました。日本軍の無条件降伏と日本の民主化・非軍事化を要求しました。日本は8月14日、天皇出席のもとで開かれた御前会議で宣言の受諾を決定しました。


「しんぶん赤旗」2015年5月21日(木)より

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