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神雅のつぶやき、

目指せ!1週間1回以上更新!

書庫.SS-壱楽章-

本編【UNiV.SchicksalSymphonie】――ユナイヴ.シックザールシンフォニー

兄・夕凪《ユウナギ》を探すため、弟の迅人《ハヤト》と従兄妹の江茉《エマ》が異界を旅し2人の成長を描くバトルアクション・ファンタジー。

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 少女が画面を直接タッチして下にスクロールしていくと

『【拡散希望】居酒屋プブスで武術使いが魔術使いの強盗を倒したらしいなう!』

 と書かれていた。

「へぇ、面白そうだね。ちょっと触らしてくんない?」

「いいですよー!」

 それを見ていた江茉《エマ》は未知の機械に興味を示したのか、少女にそれを借りていじりだす。

「エマ…どうでもいいけど、そんな高そうなもんを壊すなよ…?」

「…あんまりバカにしてると斬るわよ?私だってこのくらい…って、あれあれ?」

 俺の心配は的中し、機械の画面はさっきから固まってしまっていた。

 江茉《エマ》から機械を返されると少女は状態を確認する。

「…どうやら、フリーズしただけみたいですね。再起動すれば直りますよ」

 問題ないことを確かめると、そそくさとそれを再び首にかけ直した。

「それにしても…それ高いんでしょ?ユニバーシティの小学生はみんな持ってるの?」

「いえ…学校じゃあ、トレジャーライセンサーを持ってるのはわたしだけですよー」

 少女はちょっと自慢げだった。

 そもそもトレジャーライセンスは『トレジャー』でないと持てず、そのハンターでさえライセンサーは高価で手の出ない品物だ。

 しかし、じゃあなんでこんな子供がこんものを持っているのだろうか。

「そう言えば…まだ名前を聞いてなかったな。なんていうんだ?」

「うん、そうだけど…。どうして強盗を『武術で』倒した、って知ってるの?あの場にいたのかな?」

 たしかにそれを知ってるのは、あの居酒屋にいたのは強盗から逃げず(逃げられなかった?)目撃していた十数人ほどと、執事隊の人だけである。

 その上、この年の子があんな場所にいたとは考えにくい。

「ううん、違います!さすがにわたしだけじゃ居酒屋には入れませんよー」

 やはり少女は否定する。

 だとしたら…情報が回るのが異常に早すぎないだろうか…?

「それじゃあどうして、私たちだってわかったの?」

「それは…」

 といいながら少女は、首にぶら下げていた『カード』を見せてくれた。

 それは俺たちの持っている『トレジャーライセンス』とはことなり、かなり機械化されたものだった。

「『トゥギャッザー』って知ってますか?情報交換の電子掲示板みたいなアプリなんですが、ここでもう話題になっていますよ?」

 その画面には文字が現れては下に流れていっていた。

「あぁ…これはですね『トレジャーライセンサー』といって、通信機能も持ち合わせたライセンスなんですよ」

 遠くから手を振りながら、声をかけてきたのは少女だった。

 年齢は江茉《エマ》よりも幼い少女。

 彼女もまた、回転道路《ローラーロード》を使いこなしていた。

「…ん?なんのようだ?」

 俺は普通の問いかけに、普通に答えたつもりだった。

 だが、少女はビクッ!と肩をすくめて、さっきまでの勢いがなくなった。

「ちょっとハヤト!あんたは言葉がキツイんだから、ちょっと黙ってなさい!?」

 江茉《エマ》はそう言い、俺から守るように少女へ近づき問いかけた。

「それで…私たちになにか用かな?」

 その言葉に少女は警戒を解いた。

「さっき居酒屋で強盗を武術で倒したのは、お姉さんたちで合ってますよね?」

(やはり、それか)

 居酒屋を早々と出てきた理由がこれである。

 執事隊の事情聴取は仕方ないとはいえ、やじうま達の珍しいもの見たさのしつこさと言ったら…

 それほどまでに、この世界で『武術』が浸透していない、という事を意味してるのだが。

「まったく、ハヤトがあんなにゆっくりしてるから、すっかり遅刻じゃない!」

 再び俺たちは、ユニバーシティの道を走っていた。

 居酒屋の事件の後、注文していた料理を胃の中に流し込み、食事の余韻も早々に店を出てきた。

「エマも手伝ってくれたら、もっと早くヤツを倒せたんじゃないか…?」

「…ん?なんかいった?」

 聞こえているのに俺の意見など聞く気がない。

「だけど、最後の『鴉』は助かったよ」

「べ、別にハヤトがあんな時に気絶なんかしようとしてたから、目を覚まさせてやろうと思っただけよっ!」

 そして、たまにこうしてほめてやると無駄に顔を紅潮させてモジモジとする。

「そのままでも方法がまるでなかったわけじゃないが、『鴉』で手枷を解いてくれただろ?あれがなければもっと時間がかかってた…」

「待って、待ってよ!それ、ちょっと違う」

 江茉《エマ》がちょっと首をかしげて、何かを言おうとしたその時だった。

「すみませ〜ん!」

 だれかが俺たちを追いかけてきた。

「グオオオォォオォオオォオオォォォォォォ!」

 俺の一撃は渦を巻き、砂となろうとする強盗の体を巻き込む。

 強盗は絶対に当たらないという自信で、完全に油断していたようだ。

 その叫びは途切れることなく、後ろの壁に衝突するまで吹き飛んだ。

 その頃ようやく、情報を聞きつけやってきた本当の執事隊も店の中へ入ってきた。

「なぜだ…なぜ、俺を魔術の付加もされていない一撃で…」

 ユニバーシティには数多くの魔術が存在し、その中で俺の武術が通用しない事は何度もあった。

 だが、相手がヒトならば…ヒトだからこそ。

「人体には『反射』という危険察知能力がある。それはつまづいた時にとっさに手が前に出るのも…突然の叫び声に関して『身構える』のも反射だ」

「それでどうして、俺の魔術を破ることができるんだよっ!」

 弱者が強者に勝つために生み出されたのが、武術であり。

 素手で武器を振りかざす者に勝つために生み出されたのが、武術である。

 であれば当然、強力な魔術という武器を持った相手に勝つ手段もまた、武術にはある。

「水も凍れば投げられるだろ…?他人の反射をも利用する、これが『武術』だ!」

 強盗はその後すぐに、周辺にいた執事隊に連行されいった。

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