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「エマ。これからまたユウナギを追かけ、お前にまた面倒をかける事になる。そんな俺について来てくれるか?」
「当たり前でしょ!ハヤトが無謀なことをした時、私以外の誰が止めるのよ?」
その意思は変わらない事に俺は感謝し、江茉《エマ》も守っていくことを再決心した。
「なによ、ハズい事を何度も言わせないでよねっ。もう、とっとと行くよ!」
江茉《エマ》は威勢良く話し、照れ隠ししていた。
「ちっと待ち、」
その勢いを止めたのは、八代《ヤシロ》だった。
「渡世人が、丸腰で行ぐんかぃ・・・?」
俺は武器を必要としない徒手空拳だから特に必要としないが、先の戦闘で愛刀・水映月《スイエイゲツ》を折ってしまった江茉《エマ》には必要だろう。
しかしあいにくココは神社で武器は置いておらず、取って戻って来るまで『門』が開いているかわからない。
「これを持ってけ」
そう言って八代《ヤシロ》は、自身が持っていた刀を鞘に入れて渡した。
「・・・これって!」
江茉《エマ》の驚きも当然だろう。
それは国宝級の妖刀・小松五郎義兼《こまつごろうかねふさ》だった。
「こんなん、受け取れないよ!」
伝説の刀に江茉《エマ》は触ることも戸惑い、返そうとするが八代《ヤシロ》はそれをさらに押し返す。
「神雅が宗家と分家に分裂してしまったんはワシの責任なんに、はぁその溝を埋めることは出来ねぇと諦めてたぃね。だけんどお前たちは、まだ出来るのだと身をもって教えてくれた。これはその礼だと思って、何も言わねで持ってってくれねぇかぃ?」
それは神雅の総主としての、八代《ヤシロ》なりの感謝だったのだろう。
そんな事を言われてしまっては江茉《エマ》でさえ、その刀を受け入れざるを得なかった。
「・・・ありがと」
妖刀は普通なら刀も破壊されてしまう技の衝撃もなかったように、美しく輝いていた。
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