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神雅のつぶやき、

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なりきりシンデレラ

この小説はとあるニコ生のネタとして投稿した短編小説です。
元ネタは.hack//Linkなので、UNiV.とは若干世界観が異なります。
それと、.hack//Link未プレイの方は若干ネタバレが含まれますので、注意してください。
−2020年4月某日
 俺は今日も自室のベッドで寝転がりながら『The World R:X』をプレイしていた。最近は『P-COM』と呼ばれる携帯端末で気軽にプレイができ、「勉強しろ勉強しろ」と五月蝿い親の目をかいくぐるのも容易になった。
 時刻はまもなく23時。特に遅い時間でもなく、寝るには早い。夜はまだこれから!とクエストをクリアした俺は、再びエリアに出ることにした。
 俺はいつものように"The World"独特の3ワードを組んでカオスゲートをくぐりエリアに出た……ハズだった。

「アレ?こんなエリアだったか?」
 そこにはテクスチャだとわかっていても見とれてしまう背景ではなく、あったのはゴミの山。
「おかしいな…たしかにエリアに出たよな?それにここはドコなんだ?」
 タウンはいくつもある。やはりカオスゲートそれぞれを繋げているのだが、こんなタウンは聞いたことがない。
「ココは"世界"の記憶データがプールされ構成されたタウンよ」
 忽然と、目の前に一人の白いウォーロックが姿を現し言う。
「…あなたは「今、タウンではちょっとした事件が起きているみたい。あなたもその『被害者』の1人って訳」
 突然現れたPCの正体は何者なのか、聞こうとした言葉を最後まで言わせずウォーロックは続けた。
「…事件ってな「たまたま事件が起こるのと同じタイミングでカオスゲートを使用して、ここに流れ着いたようね…ココはアナタのような一般PCが来るべき場所じゃないの」
 どうやら俺の質問に答えるつもりはないらしいく、また言葉を重ねられてしまった。
「…24時まで1時間だけあげる。ココではアナタは『誰にでも』なれるし『どんなこと』でも追体験できるわ、それこそ".hackers"の英雄・カイトになって世界を救うこともね?精々楽しみなさい」
 白いウォーロックそれだけ言い残すとどこかへ消えてしまった。

 それから俺は考えた。あのウォーロックが言っていた意味がどういう事かを。
 わかった事といえば、"ココ"ではPCボディは自由に変更出来るようだ。そして、どうしてかわからないがそのPCの記憶や性格も『コピー』できる。『追体験』とはこういう事なのだろう。
「よっしゃ!いっちょやってみっか!」
 ある程度理解できた俺は、1つ『追体験』してみようと勢い込む。さいわい、知り合いのゲーム屋のおじさんに古参のTheWorldプレイヤーで『伝説』といわれたプレイヤーの名前、姿を無理矢理教えられていた。
(でも、いったい誰を…?)
 制限時間はすでに30分を過ぎており、恐らく1回の追体験でリミットだろう。
 10年以上サービスをしている"The World"には『伝説』と呼ばれたプレイヤーは多い。
 攻略不可能といわれたクエストをクリアした『フィアナの末裔』の2人。
 『最後の結末』にたどり着いたという".hackers"。
 唯一、全宮廷のチャンピオンとなった元PKK『死の恐怖』等々。
 変わった所では『鉄アレイ』を引き連れたり、猫を引き連れたり、女を引き連れたりした『伝説』もあるらしいがそれは割愛させてもらおう。
「ん〜迷うぞ。さて誰が良いものか…?」
 時間はないが1回を無駄にしたくない。だから慎重に『1番の伝説』はどれかを考えていると、目の前に新たなPCが現れた。
 さっきの白いウォーロックとは違い虚ろな目をした少女は言葉を紡いだ。
「アナタはアナタ。ジブンはジブン。ホカはホカ」
「…は?」
 少女の言っている意味はまるで理解できなかった。
「ヒトリヒトリ違うからソレがいい。ミンナ一緒だったら『世界』はつまらなくなる。アナタはアナタになればいい」
 少女の姿をよく見ると、PCボディのアチコチから『ノイズ』が出ていた。
「バグ…か?」
「だから、アナタはアナタになって」
 そういうと少女は消えてしまった。
「アナタはアナタ…か」

「さあ、そろそろリミットよ」
 1時間が経つ頃、再びあの白いウォーロックが目の前に現れた。
「あぁ」
 俺は座っていたスクラップのテレビから立ち上がり対峙する。
「あら?結局1度も『追体験』しなかったのね。どうして?」
「そーだな」
 追体験したい『伝説』がなかった、と言ったら嘘になる。はじめはやろうと思っていたしな。
 だがやらなかったのは、特に『やる必要』を感じなかったからだ。
「俺は俺。他人を真似して模倣したところで俺のモンじゃねぇし意味がない。本当に意味があって価値がある『伝説』ってのは自分で起こしたモンにあるんだと、気付いたからさ」
「…そう」
 白いウォーロックは仮面で表情こそ見えないが、驚いているようだった。
「では、アナタを元の"世界"に戻すわよ」
「あぁ、たのむ」
 そのウォーロックの呪紋ターゲットが俺を囲むと俺の姿が消え始めた。転送が開始されたのだろう。
「じゃあな「えぇ、またいつか。アナタがアナタであり続ける限り、またどこかで会えるでしょう」
 白いウォーロックは俺の別れの挨拶さえも遮った。

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