続・つっぱりオヤジの戯言

新しい展開に向って突っ走るぞっ!

小説『つっぱりオヤジ奮闘記』

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あとがき

短かったか?長かったか?面白かったかよくわかんねぇんだが、

前も言ったが、この『つっぱりオヤジ奮闘記』番外編は、映像化を前提にシナリオ書いたのを
ちょこっと手を加えて載っけました。

だから小説としてはガタガタです。

偉そうに言えないが、シナリオは一応頭に映像をイメージして書いてんだな。
それと応募に出す奴だから映像化の範囲内で想定しなきゃならない。ト・・・カッテニオモッテイル。

つまり、低予算で映像化可能。娯楽的なB級内容。2時間枠なのでページ数は120枚程度。

などなどから、ちょこっとハードボイルドでちょこっとラブっぽいのもあり、
その中で俺が言いたいことや主張をちょこっと載せるって感じでした。

小説なら制約ないんでどんなこともテーマにできるがなぁ。

これでシナリオは3作目だが、俺に映画作らせれば必ずいい映画にしてみせるって
やったこともないのにそう思ってんだな。

それに、死ぬまでには絶対一本は公開に漕ぎ着けてやるって思っている。

でも応募で人に頼っても仕方ないから暇見つけてナンかやってみるか!
って気になってる。ゼンゼン、ヒマナンテナインダガナ・・・。

で短絡的に考えたんだが、ネットに履いて捨てるほど動画の投稿とかあるよね。
それを拾ってきて勝手に繋ぎ合わせて勝手にセリフ作ってアフレコで一つの物語にするっての
面白いと思わない?涙チョチョ切れのカンドウモンであったり、バクショウモンじゃなとダメだがな。

いま、肖像権とかややこしいから、でもネットで露出させるくらいなら
たいした問題は発生しないだろう。

でっ、一人で探すの大変だから、暇があったら誰か探してくんないかなぁ。
喜怒哀楽、ただ普通にしゃべってるとかナンの変哲もない日常の動画がいいな。
映画とかドラマはダメ。面白くねぇから、あくまでも普通の人が普通に撮った奴。

ここに行ったら、いい動画があるよって情報でもいい。画像が汚いのもダメだな。

万が一、万が一、話題になって金儲けできたら、成功報酬でみんなに還元すっからね。
テーマとか内容の提案でもいいがな。ヨロシクデッス・・・。


まっ、今思いついただけだから、また改めて提案しよっかな。

そんじゃ、おっ疲れ様ぁ。まったね〜!!!

表に出ると警察官と野次馬でごった返していた。直ぐに人ごみを掻き分けて救急車が入って来る。
寛は辺りを見回した。人垣の向こうに敦と紀子が抱き合っているのが目に入った。
「ヒロシ!ヒロシ!」
手を振り人ごみを掻き分けながら早紀が近寄ってくる。
早紀に気付いた寛も人ごみの中に入って行った。
やっとのことで近づくと二人は泣き叫びながらしっかりと抱き合った。
「オヤっさんが!オヤっさんが!」
寛の声は号泣で言葉にならなかった。その度にただしっかりとしがみつく早紀。

やがて事務所からオヤジを乗せた担架が運ばれてきた。
我に返った寛は早紀を抱いたまま救急車に近寄った。
「下がって!下がって!」
数人の警察官が二人の行く手を阻む。
それでも寛は警察官の手を振りほどこうと必死に身体を動かした。
救急車のドアが開きオヤジは乗せられそうになる。
「オヤジ!オヤジ!」
そう泣きじゃくって懸命に叫ぶ二人。
少し近づいた寛は救命士の上着を掴んだ。
構わず救命士はオヤジを救急車に乗せた。
「オヤジ!オヤジ!」寛は更に大声を上げた。

突然救急車の中からうめき声がする。
『痛ぇ!痛ぇよ!ナンでこんなに痛いんだよ。おい!モルヒネ打て!』

唖然として泣き止む寛と早紀。
「えっ?死んでないんですか?」
その言葉に上着を掴まれていた救命士が怪訝な顔をして寛を見た。
「何言ってんだ。ショックで気失ってただけだ。跳ね返った弾がケツに当たったくらいで
 人間死ぬわけないだろ。まっ、相手がへたくそで運がよかったな。」

