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安倍晋三首相は、「大胆な金融政策」で「異次元の金融緩和」をすれば銀行の企業への貸し出しが増えると言っています。しかし、安倍首相はその一方で、中小企業の資金繰りを支える制度を打ち切っています。実際、大銀行の中小企業等向け貸出比率は、最低水準に落ち込んでいます。(山田俊英) 円滑化法を廃止 安倍政権は3月末、中小企業金融円滑化法を打ち切りました。延長を願う多くの声は無視されました。中小企業や住宅ローン利用者が金利の引き下げなど貸し付け条件の変更を希望する場合、応じるよう金融機関に義務付けた法律です。2008年のリーマン・ショック以降、経営が悪化した中小企業を支援するため、09年12月に施行されました。30万〜40万社の中小零細企業が利用したとされ、条件変更は300万件を超えます。中小企業の返済負担を軽減し、資金繰りの行き詰まりによる倒産を減らしたと評価されました。中小業者の中では、同法が打ち切られたことで金融機関の姿勢が厳しくなると不安の声が上がっています。 もともと、銀行の中小企業向け貸し出しは減少傾向でした。民間金融機関による中小企業向け貸出残高は、01年3月の293兆円から12年12月には221兆円へ72兆円も減少しました(中小企業白書2013年版)。 特に、三大銀行グループ(三菱UFJ、みずほ、三井住友)の中小企業等向け貸出比率は、05年の「3メガ」発足後、最低です。3メガバンクの国内貸し出しに占める中小企業等向け貸出比率は、13年3月期決算では60・4%。これまで最低だったリーマン・ショック直後の09年3月期の60・8%を下回りました。金融円滑化法の打ち切りは、こうした中小企業に冷たい銀行の姿勢にさらに拍車をかけるものです。 「頼みの綱」となるべき政府系金融機関も短期的な「効率化」を迫られて審査基準を厳格化しています。中小企業の融資に公的機関が保証を付ける信用保証制度は、自公政権のもとで05年、「全額保証」から「部分保証」に後退させられました。 金融機関の責務 今、必要なことは、民間金融、公的金融ともに本来の役割を発揮できるように金融行政をおおもとから転換することです。日本共産党は、企業の99%、雇用の7割を支える中小企業を支援し、地域経済に円滑に資金が供給されるよう金融行政を転換します。 中小企業金融円滑化法を復活し、さらに使い勝手の良い制度につくり替えます。金融機関、特に大銀行による貸し渋り、貸しはがしをやめさせます。「地域金融活性化法」を制定し、金融の公共性の発揮と円滑な資金供給に関する国、自治体、金融機関の責務を明確にします。 「しんぶん赤旗」2013年7月20日(土)より
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経済
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日本の大企業は、活動の軸足を急速に国内から海外に移しています。そのもとで、財界は、国民経済への責任を投げ捨て、“国を選ぶ”多国籍企業のための税財政・規制緩和策を求めています。 日本経済を代表する自動車産業は、関連する産業が広く、「産業の山脈」とも呼ばれています。しかし近年、自動車生産は海外へ軸足を移しています。 「産業山脈」崩壊 日本の自動車メーカーの海外生産は、20年前の1993年には434万台でした。2012年には、3・6倍の1583万台に達しました。一方、同時期の国内生産は、1123万台から994万台に12%も減少しています(図(1))。今、「産業の山脈」の崩壊が懸念されています。 国内の製造業の事業所数と従業者数の減少にも歯止めがかかりません。 2011年の国内製造業(従業者10人以上)の事業所数は、前年比3・2%減の12万586事業所と4年連続で減少しました(図(2))。 一方、日本企業の海外現地法人における製造業の従業員数が急増しています。11年度末における海外現地法人の従業者数は523万人と、過去最大の規模でした。そのうち8割近い411万人が製造業で、今回はじめて400万人台を超えました。 1992年の112万人と比較すると、20年間で3・67倍に急増したことになります。一方で、国内の製造業は減少が続きます。