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地域のコトバでしか伝わらないことがある。
だがそれ以外の地域の人々には極めてわかりにくいコトバもある。
「ありひゃー」。
なんとなく驚いているというか、その光景を見ている側が驚くという感情をコトバに出すことで、その光景の人物に注意喚起する…というところだろうか。
コトバ的には「あれぇ!」に近い感じだ。
「うかーさんどぅ!」
これは難解だなぁ。
標準語の5音は「あいうえお」であるが、沖縄の5音は「あいういう」となる。「え」音は「い」音になり、「お」音は「う」音になる。これは沖縄独特ではなく、九州南部あたりからその傾向が出てくる。
ちなみに平安時代の5音は「あいういう」に近く、沖縄にはこの時代の発音が残っているという見方が有力だ。熊本のあたりには室町時代の日本語が残っており、鹿児島はもう少し上る時代のものといわれている。
ちなみに沖縄で「はひふへほ」音を「ファフィフフェフォ」や「パピプペポ」と発音するのも、日本の古語に近い。
古代には南西諸島から東北辺りまで発音の同質性があったということかもしれない。
弥生時代から古墳時代を経て畿内に中央政権ができ、文化が地域間交易に乗って伝播されることによって、中央ではコトバが変化を続け、古いコトバは周縁部に残るという文化のドーナツ型伝播とそれぞれの地域への定着という現象が続いた。だから室町時代の日本語は熊本辺りだけではなく、新潟辺りにも残っている。
さて「うかーさんどぅ」だが。
「う」を「お」にしてみよう。
「おかす」という他動詞が元になっているようだ。これを自動詞にすると「おく」。
これは古語や現代語にある「捨て置く」の「おく」ではないだろうか。
「その状態を見ていたら、こちらの心理状態として捨て置けない」という気持ちのことばが「おかさん」、つまり「うかーさん」となるように思える。
だから「あぶないよー」と声をかけるという意味になる。
どうだろうか、こういう解釈は。
泡盛のアルコールとステーキの脂質がゴッチャリと混じった血液で活性化(疲弊化)した脳みそで考えてみたんだが。
沖縄のコトバは、このような古語を使ったパズルというか、推理が出来るから面白い。
そういえば高校生のときにボクがなついていた先生に大学で何を勉強すべきかと尋ねたところ「これからは比較文化が面白いぞ」とアドバイスを受けた。
その後ボクはそれを守らずア法学部に進んだのだが、いま思えば確かに比較文化というのは面白い。そういうことまで思い出す那覇の夜である。
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