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「ゲームデザイン誇大妄想狂」
著者:清水亮
工学社
今はユビキタスエンターテイメントの社長をしている清水亮さんの、
ゲームデザイナー時代に書かれた本。
ドワンゴ時代の、サムライロマネスクなどの経験を元に書かれている。
内容は、いわゆるゲームデザイン的な話だが、
元凄腕プログラマーだけあって、企画的な側面からプログラム的な側面まで、
広範にわたっている。
さらに特筆すべきは、どのようなプレーヤーがどのような状況でプレーするか、
なども深く考えている点。
だからこそ、ヒットが生まれるわけだと納得した。
ゲームルールについても、非常によく研究されていると思う。
以下に主なトピック。
●ゲームデザインの7つのパターン
これは、ゲームで使われるパラメーターの相関関係のパターンを7つにまとめている。
●数値設定の重要性
意味の無いパラメーター設定をなくすということ。
簡単に言うとAかBか迷わせるようなジレンマを設定する、ということ。
これ、基本だと思うのだが、ほんと分かってない人は多い・・・
●自動生成とモンタージュ理論
ゲームがワンパターンに陥らないようにする仕組みとしての自動生成の紹介。
これはローグ系の自動生成ダンジョンの話。
それと、もう一つ、映画の手法で有名なモンタージュについて、
プレーヤーがゲームの断片的な情報から物語をつなぎ合わせて楽しむ仕組みについて述べている。
実は、清水さんの講演を以前聞いたことがあって、そこでも似たような話が出ていたが、
ホントにこのモンタージュ理論をゲーム性に上手く取り入れていると思う。
ちなみにその時の話は、ある携帯ゲームにて、
どちらも効果が同じ選択肢をあえて選ばせることで、プレーヤーの側に勝手に物語を生成させる、
というちょっと卑怯だけど、実際にかなりの効果を生んでいた話。
ハードウェア的な制約と、隙間の時間にプレーするという携帯ハードの特性と、
それをプレーするユーザー心理を上手くついていた。
●ルールと世界観の話
ルールを元に世界観をつくり、世界観からルールに影響を与える。
清水さんはこの両方のサイクルでゲームを作るようだ。
ここら辺は、ルール至上主義の任天堂系の考え方とは多少異なる。
●複雑系とネットゲーム
ゲームの場合の複雑系とは、
ゲーム内で多数のエージェントが独立して動き、全体として秩序を成立させること。
清水さんはこの概念をかなり意識している。
個々のエージェントがNPCならばAIの話になるが、実際のユーザーになるならば、
それはネットゲームの範疇になるわけだ。
この後、複雑系を用いた恋愛ゲームの思考実験などもあって面白い。
●人工無能
イライザから始まり、シーマン、どこいつなど、
人工知能ならぬ人工無能の話。
半日で読み終わってしまったのだが、
5年前にすでに、着目点が他と違うと思う。
先を見越している、というか。
あと、この人の文章はとぼけた味があって面白い。
余り偉そうにしてないところが愛されそうなキャラクターだ。
ただ、ブログなどを読んでると分かるが、
本当は異様に熱い人だと思うが。
なかなか面白かったので、同著者の「ネットワークデザイナーズメソッド」も購入した。
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