92年に1569万人いた国内製造業従業員は、20年間で3分の2近くまで急減しました(図(3))。 大手銀にも変化 大手銀行の貸し出しにも大きな変化が出ています。三大銀行グループの海外貸出金は「3メガ」発足以来、2倍以上に増えています。その一方、中小企業等貸し出しは減っています(図(4))。 日本の対外純資産の額は、22年連続で世界一です。政府や企業、個人が海外に保有する資産から、海外からの対日投資などの日本にとっての負債を差し引いた対外純資産額は、2012年末現在、統計史上最高額の296兆3150億円でした。これは、内需の慢性的停滞による資本の“海外逃避”という性格を持っています(図(5))。 安倍政権が閣議決定した「成長戦略」は、「グローバル競争に勝ち抜く筋肉質の日本経済」を目指すことや「収益力を飛躍的に高め世界で勝ち抜く製造業」を目指すことをうたっています。国民経済を犠牲にした一握りの多国籍企業を支援する政策は、日本経済の基盤を掘り崩します。 「しんぶん赤旗」2013年7月16日(火)より
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安倍政権の経済政策「アベノミクス」による株高で業績が回復した大手証券2社の役員報酬が、2013年3月期に1億円を超した役員が前年の2人から10人に急増していたことが6月27日に公表された有価証券報告書などでわかりました。 |
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庶民からむしり取り、大企業にふるまう安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の正体がいよいよはっきりしてきました。大企業にはトリプル(3重)減税、その一方で庶民には消費税増税で13.5兆円もの負担増を押し付けようとしています。 大企業向け減税は、(1)15年3月に期限切れとなる東日本大震災の復興特別法人税分の引き下げ(2)安倍政権が閣議決定した「成長戦略」にある「思い切った投資減税」(3)参院選公約に明記した「法人税の大胆な引き下げ」―の三つです。 復興特別法人税は、民主党政権下の2012年4月、法人税減税と同時に3年期限で導入されました。現在、法人課税は約38%ですが、15年4月からは約35%まで減税されることになります。 6月14日に安倍政権が閣議決定した「成長戦略」は、「思い切った投資減税で法人負担を軽減」することや、研究開発など「国内投資を促進するため、税制・予算・金融・規制改革・制度整備といったあらゆる施策を総動員」することを打ち出しました。 三つ目の減税となるのが、自民党の参院選公約に書き込まれた「法人税の大胆な引き下げ」です。引き下げ目標は参院選公約には明記されていません。しかし、昨年11月に自民党の日本経済再生本部が発表した「中間とりまとめ」には、「世界水準を目指した法人税の大胆な引き下げ(税率20%台)」と書かれていました。 大企業にはトリプル減税する一方で、庶民に対しては負担増が待ち受けます。安倍政権は、消費税率を来年4月に8%、15年10月には10%へと引き上げることを狙っています。消費税増税だけで、国民の負担増は13兆5000億円にも上ります。消費税増税を強行すれば、個人消費が減少し、中小企業の経営は行き詰まります。経済が悪くなれば、税収も減少し、財政も破たんしかねません。 日本共産党は、暮らしも経済も破壊する消費税大増税の実施を中止することを主張し、参院選挙で「大企業減税、庶民増税ノー」の審判を下そうと呼びかけています。 「しんぶん赤旗」2013年7月2日(火)
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安倍晋三首相は、日本経済の活動が“好転”したなどと「アベノミクス」の「成果」を誇っています。その内容は本当でしょうか?(清水渡) 首相の言い分―その1「暗く重い空気は一変した」 “空気一変”は金持ちと大企業だけ 見かけ上の「景気回復」をもって安倍首相は「世の中を覆っていた暗く重い空気は一変した」と胸を張ります。しかし、「空気が一変した」と感じているのは、金融緩和でぼろもうけした投機家と、株価の上昇と円安で、大もうけした一部の輸出大企業だけです。 