ここから本文です

神雅のつぶやき、

目指せ!1週間1回以上更新!

書庫.SS-壱楽章-

本編【UNiV.SchicksalSymphonie】――ユナイヴ.シックザールシンフォニー

兄・夕凪《ユウナギ》を探すため、弟の迅人《ハヤト》と従兄妹の江茉《エマ》が異界を旅し2人の成長を描くバトルアクション・ファンタジー。

記事検索
検索

全5ページ

[1] [2] [3] [4] [5]

[ 前のページ | 次のページ ]

「うるせぇ、うるせぇ、うるせぇ!」

 強盗はさらに強い力で、再び腕を払われてしまった。

「てめぇらも、うるせぇよ!」

 そのときに強盗はポケットから腕を出した。

 その手には、何も持ってはいなかった。しかし

 パンッ!

 ピストルを模した手の指先に砂粒が集まり、その土塊が破裂したのだ。

 あまり大きな音ではなかったが、周囲を黙らせるには十分だった。

 シーンッ・・・

 喧騒が一瞬にして静まると、そんな耳鳴りさえ聞こえる。

「せっかく、静かに済ませようとしてんのに・・・こうなったら、どうなってもしらねぇぞ!」

 店中にガンを飛ばす。

「もしかして、最近この辺で指名手配されてる強盗じゃないですか!??何でうちの店にぃ!」

 ことごとく、空気の読めない店員は大騒ぎを始める。

「いいから、お前はそれに金を積めろ!」

「はえぇ!」

 店員は裏がえった声をあげ、縮こまってしまった。

「それにお前!」

 今度は指先を俺に向けた。

「よくも俺の綿密な計画を邪魔してくれたな!」

 何というか、見事な悪役のセリフだな。

「まあ、見てきて、と言われたからな」

 本当に気分が悪くなってきた・・・さっさと終わらせるか。

 すぅ、

 軽く息を吸い込み『氣』を入れ、掴みなおす。

 コレは『呼吸法』と呼ばれ、外功や内功を使うのに用いる俺たちの世界の魔術行使法だ。

 代わりに酒気にいよいよやられたようだが。

「今回のことは見なかったことにしてやる。だから帰るんだ。」

「うるせぇよ。なんで客のお前が口挟むんだ?」

 それでも俺の説得に応じようとしない強盗を強引に、入り口の方へ引きずるほどの力が俺にはあった。

 内功によって俺の力は強化され、すでに魔をも凌駕していた。

「くそっ、何する!離せ!!」

 外に引っ張り出せれば、いくらでもやり様はある。

「お客さん執事隊ですか?そいつは強盗なんです!助けてください!」

 はじめに大きな声で騒ぎ出したのは、先ほどの店員だった。

 ちなみに『執事隊』とは事件の検挙率はほぼ100パーセントという、様々な文化の入り混じるテンショーの法を守護する組織である。だからこそ『悪党』には天敵といえるだろう。

 もちろん俺はそんな組織とは無縁で、ただの勘違いなのだが。

「なに!?てめぇが執事隊だと!?」

 『客の安全を優先』という、教育は行っていないのだろうか・・・?

「強盗だと!?」
「強盗だって!?」
「強盗ですって!?」

 他の客が気付き、口々に騒ぎ出してしまった。

 入り口は我先にと逃げ出そうとする客で、ごった返してしまった。

 どうやら『騒ぎを起こる前に外で解決する』作戦は失敗したようだ。

 騒ぎは一度火がつくと収拾させることは難しく、このまま強盗を連れ出すのは無理だろう。

 だったら、次の対策法をするまでだ。

「ちょっと様子を見てきなさいよ!」

「なぜに、また俺!?あんなのほうっとけばいいだろ?俺たちには関わりのないことだ」

 江茉《エマ》に適わないのは解っていたが、一応の反抗してみる。

「さっさと行かないと、斬るわよ?」

 そう言うと、すでに脇に置いていた長脇差・小松五郎義兼《こまつごろうかねふさ》を手の取り、ちらつかせた。

 これもいつものやりとりだった。

 もう、これ以上言い合うことが無駄だろう。

「わぁーたよ。行きゃぁいんだろ」

 俺はぶっきらぼうに言いながらも、冷静に強盗の様子を窺った。

 腕を入れたままのポケットからは何かが、服を前に突き出している。

(あれはやっぱり『銃』だよなぁ)

 俺たちの元いた世界では禁止された『兵器』の一つだ。だが、その対策術は俺の家系に伝わる武術『神雅流古武術』にもある。

 だがこのユニバーシティでどれだけ、その対策術が通じるだろうか・・・?

