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「あぁ、わかってるよ」
この世界には1つだけ、特別な仕事がある。
『トレジャーライセンス』と呼ばれる資格を持っているの者のみが行える、いわゆる『派遣』の仕事だ。
この街・テンショーは鬼《モンスター》の住まう外界とヒトの住まう街とを巨大な壁で妨げられており、これを越えられるのはこの資格を持っている者だけと制限されている。
したがって、『外の街』と行き来きし、貿易や代行を行うのもトレジャーの重要な仕事である。
俺たちは『兄・夕凪《ユウナギ》を探す目的』を果たすためにも、この2週間でこの資格を取得した。
だが、この世界に来たものの、それ以上の情報はなかった。
現在、俺たちは『異界から来た者』として援助されているが、まずは先立つものを得るために『仕事』をすることとなったのだ。
今、時刻は朝8時。約束の時間まではまだ2時間ほどあるが・・・
「ハヤト、まだ回転道路《ローラーロード》使えないんでしょ?いつまでものんびりしてるんじゃないわよ!あと10秒で準備できなきゃ斬るわよ?」
このテンショーの道路は『回転道路《ローラーロード》』と呼ばれる、特殊な加工が施されている。
足から氣を放出することによって、足を動かさずに高速で進むことができる、というモノで、まさにこの世界の文化が進んでいることを象徴していた。
だが、外功・・・氣の放出が得意でない俺は、なんども練習したのだがいまだコレをうまく扱えないのだ。
まあ、それでも走れば同じだから、扱えなくても別にいい。
「もう準備終わったから、その刀をしまってくれないか?」
抜きかけていた刀をしまったのを確認して、今度は一緒に玄関から出る。
途中、江茉《エマ》がまたエレベーターのボタンを壊しそうになったことは伏せておこう。・・・斬られるからな。
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