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真の美しさを湛えた、格調高いアンサンブル。
とびきりの演奏家たちによる天衣無縫のモーツァルト。
確かな技術とイマジネーションで、幻想の襞に分け入るブリテン。

N響首席オーボエ奏者 青山聖樹さんの最新CDは、
モーツァルトやブリテンのオーボエ四重奏曲を中核に据えた室内楽アルバム。

しかしその醍醐味を堪能するには、それなりの舌を、耳を要します
濃い味付けばかりで疲れ切った舌では、繊細な香りを取り逃がします。
音楽も同じこと。語りの強度は静けさの深さと双子なのですから。

アンサンブルのパートナーは、ヴァイオリンの玉井菜採、ヴィオラの大野かおる、
チェロの河野文昭。4人は、フルーティストの金昌国氏率いるアンサンブルof
トウキョウのメンバー。青山さんが全幅の信頼を寄せる、勝手知ったる盟友との
共演は、極上のアンサンブルに結実しています。

青山聖樹&アンサンブルofトウキョウ
  青山聖樹 (オーボエ&コール・アングレ)
  玉井菜採 (ヴァイオリン)
  大野かおる (ヴィオラ)
  河野文昭 (チェロ)

収録曲:
J.C.バッハ:オーボエ四重奏曲 変ロ長調
M.ハイドン:ディヴェルティメント ハ長調 P.98
モーツァルト:オーボエ四重奏曲 ヘ長調 K.370
ブリテン:幻想曲(オーボエと弦楽トリオのための)作品2
モーツァルト:アダージョ K.580a 

あまりにも素晴らしいので、私は毎日のように聴いています。
2016年に発表された新譜CDの、とりわけ室内楽部門における最高レベルの
名盤であると確信しています。格調の高さと趣味の良さを兼ね備えた、
これほどの演奏芸術は、世界中探しても、そうそう見つかるものではありません。

でも正直に申し上げると、1点だけ、ひどく残念に思っていることがあります。
録音のバランスです。オーボエと弦楽三重奏のバランス。
オーボエががっちり前に出ていて、弦三部はすっかり後ろに配置されています。
これは、本当に“モッタイナイ”編集だと言わざるをえません。

室内楽作品集とはいえ青山さんのCDですから、オーボエを中心に音響設計を
するのは、当然のことかもしれません。またこのCDに限らず、オーボエであれ
フルートであれ、管と弦楽アンサンブルの室内楽は、管にとって心地よい音色と、
弦にとって心地よい音色がどうしても異なってしまうため、調整困難になります。
そういうことを考えると、致し方ない面もあるわけですが、これだけくっきりと
オーボエと弦三部の前後配置が際立つと、どうしても気になってしまいます。
音楽がどうしても1対3に分離し、オーボエだけが格別雄弁に聴こえてしまう
嫌いが拭いきれません。最初の2曲はまだ耐えられますが、モーツァルト、
ブリテンになると、さすがに、ちょっぴり残念な気持ちになってしまいます。
青山さんのオーボエは文句なく素晴らしいですし、オーボエ・ファンにはそれで
良しかもしれませんが、室内楽アンサンブルとしてこのCDを愉しむとなるとね。

とはいえ・・・。
そうなると、弦三部はいかにも「控えめ」で、「出しゃばらず」といった印象に
落ち着いてしまうかもしれませんが、演奏を丁寧に聴くと、そんな軽はずみな感想
ではとても語れない、信じられないほど濃密なアンサンブルが、まるで事も無げに繰り広げられていることに、こういう録音バランスからでさえ、伝わってくるのです。

だから、モッタイナイと申しているのです!
4人が一体となって生み出している、実に有機的な音楽的対話を、より存分に
届けてくれる録音設定になっていたら、どんなに素晴らしいCDになっただろう!
玉井・大野・河野の弦三部ある限り、オーボエの音をマスクしてしまうような
懸念は、絶対にあり得ないはず。私はアンサンブルofトウキョウのコンサートで
何度となくこの4人のアンサンブルを聴いてきましたが、断言できるもの!

モーツァルトにしても、ブリテンにしても、他の設定を想像できないほど
絶妙のテンポ設定で、受け渡しも合いの手もどれもこれも最高のタイミング。
完璧といってよいほどイメージが共有されたフレージング。管弦を質的な差を
越えて調和が生み出される音色とハーモニー。これらは、この4人だからこそ
可能になった室内楽の醍醐味。それをもっとダイレクトに伝えてくれる録音に
なっていたら、どんなに素晴らしいだろうか。そうと思わずにいられません。

ブリテンについてひと言付け加えるなら、この「オーボエと弦楽三重奏のための
ファンタジー」は、弦三部の音楽的な充実が圧倒的で、私には弦三部が主であり、楽想の変化は常に弦三部が主導しているように思われます。
オーボエは、その上に乗って戯れるように歌い、語り、そして沈黙する―。
だからブリテンで弦三部を後ろに引っ込めてしまっては、アンバランスな印象が
濃くなってしまいます。極めて完成度の高い演奏に仕上がっているだけに、
やっぱりモッタイナイ・・・。

それでも、私はこのCDを多くの皆さまに、強くお薦めしたい。
とりわけ音楽家を目指す若い人たちに。
オーボエの学生さんであれ、ヴァイオリンであれ、ヴィオラ、チェロであれ、
ぜひスコアを手にとり、すべてを掬い取る覚悟で、各パートを耳を傾けてほしい。
この名手カルテットが、互いを聴きながら、それぞれどんなことをしているのか。
彼らがごく当たり前のように、事も無げにやっていることのひとつひとつが、
室内楽の真骨頂につながる一歩一歩なのだと、必ずや確信するはずです。

みそ


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