安倍政権のもとで経済政策は投機家と大企業を喜ばせる方向に動き出しましたが、庶民生活を向上させる方向には動いていません。 大企業が大もうけしても庶民のふところはあたたまらず、取り巻く暗く重い空気は一向に晴れません。 庶民にとって「重く暗い空気」を一変させるには所得を増やし、雇用を安定させることです。大企業にため込んだ内部留保を吐き出させ、労働者の賃金と中小企業の下請単価を引き上げさせることが必要です。低賃金にあえぐ非正規雇用労働者の労働条件を改善し、「正規雇用が当たり前」の社会をつくることが求められています。 首相の言い分―その2「経済指標はことごとく改善」 庶民に実感なし 不都合な数触れず グラフ:設備投資の推移 安倍首相は「経済を表す指標はことごとく改善をしています」と繰り返します。しかし、「改善」を実感している人がどれだけいるでしょうか。世論調査でも景気回復の実感は「ない」が78%(「朝日」6月11日付)と圧倒的です。 一時期と比べれば生産や消費は増えたといっても、今までが悪すぎただけの話です。大企業のコスト削減・賃金引き下げによる内需減少が日本経済低迷の最大の原因です。 いま消費が増えているのは、主に株価の上昇を背景に富裕層が高級品を購入しているにすぎません。 一方、安倍首相が口にしない数字があります。経済活動の重要な指標である設備投資は5期連続で減少しています。 企業の設備投資が増えないのは、消費が伸びず、需要のないことを見越しているからです。実際、庶民のふところはあたたまっていません。労働者の平均賃金はリーマン・ショック前となる08年4月の28万1700円から、27万2406円(13年4月)へと1万円近く低下したままです。では安倍首相の経済政策が賃金や雇用の増加に結びつくのでしょうか。世論調査でも「そうは思わない」が45%と「結びつく」の36%を下回っています(「朝日」6月11日付)。所得が伸びない以上、本格的な消費の増加はありません。 首相の言い分―その3「日本の経済政策に世界の関心が集まった」 消費税増税・社会保障切り捨て約束 安倍首相は「G8サミットでは、日本の経済政策に世界の関心が集まりました」と述べて、“アベノミクスが国際的に信認された”としています。 6月17〜18日に英国で開かれた主要8カ国(G8)首脳会議の宣言は、「日本は、信頼できる中期的な財政計画を定めるという課題に応える必要がある」とくぎを刺しました。 安倍首相はG8で「財政健全化」を達成する目標をつくるよう約束させられたのです。これは、消費税率を10%に引き上げ、同時に社会保障の削減を強行することにほかなりません。 ただでさえ「異次元の金融緩和」で円安が進行し、輸入原材料の高騰で日常品が軒並み値上がりしています。その上、消費税増税と社会保障削減が強行されれば、国民生活も日本経済も奈落の底に落ちることは確実です。 首相の言い分―その4「実感はこれから」「とことんやり抜く覚悟」 痛みはこれから 日本経済は破たん グラフ:消費者物価指数と所定内賃金の推移 安倍首相は「(景気回復を)まだまだ実感できていないという方々がおられるのも事実」「私はとことんやり抜く覚悟です」といっています。しかし、アベノミクスをとことんやり抜かれれば日本経済は破たんします。 アベノミクスの「3本の矢」は、(1)「異次元の金融緩和」で投機とバブルをあおる(2)ゼネコンだけがよろこぶ不要不急の大型公共事業(3)原発などのインフラ輸出や正規雇用破壊、設備投資減税など大企業向けの成長戦略―を実行するものです。そのために生じた巨額の財政負担は消費税増税と社会保障削減で埋め合わせしようというのです。 「解雇規制の緩和」や「限定正社員の導入」は正規雇用を破壊し、労働者の賃金を奪います。その上、消費税増税は低迷している内需をさらに冷え込ませ、経済の土台を掘り崩します。社会保障削減は人間らしい生活を破壊します。安倍首相にとことんやらせては絶対にだめです。 とことんやるべきは、消費税増税のストップです。大企業に日本経済への責任を果たさせ、内部留保を社会に還元させ、賃上げを実現し国民の所得を増やすことです。そして社会保障を拡充して国民の暮らしを安定させる政策を実行することです。 「しんぶん赤旗」2013年7月1日(月)より
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