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俺たちは走った。それぞれの待ち合わせの場所に向かって。
まあ、正確には走ってるのは俺だけで、小学生のフユさえもローラーロードを使いこなし滑っている。
そんなどうしようもなく2度目の自己嫌悪をしていると、空と大地をつなげる様に高い塔が見えてきた。これこそがバベル。
この塔に来たのはこれで4度目になるが、この圧倒的絶対的な高さには来るたびに驚嘆する。
白い壁に設けられた光源用の窓だけが螺旋を描いて外壁を登っていく姿は、古代メソポタミア神話にある"バベルの塔"の完成品そのものだろう。
バベル周辺は広場になっており、そこでも露天商や大道芸人が店を広げており、いつでもお祭り騒ぎだ。
もちろん商人がいるという事は買い手もいるわけで、ここには多くのトレジャーたちであふれている。 周囲の広場ですらこれなのだから、一流企業のみが出店を許されたバベルの中は大変な込みようだろう。
「それじゃあ…ここからは"それぞれ"待ち合わせの場所で落ち合おう!」
集合場所はみな一緒だが、大混雑を極めるバベルで"集団行動"は不可能なため、ここからは"自力"の戦いになる。
「ひとりで大丈夫なん?」
「はい!このくらいは慣れてますので大丈夫です!それでは先に行きますね!」
江茉《エマ》はフユの事を心配したが、難なく突入していく地元民に杞憂であったようだ。
「俺たちも行こうか」
「うん。無事に"集合"しようね!」
互いの気合いを入れなおすと、ここぞとばかりに人と人の"隙間"に体を押し込んだ。
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