きょうの潮流

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 1913年9月4日の朝、社会運動家の木下尚江は、病の床に伏す田中正造にあいさつしました。「いかがです」▼身も心も、足尾銅山の鉱毒から住民を救うたたかいにささげた、あの田中正造です。まくらについたまま軽くうなずく正造。やがて、まゆの間に深い谷のようなしわを刻みながら語ろうとします。「これからの日本の乱れ―」▼うららかな日差しの同日午後、正造は71歳の生涯をとじました。木下尚江が残した正造の臨終の記録を読むとき、やはり考えてしまいます。正造が語りきれなかった「これからの日本の乱れ」について▼彼の死後、日本はさらなる戦争国家の道をつきすすみました。あげくに、侵略の野望に血塗られた大日本帝国は滅び、人々は憲法9条の平和国家の道を選び取りました。しかし戦後、足尾鉱毒事件のような環境破壊をくり返して住民と国土をむしばみ、いままた9条を亡き者にして戦争する国へ戻そうと企てる勢力が…▼田中正造は、国の行く末を見通すかのように「非戦」「無戦」を唱え、すべての軍備の廃止も説きました。彼の死から来年で100年。1世紀間の「日本の乱れ」と正造の考えを重ね合わせると、日本共産党の存在が思い浮かびます▼命がけで侵略戦争に反対した党。第5回中央委員会への報告は、「1世紀近い歴史で試された党」の自覚を深め、「憲法9条を守るたしかな力を大きく」とよびかけました。そんな党を語るとき、田中正造の名を借りても、失礼にはあたらないでしょう。


「しんぶん赤旗」2012年10月19日(金)きょうの潮流より

 「第九(だいく)」で親しまれるベートーベンの交響曲第9番ニ短調。その第4楽章「歓喜の歌」を、自由への賛歌としてうけとめる人は多い。それは欧州の歌でもあります▼ひと口で欧州といっても、そこには50をこえる国や地域がひしめき合います。それぞれが独自の言語や文化を形成し、過去にはたびたびいがみ合ってきました▼大きく傷ついた第1次世界大戦後、この地を平和的に統合しようと「パン・ヨーロッパ運動」が起きます。提唱したオーストリアのカレルギー伯爵は、それには独仏の和解が必要だと訴えました▼しかしヒトラーの登場とともに運動は挫折、ふたたび欧州は戦火に覆われます。平和への思いが実ったのは、各国とも多大な犠牲をだし、衰退した第2次世界大戦後でした。手始めは、仏・西独・伊など6カ国が参加した欧州石炭鉄鋼共同体。統合分野は次々に拡大し、1993年、ついにEU(欧州連合)が発足します▼現在は27カ国が加わるそのEUに、今年のノーベル平和賞が贈られました。理由は「欧州を戦争の大陸から平和の大陸に変革させる重要な役割を果たした」。国家間の和解や国境をこえたとりくみの成果とともに、その前途にも希望をこめた授賞なのでしょう▼いまEUはユーロ危機や加盟国の財政危機にみまわれています。きびしい緊縮策を押しつけられた市民からは賞に批判の声もあがっています。生活の安定をもたらしながら「ひとつの欧州」がどう発展していくか。人類史の壮大な実験を見守りたい。


