ここから本文です

神雅のつぶやき、

目指せ!1週間1回以上更新!

書庫.SS-壱楽章-

本編【UNiV.SchicksalSymphonie】――ユナイヴ.シックザールシンフォニー

兄・夕凪《ユウナギ》を探すため、弟の迅人《ハヤト》と従兄妹の江茉《エマ》が異界を旅し2人の成長を描くバトルアクション・ファンタジー。

記事検索
検索

全5ページ

[1] [2] [3] [4] [5]

[ 次のページ ]

 俺たちは走った。それぞれの待ち合わせの場所に向かって。

 まあ、正確には走ってるのは俺だけで、小学生のフユさえもローラーロードを使いこなし滑っている。

 そんなどうしようもなく2度目の自己嫌悪をしていると、空と大地をつなげる様に高い塔が見えてきた。これこそがバベル。

 この塔に来たのはこれで4度目になるが、この圧倒的絶対的な高さには来るたびに驚嘆する。

 白い壁に設けられた光源用の窓だけが螺旋を描いて外壁を登っていく姿は、古代メソポタミア神話にある"バベルの塔"の完成品そのものだろう。

 バベル周辺は広場になっており、そこでも露天商や大道芸人が店を広げており、いつでもお祭り騒ぎだ。

 もちろん商人がいるという事は買い手もいるわけで、ここには多くのトレジャーたちであふれている。 周囲の広場ですらこれなのだから、一流企業のみが出店を許されたバベルの中は大変な込みようだろう。

「それじゃあ…ここからは"それぞれ"待ち合わせの場所で落ち合おう!」

 集合場所はみな一緒だが、大混雑を極めるバベルで"集団行動"は不可能なため、ここからは"自力"の戦いになる。

「ひとりで大丈夫なん?」

「はい!このくらいは慣れてますので大丈夫です!それでは先に行きますね!」

 江茉《エマ》はフユの事を心配したが、難なく突入していく地元民に杞憂であったようだ。

「俺たちも行こうか」

「うん。無事に"集合"しようね!」

 互いの気合いを入れなおすと、ここぞとばかりに人と人の"隙間"に体を押し込んだ。

 ん?っとどこかで俺じゃない、俺以外の「あっ!」の声が聞こえた。

「いっけなーい。忘れてました…私、待ち合わせしてるんです」

「…待ち合わせ? もしかしてトレジャーの?」

「はい。中央の塔――バベルで午後1時に…」

 それは偶然にも同じ場所。同じ時間であった。

 まあ、待ち合わせするなら分かりやすい場所なので、こんなこともあるのだろう。

「それじゃあ、急いで行かないと、相手の方困ってるんじゃない?」

「そうですよね…。それじゃあ、武術の件、おねがいします!」

「お、おう」

 フユも思い立ったら即実行、猪突猛進というか、周りが見えなくなるようだ。

 生真面目なのに時間が見えなくなるところとか、江茉《エマ》と同じタイプか…。

「待ち合わせの場所も一緒みたいだし、途中まで一緒に行きましょ?」

「はい!」

「――それで、俺たちを探してたのはどうしてなんだ?」

 そういえばまだ話の根本理由を聞いていなかった、と話を戻す。

「えっと――ご存じだと思いますが、この世界で『武術』って珍しいんです」

「…知ってる」

 この世界では、武術ばかりでなく発展しすぎた科学と魔法のせいで『格闘技』の一切が必要なくなってしまっている。

 そのため、トレジャーの全体から見ても未曾有のフロントアタッカー(接近戦闘員)不足なのだった。

 接近戦闘を行うのは、もの好きか、変わり者――つまり俺たちのような渡世人だけである。

「なので、もしよろしければ、わたしに接近戦を教えてもらえないでしょうか?」

「おぅ、いいぞ。教えてやる――って、なんだって??」

 もともと師範をやっていた性なのか、予想外の言葉につい乗ってしまった。やはり――俺に向いていた仕事だったのかもしれない。

 しかし、少女。しかも、子供。その上、この世界で。教えてもいいが、を受け止めきれるとは思えない。

「その――ダメでしょうか…?」

「いや、ダメ、ではないが――」

 子供というのは突拍子のないことを言うことは知っているが、この子供は本当に突拍子がない。

 もしかして、それを言うためだけに見ず知らずの俺たちのもとへ駆けつけてきたのだろうか。もしそうだとしたら、とんでもない行動力だ。

「フユちゃん。格闘を習いたいって気持ちは良くわかったわ。必ず教えてあげる。でも――」

「――でも?」

 さっきから江茉《エマ》はちらちらとのぞき見ている方向にはひとつの時計があった。

「私たち、これからトレジャーの仕事に行くところなの。帰ってきてからでもいい?」

「「――あっ!」」

 そういえば、俺たちは仕事の待ち合わせに行くところだったんだ――。すっかりいろいろな事があって忘れていた。

 その時計の針は、待ち合わせの時間より大きく遅れていることを指し示していた。

「べっ…別に仲好くなんかないわよ!」

 江茉《エマ》が珍しく動揺しているようだ。

「お互いに相手の欠点までよく分かっているのは、仲のいい証拠ですよ!…もしかしてお付き合いされているんですか?」

「お、お付き合い!?」

 いつも強がっている江茉《エマ》だが、子供が相手ではどうやら本調子がでないようだ。

 このまま慌てふためくを望むのも面白いが、後が怖そうなのでそろそろ助けておこう。

「いやいやフユ…ちゃん、だっけか?俺たちはこうして一緒にここまで来たが、付き合ってもいないし彼氏とか彼女とかの関係でもないよ」

 また怯えられては会話が続かないので、江茉《エマ》に言われた通りに言葉を納めて訂正してやる。

「それでは、どうしてそんなに仲が良いんですか?」

「俺は神雅迅人《シンガ ハヤト》。んで、こいつは従兄妹の神雅江茉《シンガ エマ》だ。親戚で幼馴染みで兄妹みたいなもんだな」

「ご兄妹だったんですね…わたしったら早とちりして…すいみせんでした…」

 俺の言葉を聞くと、今度はフユが慌てて謝罪してきた。

 年の割に言葉も丁寧でその育ちのよさがうかがえたが、恋愛などに敏感に反応してしまうのはやはり子供である。

「わ、わたしは…フユ。四季咲《シキザキ》フユ…です…」

「シキザキ…?四季咲っていうと…あれか?」

 俺の指差す先には『シキザキコーポレーション』のロゴマークのお店がある。

 シキザキコーポレーションはテンショーの大富豪が出資・経営し、ユニバーシティ中に広がったそのブランドが安心の代名詞となっているほどだ。

「…は、はい」

 少女はその四季咲《シキザキ》の苗字を受け継ぐ『お嬢さま』だった。

「ハヤト!怖がらせちゃダメだっていったのが聞こえなかったん?」

「…ちょ、やめ…やめろ!」

 江茉《エマ》の居合斬りを俺は両手で挟んで止めた。

 …てか、止めていなければホントに斬られていたぞ、これ…

「…あはははははw」

「…?」

 その時、フユはなにが面白かったのか、とつぜん笑いだした。

「いえ、ごめんなさい。ちょっと…ただ、仲いいなって思いまして」

全5ページ

[1] [2] [3] [4] [5]

[ 次のページ ]

ブログバナー

ゆにこん
ゆにこん
男性 / AB型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

最新のコメント最新のコメント

すべて表示

検索 検索
友だち(5)
  • はい?
  • シャッフル
  • 亮
  • 黒凰白銀
  • kotyo
友だち一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

Yahoo!からのお知らせ

よしもとブログランキング

もっと見る
本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事