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ユリア・フィッシャーさんの新譜、ドヴォルザークとブルッフのコンチェルト。
指揮はデイヴィッド・ジンマン、オケはチューリヒ・トーンハレ管弦楽団。
このCD、すごいです。まったく隙がなく、チャランポランなところは微塵もなし。
鉄壁鉄板!恐れ入りました。でも、ちょっと違和感が・・・ドヴォルザークは。
【収録情報】
・ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26 ・ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品53 B.108 ユリア・フィッシャー(ヴァイオリン) チューリヒ・トーンハレ管弦楽団 デイヴィッド・ジンマン(指揮) 録音時期:2012年4月19-20日 録音場所:チューリヒ、トーンハレ 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション) さて、フィッシャーさんのドヴォルザーク、どんな感じかといいますと、
実に堅牢な、楷書体のドヴォルザークです!
隅々まで、一点一画疎かにせず、リズムの型崩れも一切なし。
比較的リニアーな歌いまわしで、ひたひたと、一途に前進。
各部の展開、構成も的確に捉えられていて、揺るぎなし。
ただ、すごく熱い演奏ではあるのだけど、音楽はどこかドライで、醒めています。 「うわぁ〜、ドイツ人だな〜」という印象。適切な印象表現か自信ないけど。
(彼女のお母様はチェコ系で、それもこの曲への思い入れの一因だそうですが)。
とにかく、よく弾ける。迷いなく。これこそが彼女のスタイルであり、強さなのですが、
でも、ときに長所が反転して、ちょっと物足りなく感じてしまう面も無きにしも非ず。
もうひとつ詩情に欠けるというか・・・。あ、言っちゃった。
ドヴォルザークとしては、もう少し心に迫ってくるような、抒情的なカンタービレがほしいなぁ。
よく歌ってるし、フレーズの大きな設計は実に真っ当だけど、もう少し細やかな起伏がないと、
郷愁を誘うような情趣が生まれません。まあ、やろうと思ってできるようなものでもないけど。
音楽と情緒の共鳴というのはね。
あとは音色。フィッシャーさんのヴァイオリンは、美音だけどあまり含みのない率直な音。
トーンハレもどちらかというと同じタイプ。明るくて壮麗な響きだけど、鳴り方がスコーンとしてます。
ソロもオケも、音色的には相性がいいと思いますが、もう少し陰りやくすみみたいな陰影があれば、
もっと音楽に味わいやコクが生まれたと思います!
最後に一点。ドヴォルザークの3楽章では、オケがフリアントのリズムを十分感じ取れてなくて、
べったり3つで刻んでるように聞こえます。フィッシャーさんのほうはきちんと感じて弾いてるように 聞こえますが。この点は惜しいところ。だからオケのリズム感は、どこか鈍くさいです。
重いとまでは言いませんが。もう少しジンマンが注意と指示を徹底すべきだったのでしょう。
なお、ブルッフに関しては、みそ、すごく好き!
フィッシャーさんのキャラクターに合ってるように思います。
こちらのほうが、ご本人もはるかに歌いやすそうですね。
やっぱり、人によって歌いやすい調性、イントネーション、音域、フレーズの長さなど、
それぞれあるものです。ブルッフとの相性は、ユリアさんにはすごく良かったみたい。
またドヴォルザークで感じられた、ともすると含みに欠ける率直さが、
ブルッフでは概ねプラスに作用してます。結果、素晴らしいブルッフに仕上がってる!
ということで、DECCA移籍後、初の本格ロマン派コンチェルトCD。
彼女の気迫と自負心が強烈に伝わってくる力強いCDになっています。
そのぶん、ボヘミアの哀愁は影をひそめてしまっていますが・・・・。
みなさんは、どうお聴きになられましたか?
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