「しんぶん赤旗」2012年10月16日(火)きょうの潮流より

 少々古い話を。ことし7月、日本に住むフランス人記者、レジス・アルノーさんの記事に注目しました▼「人気お笑い芸人の河本準一は生まれる国を間違えたのだろうか」。河本さんが、“高収入を得ながら母親が生活保護を受けていた”と、自民党議員に攻撃された事件によせて書いています▼「フランスの基準からすれば、河本親子は当然のことをした。母親は失業して国に助けを求めた。息子は一生懸命働いて高い所得税を払っているのだから、政府の歳入の足しにさえなっている」(『ニューズウィーク日本版』7月18日号)▼お国柄の違いと退けられません。日本でも、1950年にできた今の生活保護法は、金持ちの息子がいても仕送りがなければ保護を受けられる建前です。46年の旧法では、仕送りがなくても仕送りできそうな息子がいれば受けられなかったのですが▼今も“自分たちの負担で”と、「自己責任」を振り回す人たち。政府は、生活保護をもっと“狭き門”にする考えです。が、もともと、震災や原発事故、会社の都合の失業で収入を失うのは、自己責任といえません。私たちは、放っておけば失業や貧困のはびこる社会が土台の国に住みます▼マルクスが説きました。「資本」は貧しい人を助ける費用を「自分の肩」から労働者や庶民の負担になすりつけるすべを知っている。その「資本」の無責任とたたかい、社会は進歩してきました。ちなみにアルノーさんによれば、フランスの親子の絆は「とても強い」そうです。


「しんぶん赤旗」2012年10月13日(土)きょうの潮流より

 ブリを漢字で書くと「鰤」。一説によると、師走の12月においしくなるから、といいます。あぶらの乗った寒ブリの季節が近い▼ブリの産地の新潟・佐渡島でいま、新しい名物として売り出し中の料理がブリカツです。ただ揚げればいいというわけではありません。こだわりの料理人の間で、おきてをつくっています▼刺し身にできる新鮮なブリをつかう。米粉をまぶす。米粉は佐渡産の朱鷺(トキ)米のものに限る。味付けはトビウオのだしで…。朱鷺米は、特別天然記念物トキが暮らせる田んぼでつくったお米です。農薬や化学肥料を減らして栽培します▼宿の料理長さんが、ブリカツのおきてを紹介しながら胸を張りました。「そんなわけで、私たちは安心・安全の佐渡島をめざしています。電気も、島の中の発電でまかなっているので原発に頼りませんから」。トキを野に放ち始めて4年。島ぐるみ一市の佐渡市も、「人とトキとが共生できる美しい島づくり」を宣言しています▼佐渡は、本土の柏崎刈羽原発の50キロ圏です。福島の原発事故から4カ月後の昨年7月、市議会は意見書を出しました。原発への依存をおおもとから見直すよう求め、「太陽光、風力、地熱など…を基幹エネルギー」に、と提案します▼宿の若い女将(おかみ)さんが、興奮気味に話していました。「きのう、なにげなく空をみるとトキが飛んでいるじゃないですか。初めてみました。オレンジでもピンクでもない、あのトキ色。きれいでした。命の大切さを教えてくれるようでした」


「しんぶん赤旗」2012年10月12日(金)きょうの潮流より

 「戦争は、人間の腐敗の果実であり、政治体のけいれん性の重病である」。およそ250年前の文章です▼書き手は、フランスのダミラヴィルという人らしい。「一言でいえば、平和は、すべての社会の目的である幸福を人民に得させる」。逆に戦争が国家にとっていかに有害か、さまざまな理由をあげて説きます▼「…いかなる国家であろうと、もっとも目ざましい勝利でも、戦争の犠牲となった多くの成員の損失の埋め合わせをつけることは決してできない」。わが日本国憲法9条にいたる、人類の平和思想の脈々とした流れの一こまです▼筆者は、戦争をあおる者への警戒も忘れません。「戦争の党派は、混乱を煽動(せんどう)し」、「彼らはいう。『…国民は、平和のうちにあっては柔弱となり堕落する。…平和の党は弱者の党にすぎない』と」。いまも、思い当たるふしが多い▼紹介した文章は、ちょうど240年前の1772年にひとまず完結した、フランスの『百科全書』の一項目「平和」です(岩波文庫『百科全書』から)。26年の歳月を費やし、180人を超える人が書いた『百科全書』。編集にあたった思想家ディドロは、こう予言しました。「この書物はやがて人々の心にまちがいなく革命をひきおこすでしょう」▼現実にフランス大革命を準備したとされる『百科全書』は、進歩派の書き手の「共同戦線」でした。仲間同士の論争や別れもありましたが、いまの激動の世界でも、現代版の知の共同が求められているのかもしれません。


「しんぶん赤旗」2012年10月11日(木)きょうの潮流より


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