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『フユちゃん・・・なのね?』
目の前の『記憶』は人がいなくなったのを見計らったかのように、しゃべりはじめた。
「・・・うん」
わたしが生まれてすぐ、わたしの母親は亡くなってしまった。
だから、わたしには母親の記憶はまったくない。だから、
はじめて母親と会えた。
はじめて母親と話せる。
それだけで、たとえこれが偽者だったとしても、わたしにはどうでもよかった。
『大きくなったね。もう10年なのね』
「・・・うん」
『お母さん』は淡々と語る。
『大丈夫?悩んでいることとあるんじゃない?・・・やっぱり『普通』なこと?』
「・・・えっ!?なんでわかったの?」
『お母さん』はいきなり直球な所を突いてきた。
『だって、あなたのお母さんだもの』
母親ってのは、そんなものなのだろうか?
正直、まだ実感はないが、話しているだけで気分は楽になる気がする。
『だけど、それがあなたのいい所なの、もっと自分を大事にしなさいね?』
「・・・うん」
さっきからわたしは返事しかしてないな。
ちょっと前ならもし母親に会えた時の質問とか考えていたんだけど、実際会うとなにも出てこなかった。
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