呆然と目が点になる二人。
次の瞬間力が抜けてガクガクと二人は座り込んだ。
いまだ早紀は寛にしがみついていた。
『フ〜っ!』と寛は大きくため息をついた。
「クソオヤジがぁ!」と呟く寛。
「よかったね。」
そう言うと二人は微笑んでまた抱き合った。

「ヒロシ!ヒロシ!」
その声に寛が顔を上げると、別の救急車に乗せらている猛が手を振っていた。。
「ヒロシ!俺、もう女で稼ぐの止めるわ!」
その猛の言葉に笑いながら寛も手で応えた。
「もう二度と助けないからなぁ!」
寛はそう叫ぶと早紀を抱き起こしながら立ち上がった。
敦とノリコが抱き合って駆け寄ってきた。
寛は敦の肩を抱き、早紀と紀子も泣きながら抱き合う。

騒ぎが静まると二人は寄り添ってバイクに向かった。
バイクに近づくと和が座り込んだまま泣いていた。
和の肩を寛は『ポンポン』と叩いた。
顔を挙げ和がゆっくり立ち上がった。
「俺、俺、怖くってナンもできんかった。」
和が申し訳なさそうに寛に言った。
「ありがと。お巡り呼んでくれたんだろっ。」
明るく寛が言う。
「それくらいしかできんかった。」
寛は和の肩を抱いた。
和から手を離すと思い出したように早紀に向かって言った。
「早紀、ナンで来た?」
「ヒロシの現チャリ。」
笑顔で答える早紀。
寛はまた和の方を向いて言った。
「カズ。お前、現チャリに乗って帰れ。」
ぼーっとしている和に早紀がキーを投げ渡した。慌てて受け取る和。

バイクに近づくと早紀がぽつっと言った。
「エンジン掛かったんだね。」
「ごめん。待てなかった。」
「今度約束破ったらタダじゃ済まないからね。」
「二度と破らない。」ときっぱり言う寛。
「ホンとかなぁ。」笑いながらも疑うように早紀が言った。

ふと気づいたように寛は早紀の姿を眺め回した。
「あら、いい格好してんなぁ。孫にも衣装か?」
「いま頃気付いたの?仕事帰りはいつもこうよ。」
「その格好じゃ運転できんなぁ。シート一人用だから乗りにくいぞ。」
「大丈夫。しっかり掴んどくから」
「どこ行く?」
「お任せ。」

二人を乗せたバイクは都会の闇に消えていった。        (完)

入るなり入り口に待ち構えていた数人のヤクザに寛は取り押さえらた。
「ナンだお前だけか?アキラはどうした。」
椅子にふんぞり返ってた本田が寛を見るなり声を掛ける。
「オヤジは関係ないだろっ!タケシたちをどこやった!」
腕をねじ上げられ跪いている寛が悔しそうに叫んだ。
奥の部屋のドアに立っていた徹が寛に近づきながら言った。
「あいつら初めは威勢がよかったがな。隣の部屋で随分いい子になったぞ。」
「俺たちが何したってんだよっ。」
「ばぁか。ガキの癖しやがって、調子に乗って女働かせるからだよっ。」
「やってんのはタケシだけだ。それも小遣い程度だろうがぁ?」
「こういうの見逃しちゃ、次々に真似する奴が出てくんだよっ。俺の下で働くなら可愛がって
やったものを偉そうに『誰が腐れヤクザの下で働けるか!』だとよ。」
ニタニタしながら徹は言う。

そのとき入り口のドアが『バタ〜ン!』と勢いよく開いた。
「本田ぁ!」
ドアを開けるなりそう叫んでオヤジが入ってきた。
一瞬驚いて後ずさりする徹。
「オヤっさん!」
振り向いてオヤジに気づいた寛が叫んだ。

「やっと真打登場ってわけか?」
余裕げにゆっくり立ち上がり本田がおもむろに言う。
[お前ねぇ。相変わらず数ばっかで使い物にならねぇ舎弟ばっかりだな。」
オヤジが本田に向かって言った。
「何の話だ?」
「あれじゃぁ腰が引けて鉄砲玉にもならん。ちゃんとジムに通わせてるのか?
なんなら俺が鍛え治してやろうか。」
「兄貴すんません。」
そう言いながらオヤジの後からボコボコにされた舎弟二人が大人しく入って来た。
「この野郎!調子に乗りやがって。」
怒りを抑えられず歯軋りをする本田。