 周りの客は誰一人として気付いている様子もない。

 しかし、それに気付いていたとしても関わらないのが一番だ。

「なぁ、ちょっといいかぃ?」

 背後に近付いた俺は、肩をつかみ呼びかける。

「あぁ?」

 強盗は突然呼びかけられたことに不機嫌になりながら、ふりかえった。

 その肌は硬質。触れた肩も筋肉質では片付けられない、それはやはり『魔の人』特有のモノだろう。

「なぁ、ちょっと外に出ようか?」

 強盗を相手にしたことはないからどうしたらいいのかわからないが、とりあえず外へ連れ出した方が良いだろう。

 また酒気で気持ち悪くなる前に、済ませたい。

「離せっ!」

 軽く肩を動かしただけでつかんでいた腕を払われてしまうほど、力の差は大きい。

「お待たせしました!」

 しばらくすると、店員が料理を運んできた。

「ねぇ・・・これ・・・」

 江茉《エマ》の躊躇もわかる。

 運ばれてきた料理は確かにスパゲッティの麺でパスタ料理なのだが、その上には真っ赤な魚の頭が鎮座していた。

「ちょっと味見していいから、食べてみなさいよ」

「なぜ俺!?」

 それが飾りではなく、食べられるだろうことはわかるのだが、得体の知れないモノを口に入れるのはためらわれる。

「男なら、毒見くらいやりなさいよ。斬るわよ?」

「いやいやいや、毒は入ってないだろう・・・それに俺もまだ死にたくはない!」

 ユニバーシティでの生活はだいぶ慣れたが、中毒になった時から食に関しては要注意している。

「ねぇ、ハヤト?」

 何度目か、江茉《エマ》が呼ぶ。

「だから、もう少し覚悟をさせて「そうじゃなくて、アレ」

 俺の言葉を遮り指さす先は入り口の近くの会計。

 そこでは客と店員がレジを挟んで向き合っていた。

「なんか、おかしくない?」

 会計をしてるであろうレジの脇には不自然な紙袋があり、客はポケットに手を入れたままで会計をする様子もなく、そのまま数分。

 客がなにか耳打ちをすると、声こそ出さなかったが店員は驚き蒼白となった。

「強盗・・・か?」

 他の客は気付いている様子はない、おそらく静かな強盗だろう。

 客を装い確実に金だけを奪うそれは、強盗の常連が良く行う手段だった。

「・・・うっ、ぷ」

 いや、何かをアップロードするわけではなく、気持ち悪いのだ。

「ちょっと!自分で選んだんだからしっかりしなさいよねっ?」

 尋常でない酒気と煙草の副流煙。

 不器用ながらも心配してくれているようだが、江茉《エマ》もまた口元を抑え、顔をしかめていた。

「個室へ案内いたしましょう」

 店員に続いて、奥にある仕切られた席へと向かう。

「いかがでしょうか?」

 個室は喚起が効いており、カウンター席よりはよかった。

「まあ、大丈夫・・・」

「それではご注文が決まりましたら、お呼び下さい」

 そう言い残すとメニューだけ残し、店員は他の仕事に向かっていった。

「相変わらず、おいしくなさそうよね・・・」

「おいおい、あんまりめったな事いうなよ」

 メニューを開いた江茉《エマ》はその写真を見て、開口一番飲食店ではよろしくないことを言う。

 まあ、メニューには親切にも写真が載っているが、変な生物の頭が乗ってたりと、良くわからない料理ばかりだ。

 しかし、それはこの世界で『異界人』は俺たちであるから、価値観が合わないのは仕方がないことだ。

 メニューの文字もまた、俺たちにはわからない。

「それにしても、これってホント不思議だよね?」

 ただし、俺たちにはそれらの文字も『ルビ』として読むことが出来る。

 これは俺たちの持っている『トレジャーライセンス』を証明するラミネート加工されたカードのおかげ。

 この世界の魔術と科学の力によって、この世界に対応できるように知覚が変換されているため、異世界のこの場所であっても問題なく暮らしていられるのだ。

「とりあえず、この『アツァプ ヒチウ ダエー ススッアブデラ《赤いバスのおかしらパスタ》』かな?」

 江茉《エマ》はしばらくメニューとにらめっこしていたが、結局は手軽な麺類に決めたようだ。

全5ページ

[1] [2] [3] [4] [5]

[ 前のページ | 次のページ ]

ブログバナー

ゆにこん
ゆにこん
男性 / AB型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

最新のコメント最新のコメント

すべて表示

検索 検索
友だち(5)
  • kotyo
  • はい?
  • 亮
  • 黒凰白銀
  • シャッフル
友だち一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

Yahoo!からのお知らせ

よしもとブログランキング

もっと見る
本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事