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土曜日の定期2日目を聴いてきました。
素晴らしかったです。ちょっと感想を。

紀尾井シンフォニエッタ東京 第104回定期演奏会
4月23日(土) 14:00開演  紀尾井ホール
トレヴァー・ピノック(指揮)
イモジェン・クーパー(ピアノ)  
紀尾井シンフォニエッタ東京(オーケストラ)
 (コンサート・ミストレス 玉井菜採)

フォーレ:組曲「マスクとベルガマスク」Op.112
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58
ハイドン:交響曲第103番変ホ長調Hob.1-103「太鼓連打」
***************************
アンコール 
シューベルト:劇音楽「キプロスの女王ロザムンデ」より第3幕間奏曲

チェンバロ奏者で、古楽オーケストラ「イングリッシュ・コンサート」を創設し
牽引してきたピノックさん。紀尾井との共演は、2度の定期でモーツァルト・プロ
昨年のホール開館20周年記念コンサートでバッハ『ロ短調ミサ』、そして4度目の
今回は、フォーレ、ベートーヴェン、ハイドンの名曲たち。

最初は、ピノックさんがフォーレ?と思いましたが、確かに考えてみますと、
イタリア古典劇に由来する劇音楽の組曲ですから、内容や形式からして、
むしろマエストロの得意分野というべきでしょう。実際、序曲が始まるや否や、
この公演が素晴らしいものになるだろうと確信できるものでした。

色彩豊かで、キラキラと輝き、リズムも溌剌としたフォーレ。
音楽はじつにいいテンポ感で、自然に流れていきます。
地中海の春風が柔らかく頬をなでるような心地よさ。一瞬にしてホールの
空気が変わります。しなやかな弦に、艶やかな木管。瑞々しいサウンドと
バランスが絶妙のハーモニー。メヌエットはメヌエットらしく、ガヴォットは
ガヴォットらしく、キャラクターのイメージがしっかり掴まれ、各曲の個性が
自然に立ち現れてきます。これがピノックさんのアプローチ。
小柄なマエストロが指揮台の上で、きびきび躍動し、実に愉しそうでした。

次はベートーヴェン。
イギリスの名ピアニスト、イモジェン・クーパーさんをお迎えして、第4協奏曲。
クーパーさんのソロは、じっくりとしたテンポで、ひとつひとつのフレーズを
慈しみながら、ふんわりとハーモニーで包んでいく、そんな演奏。
壮麗な「皇帝」コンチェルトと比較して、たおやかな旋律が美しい4番は、
女性的なイメージで捉えられることもありますが、とんでもない「イカれた」曲。
1楽章の和声の推移、2楽章のソロとオケのパラレル・ワールド、
3楽章のぶっ飛んだリズム。当時の観客は度肝を抜かれたに違いない。

クーパーさんの演奏は、音楽の枠組みをしっかり捕まえて、響きの輪郭を
明確に打ち出すという点では、やや不足もありましたが、飾らず気取らず、
フレーズの自然な流れを大事にしながら、ひとつひとつ丁寧に歌っていく。
その演奏には、彼女の人間性が溢れていました。

またオケも一丸となって、ソリストをサポート。充実し切っていました。
その美しき象徴が、第1楽章冒頭部。ピアノソロによるト長調の主題提示、
それをオーケストラがロ長調で引き取って入ってくる、この曲の〈いのち〉。
そこを、第1ヴァイオリンは、何とアップ・ボウで入ってきました!
この上なくしなやかで、優しく、共感に満ちた応答。ソリストが醸し出した、
母の抱擁のごとき柔らかい空気感を、見事なまでにそのまま引き取って、
肌理とぬくもりを先へつなげていく。清らかで静謐な弦の美しかったこと!
アップで始めるなんて! ナイス・アイディア。わたし、初めて見ました。
玉井コンマスの弓づけかな。こんな繊細な心配りで、ソリストに満腔の
共感を寄せるオーケストラに拍手。

後半はハイドン「太鼓連打」。
ピノックさんはここでも、しっかりとキャラクターのイメージをつかみながら、
音楽の流れはどこまでも自然であること、それを信条とするアプローチです。
キリッと小粋に引き締まったリズム感と絶妙なテンポ感。
しっかりとバスから組みあげたハーモニーの美しさ。
すべてを自然に感じさせるために、入念に練成されたフレージング。
粒立ちのよい一音一音の発音はとてもクリア。それが流れるように連なっていく。
これぞ、ピノックさんの音楽づくり、その真骨頂でしょう。
ちょっとしたユーモアの遊びはあっても、山っ気のある仰々しい抑揚や誇張は
一切なし。それでいて、どの楽章もどの楽想も、味わい十分。お見事。

それにしても、巧いアンサンブルです。
柔軟性とキレ、明晰さ、躍動感、バランスのとれたハーモニー。
そして繊細なピアニシモから強奏時の鳴りの良さまで、感心しきりです。
力まずに豊かなサウンドを作り出せるのですから、最高に心地よい昂揚感に
酔いしれてしまいました。(ごめんなさい、ちょっと金管は例外・・・。)

マエストロ良し、ソリスト良し、オケ良し、プログラム良し。
音楽への溢れる愛と献身がホールに満ち満ちた午後。
アンコールで再び劇音楽に戻り、役者ぞろいの名舞台はお開きとなりました。

みそ


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