「本田ぁ、いつまでこんなこと続けるつもりなんだ?時代は変わったんだぞ。」
「俺は忘れてねぇぞ。お前のせいでユウジは死んだ。」
本田は悔しそうにそう言った。
「ふっ、まぁだそんなこと言ってるのか?俺への仕返しでこんなことやってるのなら、
こいつら関係ないだろ。もう帰してやれ。」
本田が思い出したようにしゃべり出した。
「あのときお前が、頭下げて引いときゃユウジも死ななかったし俺もヤクザの道は選ばなかった。」
「言うことがリストラされた中年オヤジと変わらんな。ヤクザは職業じゃなく生き様だろうがぁ。」
「ユウジを殺した組を叩き潰すために俺はヤクザになったんだ。手前だけ高飛びしやがって。」
「お前に俺とユウジの何がわかる。いまさら言ったって始まらんが、俺は族を解散して真っ当に
働くつもりだった。引かなかったのはユウジの方だ。どの道あの性格では長生きできなかったろ。
それが奴の運命だ。」
「フンっ、口では何とでも言える。」
「じゃぁ、ユウジをやった奴はなんで今でものうのうと生きてんだ?」
「うっ?」
本田は顔をしかめ言葉を詰まらせた。
「上から止められてんだろうが。その腹いせに弱い者苛めしてるだけだろ。いまどきこんな素人の
ガキに目くじら立てて追い込むヤクザはいねぇ。へたすりゃ手が後ろに廻るからな。
そんなことわかってるだろ。」
「お前は昔から口が上手かったもんな。ユウジのマブダチってだけで
弱小チームの癖にでかい面しやがって!」
顔を真っ赤にして憎らしげに言う本田。
「お前みたいな奴は、上の方からも煙たがれてんだろ。いまどきイケイケは流行んないだよっ。
 こんなガキや老いぼれ追い込んても箔は付かないぞ。益々立場悪くするだけだ。」
「くそっ!」
本田の怒りは限界に来て今にも爆発寸前だった。

「なぁ、本田。俺もお前も不器用な人間だから社会の流れに着いていけねぇ。こいつらも同じだ。
 いくら社会が気に食わなくても、その中でケつまづきながらナンとか生きてゆくしかねぇんだよ。
 こいつらきっちり俺が面倒見る。二度とお前に迷惑かけねぇ。約束する。」
本田を落ち着かせようと冷静にオヤジは言った。
歯を食いしばって我慢しながらも本田はオヤジから目を逸らした。

本田の態度が変わったことを察知するとオヤジは寛に指図した。
「おい、ヒロシ、あいつら連れて来い。」
「はい!」
寛はそう言うと慌てて起き上がり隣の部屋に駆け足で入って行った。
二人とも相当痛めつけられていた。寛はドアの近くにいた敦の様子を見た。
「俺は一人で大丈夫だ。タケシを頼む。」
敦はゆっくり立ち上がりながら言った。
「ヒロシ、すまねぇ。」
寛の顔を見て安心したように猛が言う。
寛は一人で起き上がれない猛に肩を貸して抱き起こすと事務所に戻った。

敦と寛たちが事務所を出ようとしても邪魔する者はいなかった。
オヤジは本田の顔色を伺いながら後ずさりしてドアの前まで行き、寛たちの後に着いて事務所を
出ようと後ろを向いた。

「待ちやがれ!」
その本田の叫びにオヤジは振り返った。
本田の手には銃が握り締めらていた。
「誰が許すと言った。」
苦々しく顔を真っ赤にして本田が叫んだ。
その様子に驚いた徹が本田に駆け寄って言った。
「兄貴、それはやばいっすよ。」
「うるせぇ!お前は引っ込んでろ!」
徹を無視する本田。それでも徹は何とか本田を止めようとする。
「もう止めましょ。破門ぐらいじゃ済まないっすよ。」
構わず本田はオヤジに言った。
「アキラ!ホンとお前ムカつく奴だな。 土下座でもして潮らしくすりゃ許してやったものを、
 その余裕綽々ってのが気に入らねぇんだよっ!」
オヤジは怯むこともなく笑みを浮かべて言った。
「ナぁンだ、土下座して欲しかったのかぁ?そんなことならいつでもするぜ。」
オヤジは、土下座しようと身を屈めた。

