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この春発売された、レイチェル・ポッジャーのバッハ・ヴァイオリンコンチェルト集。
今回は、二重・三重の協奏曲ばかり集めたもの。
このCD、1曲目のあの有名なドッペル・コンチェルトを聴くだけでも、価値ありです!
ぜったい買いです。ほんと素晴らしいよ。超オススメです!
【収録情報】
J.S.バッハ・2台のヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV.1043 ・チェンバロ、フルートとヴァイオリンとのための協奏曲イ短調 BWV.1044 ・オーボエとヴァイオリンのための協奏曲ハ短調 BWV.1060R (原曲:2台のチェンバロのための協奏曲)
・3台のヴァイオリンのための協奏曲ニ長調 BWV.1064R (原曲:3台のチェンバロのための協奏曲)
レイチェル・ポッジャー(ヴァイオリン&ディレクター) ブレコン・バロック ケイティー・バーチャー(フルート) アレグザンドラ・ベラミー(オーボエ) ボヤン・チチッチ(ヴァイオリン) ヨハネス・プラムゾーラー(ヴァイオリン) ザビーネ・ストファー(ヴァイオリン) アンナ・ノヴァク=ポクシヴィンスカ(ヴァイオリン) ジェーン・ロジャーズ(ヴィオラ) ヤン・スペンサー(ヴィオローネ) マルチン・スフィオントケヴィッチ(チェンバロ) 録音時期:2012年10月 まずは、驚くほど有機的なアンサンブルに惚れ惚れしちゃう。
各パートひとりずつのブレコン・バロック。
逃げも隠れもできない自律と責任を担うがゆえに、
実にくっきりとした音の輪郭を保ち、他の声部と生き生きと対話をしています。
アンサンブルの機能性が際立ち、室内楽的なやりとりの綾を楽しむことができます。
バッハのコンチェルトは、ソロとトゥッティとをしっかりと組み合わせて初めて一つ。
対位法的な掛け合い、バスの合いの手、いずれも明朗、明晰です。
とりわけ内声部、ヴィオラの大切な役回りが克明によく分かります。すばらしい!
そして、いずれの曲も、テンポ設定が見事な塩梅。
CDの始まりを飾る1曲目のドッペル。その1楽章は、今となっては、むしろ落ち着いたテンポ。
でも、緩徐楽章でありながら軽やかな前進性のある2楽章、そしてキレのある快速テンポの
3楽章と続けて聴いてみると、いずれも各楽章のキャラクターを存分に表現する上で、
絶妙のテンポ感であったことが分かります。
最後に収録されている、3つのヴァイオリンのための協奏曲も、余裕のあるテンポ設定。
第1ヴァイオリンがめちゃめちゃ難しいですが、テンポが速すぎないことで、
その華麗な装飾性が単なるテクニックの問題に堕することはありません。
テンポ設定って、ほんとうに重要ですね。
それにしても、ポッジャーさんのしなやかさには舌を巻きます。
その秘密は、ボウイングにあるようです!
彼女は、上下弓の弾き分けを、あまりわざとらしくしません。
ピリオドの人たちの中には、「いかにも」という感じでアップとダウンの差異を
強調する人がいますが、ポッジャーさんの柔軟なボウイングには、そうした
過剰さはありません。モダンに近いと言いたいほど。その柔らかいラインは見事です。
最後に、もう一点みそが気に入っているのが、「オーボエ・ヴァイオリン」。
このコンチェルト、とてもいい曲なんですが、どうもオーボエとヴァイオリンのバランスが
よくない演奏が多くて、いつも気になっていたのです。
でも、ベラミーさんのオーボエのほんのりくすんだ音色と少し抑え目の音量により、
ポッジャーさんとのバランスが絶妙になっています。今まで聴いた中での最高の出来。
(まあ、ひょっとして録音・編集上のバランス調整なのかもしれないけど・・・)
とにかく、このCD、本当に大好きになりました。買ってよかったよ。
皆さまにも心からオススメいたします!
P. S. ところで、1曲目のドッペルの3楽章、前打音がついているトリルでも、
下からかけてる(ように聴こえる)音があるのだけど、どういうことかな。
自筆譜に立ち返っても、トリルとかスラーをどうすべきか、判然としないところが
多いようで、けっこう悩ましいそうですね。
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