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神雅のつぶやき、

目指せ!1週間1回以上更新!

書庫.SS-壱楽章-

本編【UNiV.SchicksalSymphonie】――ユナイヴ.シックザールシンフォニー

兄・夕凪《ユウナギ》を探すため、弟の迅人《ハヤト》と従兄妹の江茉《エマ》が異界を旅し2人の成長を描くバトルアクション・ファンタジー。

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 俺たちは待ち合わせ場所に向かって走っていた。

 いや、走っている実際に走っているのは俺だけで、江茉《エマ》は回転道路《ローラーロード》で人と人の隙間を縫うように滑っている。

 これから向かう待ち合わせの場所は『バベル』と呼ばれる、このテンショーの象徴である塔である。

 その高さは果てしなく見上げても頂上は見えず、世界の果てまで続いているのではないだろうか?

 地下1階〜3階まではデパートメント・・・いわゆる百貨店となっており、さまざまな店舗が経営されている。

 その中には『転送』をサービスとしている店もあり、テンショーと『外の町』を行き来するために絶対唯一の手段なのだ。

 ちなみに俺たちがこの世界で始めにたどり着いたのがソコで、今回は2度目であった。

「ねぇ?おなか空かない?」

 俺が頭の中でそんなことを解説していると、少し前に行っていた江茉《エマ》が戻ってきた。

「もしかして朝飯、食ってないんか?」

「しょうがないじゃないでしょ?朝、ちょっと時間なくなっちゃったんだもん!!」

 おそらく、寝坊したことを俺にばれない様に身支度だけ整えたのだろう。ご苦労なこった。

「俺のとこにいちいち来なくて良いから、準備くらいちゃんとしろよな?」

 と言ってから、俺は、しまった!と思った。

 シュッ!と風を斬る音。

 俺はその音の原因を両手で挟み、何とか受け止めることが出来た。

「・・・仕事の前に殺す気かっ!?」

 だが俺の言葉など聞いてはいなかった。

「バカのくせに人のことをバカにする奴は斬るっ!」

 言い訳をする江茉《エマ》をなんとかなだめながら、俺たちは近くの居酒屋に入ることにした。

「あぁ、わかってるよ」

 この世界には1つだけ、特別な仕事がある。

 『トレジャーライセンス』と呼ばれる資格を持っているの者のみが行える、いわゆる『派遣』の仕事だ。

 この街・テンショーは鬼《モンスター》の住まう外界とヒトの住まう街とを巨大な壁で妨げられており、これを越えられるのはこの資格を持っている者だけと制限されている。

 したがって、『外の街』と行き来きし、貿易や代行を行うのもトレジャーの重要な仕事である。

 俺たちは『兄・夕凪《ユウナギ》を探す目的』を果たすためにも、この2週間でこの資格を取得した。

 だが、この世界に来たものの、それ以上の情報はなかった。

 現在、俺たちは『異界から来た者』として援助されているが、まずは先立つものを得るために『仕事』をすることとなったのだ。

 今、時刻は朝8時。約束の時間まではまだ2時間ほどあるが・・・

「ハヤト、まだ回転道路《ローラーロード》使えないんでしょ?いつまでものんびりしてるんじゃないわよ!あと10秒で準備できなきゃ斬るわよ?」

 このテンショーの道路は『回転道路《ローラーロード》』と呼ばれる、特殊な加工が施されている。

 足から氣を放出することによって、足を動かさずに高速で進むことができる、というモノで、まさにこの世界の文化が進んでいることを象徴していた。

 だが、外功・・・氣の放出が得意でない俺は、なんども練習したのだがいまだコレをうまく扱えないのだ。

 まあ、それでも走れば同じだから、扱えなくても別にいい。

「もう準備終わったから、その刀をしまってくれないか?」

 抜きかけていた刀をしまったのを確認して、今度は一緒に玄関から出る。

 途中、江茉《エマ》がまたエレベーターのボタンを壊しそうになったことは伏せておこう。・・・斬られるからな。

 あれから、2週間、か・・・。

 俺、神雅迅人《シンガハヤト》は新たな家となったアパートメントの1室で、身支度を整える。

 もちろん、この2週間ただただ過ごしたわけじゃない。

 この世界、ユニバーシティの一つ一つに驚き、苦労し、歓喜し、落胆しながら学んでいたんだ。

 俺たちのもといた世界と最も違うのはなにより、このユニバーシティでは『人と魔が共存している』ことだろう。

 亜人、猿人はもとより、爬虫類のような人もまた往来を闊歩しているのだ。

 『魔は狩るもの』であることが常識の世界で狩る家系に生まれた俺たちには正直、理解しがたいものであった。

 だけど、『慣れ』とは怖いものだ。

 知り合えば、中身はおなじ『ヒト』であり、心を通わせる友となれるのだ。

 ならば、外見の違いなど些細な問題だ。

 コレを知っていたからこそ、ユニバーシティはここまで巨大に繁栄を遂げたのだろう。

 この世界にはまさに、『平和』そのものだった。

「な〜に、たそがれてんのよ、まだ朝よ?」

 シュタッ!っと俺の思考を邪魔するのは窓から入ってきた少女だった。

 刀を腰に下げ、片方だけ伸ばした髪を揺らしながら従兄妹の江茉《エマ》が窓から降りて、やってきた。

「また窓から・・・たまにはちゃんと入り口からこれないのか?」

「だって、エレベータのボタンとか良くわからないし・・・ってまだ準備終わってないん?」

 言い訳して、強がって言い返す。いつも通り。

 このいつも通りが、俺には心地よくて仕方なかった。

「今日は一緒に『仕事』へ行く人に会うんだから、遅刻なんて許さないんだからね!?」

「あぁ、行こう。俺たちの道へ!」

 そして、俺たちは光の中に踏みいれた。

 光

 光光

 光光光

 数センチ先も見えない。

 強く握る手のぬくもりだけが、互いを存在させる。

 だがしだいに、その感触もなくなった。

 何も見えず、何も聞こえず、何も感じず、何もない。

 完全なる、孤独。

 上に落ちてるのか、下に昇っているのか、もうなにも解らない。

 信頼が俺たちを繋いだ。

 光の中では、不思議と様々な景色が駆け巡った。

 機械によって支配された世界。

 人が存在しない欝蒼とした森。

 水が大半を占めた惑星。

 平和な世界もあった。

 だが、人と人が争っている世界は多かった。

 それは数多の『平行世界』という、異界《物語》だったのかも知れない。

 やがてできた小さな穴に、俺たちは落ちて《飛んで》行った。

 穴の先は石造りで、摩訶不思議な模様の描かれた部屋だった。

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