そのとき『ズドーン!』と鈍い銃声が部屋中に鳴り響いた。

あまりの驚きに飛び上がって腰を抜かす徹。
オヤジはぐったりその場に倒れ込んだ。
「ざまぁ見ろ!」
ゼイゼイと息を切らせそう言うと本田はどかっと椅子に座りんだ。
興奮のあまり真っ赤な顔に汗を滴らせていた。

「オヤっさん!」
寛は振り向くと叫びながら慌ててオヤジに駆け寄った。
「オヤっさん!オヤっさん!そんなあ。」
寛はオヤジを抱き起こした。
「うっ、ホンとにやりやがった。ハジキってのは痛くないもんだな。フフフっ、
 痛くないときは死ぬときって言うがな。」
オヤジは目を細め意気絶え絶えに言った。
「何言ってんですか、しっかりしてくださいよ。」
遠くの方からのパトカーのサイレンの音が近づいて来るのが 二人の耳に聞こえた。
ヤクザの下っ端たちはパニックで右往左往しながら逃げ惑っていた。
徹は腰を抜かしたまま、本田は椅子の上でぐったりしていた。

また、オヤジが薄目を開けて寛に話しかける。
「ヒロシ、俺はへそ曲りなんで本当のこと言えなかったが、いまの時代本当に必要なのは
 お前らの若い力なんだ。若い奴らが元気を出さなきゃ日本はおしまいだ。
 お前らが時代を変えてゆくんだよっ。つっぱり方は変わっても変わっちゃならないものがある。
 それは信念だ。いいか、信念だぞっ。絶対忘れるなよ。」
「こんなときに難しいこと言わないでくださいよ。」
オヤジをさらに強く揺すりながら寛は言った。
「ああ、あともう一つ。男の価値は優しさだ。本当の優しさだぞ。早紀ちゃんを大切にしろよ。
 あれはいい女だなぁ。」
 そう言うとオヤジはガクッとうな垂れた。
「オヤっさん!オヤっさん!」
寛はオヤジの意識を戻そうと更に懸命に揺さぶった。目から涙が溢れてくる。

次の瞬間ドカドカと数人の警察官が事務所に雪崩れ込んできた。
口々に罵声を上げながら逃げ惑うやくざたちもあっさりと取り抑えられた。
警察官は力まかせに寛の肩を掴むと強引にオヤジから引き離した。
2人の警察官に両脇抱えられ無理やり連れ出されそうになる。
「オヤジ!オヤジ!」
そう叫びながらできる限りの抵抗を試みるが寛は難なく表に放り出された。

最終回(1)『つっぱりオヤジ奮闘記』
−青春へのメッセージ−


いよいよバイクの組み立ても架橋に入り、エンジンの組み立てなどはオヤジの力を借りないと
出来なくなって来た。 
オヤジは仕事の時間を裂いて、寛の手伝いをすることが多くなっていった。
早紀がニュージーランドの撮影に出かけて10日ほどでバイクは完成した。
寛とオヤジは完成させるため、夕食も取らずにバイクの最終調整に入っていた。

「ヒロシやったな。」
「はい。出来上がりましたね。」
「中々いい出来だぞっ。これで飯食ってけるんじゃないか。」
オヤジが満足気に言った。
「まあ、一日中やってましたからね。でも仕事じゃやれないっすよ。」
「エンジン掛けて走ってみるか?」
「いや、早紀が帰って来てから…。」
「やっぱりお前らできてんだな。」
オヤジが嫌らしい笑みを浮かべながら言った。
「いや、早紀が言ってんですよ…。」
ちょっとムキになる寛。

その時、これ幸いに寛の携帯が鳴った。慌てて携帯に出る。
「ああ、早紀。」
『ああ、ヒロシ?いま空港。やっと帰って来れた。バイクはどうなの?』
偶然にも早紀からの電話だった。ニタニタするオヤジ。
「意外と早かったな。出来上がったぞ。いまからオヤっさんと一緒にエンジン掛けるとこ。」
『もう!いまから行くから待っててよ。』
「冗談!わかった待ってる。」
『絶対よ。直ぐそっち行くから…。』
嬉しそうに寛はゆっくり携帯を切った。

