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イザベル・ファウストのシューマン・ヴァイオリン協奏曲。
この春、注目のCD。オケがフライブルク・バロックで、
指揮がパブロ・エラス=カサドというのだから、興味津津。
ようやく落ち着いて聴けるようになったので、少し感想を。
溢れるばかりのカンタービレで、たっぷり語り、たっぷり歌っていた
アナ・チュマチェンコ先生のシューマンとは、いわば真逆です。
聴く側に聞き耳を立てさせる、ファウストらしい「引きの美学」。
彼女は、バッハだろうが、シューマンだろうが、ベルクだろうが、
引き込んだ世界に、イマジネーションの空間を作り出す。このシューマンも。
繊細で、そこはかとないロマンが、計算し尽くした構成の中に香る。
一見矛盾した、でも首尾一貫した解釈と美学は、確かにすごいと思う。
個別に拾っていけば、好きなところもそうじゃないところもあります。
テンポの設計やフレージングにおいて、とてもチャレンジングな半面、
自然さが損なわれていると感じてしまう面も正直、あります。
第3楽章のテンポ設定も、理解はできるけど、やっぱり遅すぎると感じます。
でも、じっくり付き合って全曲を聴き通すと、彼女が追い求めたシューマン像に、
たしかに辿りつきます。
さて、今回は古楽オケを起用しました。面白いです。
とくに2楽章を聴くと、この共演は正解だったと強く感じます。
実に幻想的な感覚を味わえます。甘やかな陶酔とはちょっと違いますが、
和声の重なりと広がり、交わりと隔たりがもたらす神秘性。
ソロとオケの秘めやかなアモルファス。憧れを誘う音の夢幻世界。
エラス=カサドもオケも、素晴らしいと思う。
この短い間奏曲楽章を聴くだけでも、このCDには価値があるかな。
ということで、やっぱりこのCDは興味深く、価値ある一枚なのです。
【収録情報】
● シューマン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 WoO1
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)
フライブルク・バロック・オーケストラ
パブロ・エラス=カサド(指揮)
● シューマン:ピアノ三重奏曲第3番ト短調 op.110
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)
ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
アレクサンドル・メルニコフ(フォルテピアノ)
録音時期:2014年5月、8月、9月
録音場所:ベルリン、テルデックス・スタジオ
【ボーナスDVD】
● シューマン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 WoO1
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)
フライブルク・バロック・オーケストラ
パブロ・エラス=カサド(指揮)
収録時期:2014年5月8日
収録場所:ベルリン、フィルハーモニー(ライヴ)
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