「う〜っ、熱いねぇ。」
またまたオヤジが茶化す。
「そんなんじゃないって言ってるでしょ!」
照れ隠しか、ちょっと怒って見せる。
急に真面目な顔をしてオヤジが言った。
「このバイク、お前にやるよ。」
「えっ、そんないいっすよ。」
慌てて遠慮する寛。
「やるってより、元々お前のだな。」
「いや、いま乗ったら元に戻りそうな気がすんで、オヤっさん持っててくださいよ。   
 ナンか吹っ切れたら貰いに来ますから。こことオヤっさん忘れたくないし…。」
「そうか。それなら預かっとく。」 
「それに、これ一人用のシートですから、オヤっさん用です。」
「この野郎!そのうち見とけ、若いピチピチギャル見せてやる!」

そこへぶらりと入ってくる竜二が入ってきた。
「おっ、やっぱりまだいたんだな。」
「なんだ竜二か。どうした?」
「前を通りかかったんでね。これかっ?」
 バイクを眺め回す竜二。
「う〜ん、カッコいいねぇ俺はドゥカティの方が好きだがな。」
そう言う竜二に寛は真面目な顔をして言った。
「仕事のことで来たんだろ?」
「確かにな、それもある。」
「ナンで俺なんだよ。働く奴他にもいるだろ。」
「何言ってんだ。お前と一緒にやりたいからに決まってんだろ。」
「リュウジ、俺、実は、アメリカに行こうかと思ってる。」
「アメリカ?行って何すんだよ?」
「まだ、決めたわけじゃない。何となくそうしたいなって思ってんだ。」
「金さえ稼げばアメリカなんか何時でも行ける様になるじゃん。」
「そんなんじゃなく、暮らしたいってか、行くなら働くとこ見つけなきゃと思ってる。
 何をやるか決めてないが、いまやっとかなきゃならない気がすんだ。」
そういう寛に納得したようにゆっくり竜二が言った。
「そうか。そいつは残念だ。言い出したら聞かないお前だから止めても無理だろな。
 まっ、ホンと働く奴どこでもいるから、慌てることないかぁ。」


再び寛の携帯が鳴った。
「おっカズ、どうした?・・・・えっ!」
寛の顔から血の気が失せた。
「わかった。直ぐ行く。」
そういうと寛は緊張した顔をしてゆっくり携帯を切った。
「どうしたんだ?」
寛の様子にただならぬ気配を感じ竜二が詰め寄った。
「タケシたちがこの前のヤクザに連れてかれた。」
呆然としながら寛はそう呟くように言った。
「チッ!またあいつら。」
顔を歪め竜二がそう言うや否や寛は素早くバイクに駆け寄っていく。
それに気付いた竜二が寛のそばに駆け寄る。
「何するつもりなんだよ?」
「何って、行くしかないだろ!」
寛は来き上がったばかりバイクに跨り真剣な顔をして言った。
「ばぁか、冷静に考えろよ。いまヤクザなんかと揉めてみろ。働くとこなんてなくなるぞ。
 警察にまかせるんだよ。」
「何言ってんだ。」
「どの道猛は、そのうち痛い目に会う。あいつは変わりゃしない。
 いくらなんでも殺さりゃしないだろ。」
竜二のその言葉に寛は、俯いてしばらく考え込んだ。
ゆっくりオヤジが近づいてきた。
「そいつの言う通りだ。一人で行ってどうする。」
「オヤっさん。…わかんないっす。でも行くしかないっしょ。」
オヤジはさらに近づき寛の目を見つめて言った。
「そうか、じゃぁ、二人で行こう。」
「えっ?いや。」
オヤジの言葉に目を見開く寛。一瞬ためらいながらオヤジにきっぱりと言った。
「オヤっさん巻き込みたくないし、何とかします。」
そう言うと寛はバイクのエンジンを掛けた。。
エンジンが『ブオオオオ〜ン』と轟音を唸らせて掛かる。

『早紀、ごめん。』寛は心の中でそう呟いた。
バイクは急発進で夜の道路に飛び出して行った。
険しい顔で寛を見送るオヤジは
「ばっかがぁ!」と呟いた。

バイクが道路に飛び出すと横から来た黒塗りのベンツとぶつかりそうになった。
寛のとこにもヤクザが向かっていたのだ。
寛は間一髪、ぎりぎりベンツを交わし振り返った。。
急停車したベンツの中からヤクザが顔を覗かせた。慌ててエンジンを掛けようとするが
なかなか掛からない。
オヤジは薄ら笑いを浮かべ、ベンツに近づいて行った。
オヤジに気づいたヤクザが慌てて降りようとした。



寛は真っ先に和が待つ紀子のアパートに猛スピードで向かった。
バイクは10分もかからず紀子のアパートに着いた。
和と紀子がバイクに気づき駆け寄って来る。
「ヒロシ!」
紀子が寛の腕にすがりつく。
「よかった。アツシをお願い!」
心配そうに寛を見つめ叫ぶように紀子が言った。
「わかった。カズ、後ろに乗れっ!」
和が後ろに跨ると直ぐに急発進で走り出した。

バイクはヤクザの事務所に向かった。
バイクが事務所の向かいに止まる。ヤクザの事務所の前は人影もなく静かだった。
寛はヘツメットを脱ぐと『フーッ』と大きく息を吐いた。
「カズ、お前ここにいろ。ナンかあったら警察に電話するんだぞっ。」
和は恐怖のあまり唾を飲み込んで震えながら頷いた。

寛はゆっくり事務所に入って行った。

便利屋に着いた二人は、倉庫の前に座り込み缶コーヒーを飲んでいる。
早紀はしみじみと自分のこと寛に話し出した。
「わたしも高校んとき親が離婚してね。お父さんが大好きだったからホンと悲しかったし
 ショックだった。それで男嫌いになってつっぱってバイクが好きになった。
 わたしの彼氏はバイクよ、っていつも思ってた。それでみんなと知り合って走れればよかったから
 あんまし深く考えなかった。でも最近ノリコ以外友達って呼べないって思う。
 人間って変わるんだぁって思ったら、いつかバイクも好きじゃなくなるのかなぁ、
 なんて考えて、でも不思議と悲しくなかったんだな。
 明日のことはわからない。だから今日頑張れる。いまはバイクが好き。
 それでいいんじゃないと思う。」
そう言うと早紀は自然に寛の肩に頭を預けた。

「俺あんまし自分のこと話さないけど、俺の親は・・・実は・・・とっても仲がいいんだ。」
「えっ?嘘!」
と早紀は驚いて身体を起こし寛の顔を見つめた。寛は黙って照れていた。
「ホンと?」笑い出す早紀。
「一番悲惨な家庭かと思ってたぁ!ナンでそんなにひねくれたの?」
「わかんねぇよ。突然変異だろっ。しかも家族みんな仲がいい。」
「嘘でしょ。」笑い転げる早紀。
「だって、イケイケん時は一番怖かったよ。あんなカッコしてて何も言われなかったの?」
といううとまた寛の肩にもたれる。
「親父か?カッコいいなって言ってた。」
「そんな親がいるのぉ。ヒロシ役者になったら?じゃぁ、いまのヒロシがホンとのヒロシね。」
「ええっ!こんな情けねぇのが俺かぁ?」
「情けなくないよ。」
ちょっとムキになって早紀が言った。
「俺、アメリカ行きたいと思っている。」
「わたしもアメリカ行く。」
「付いて来るなよ。」
「ばぁか。もっと前から決めてんの。」
「何でだ。グラビアアイドルの道どうすんだ。」
「向いてないよ。」
「そうかぁ?」
身体を起こし真面目な顔で早紀は寛を見つめた。
「誰にも言ってないけど、わたし女優になるつもり。18歳で事務所に入って、近道かなって
 勧められるままモデルの仕事始めたけど駄目だわ。アメリカ行って初めっからきっちり
 役者の勉強すんの。」
「そうかぁ。目的あるってのはいいな。」
「ヒロシは行って何すんの?」
「わからねぇ。日本おん出たい。もっと世界を見たい。ホンとのことが知りたい。」
「逃げてないよねぇ。ビビってたらそんなこと考えないよねぇ。」
「竜二が言ったことか?」
「何でだろっ。力いっぱいムカついた。」
早紀は身を乗り出し頬を膨らまして見せた。
「俺が好きだからだろっ。」
そういうと寛は真面目な顔をして早紀を見つめた。
「かも・・・ね。」
早紀は顔を赤らめ寛の目を見つめながら言った。
二人の顔が次第に近づいていく。


「こららぁ!ガキども!こんな夜中に何してる!」
ヤンキーのガキかと思ったオヤジが、えらい剣幕で怒鳴りながら駆け寄ってきた。
二人は慌てて驚いて立ち上がると目を点にして
「オヤジぃ!」
と叫んだ。

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