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神雅のつぶやき、

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書庫.SS-序楽章-

本編【UNiV.SchicksalSymphonie】――ユナイヴ.シックザールシンフォニー

兄・夕凪《ユウナギ》を探すため、弟の迅人《ハヤト》と従兄妹の江茉《エマ》が異界を旅し2人の成長を描くバトルアクション・ファンタジー。

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 八代《ヤシロ》は2人の旅立った先を眺める。

「ヤシロ、お前はいったい何をたくらんでいる?」

 門を閉めた童子が問い掛ける。

「いや、ね」

 八代《ヤシロ》は、莉凰《マオ》に近寄る。

「まだ、ワシにもやらなけりゃならねぇ事があるんだな、と」

 呼吸を整えて、氣を溜める。

「こんなもんかぃ・・・」

 出来たのはクナイだった。

 それで莉凰《マオ》を縛っていたロープを切る。

「ハクトがどう歩むか、か?」

「・・・そんな綺麗なもんじゃあねぇよ」

 その目はどこか遠くを見ていた。

「ただ、世界がどう変わるんか、傍観してえだけだぃね」

「・・・それの何が楽しいんだか、」

 心得童子は閉めた門に腰を掛けると、その姿は再び影になり石碑に同化していった。

「世界を見てきた百足様には解かんねぇんべ・・・」

 この後、巨敵と戦うために宗家と分家に分かれていた神雅は一つになるが、それはまた別の話《ストーリー》。

 準備を整えた俺たちは『門』の前に立つ。

 俺たちの目の前には光の壁が立ちはだかる。

「やはり不安、か?」

 横で俺たちの様子を眺めていた童子が聞く。

「不安がないといえば、嘘になる・・・だが、この先はユウナギのいる世界に繋がっているんだろ?」

 神雅流を追放された時はどうなるか、不安で仕方なかった。

「あぁ。それは約束しよう」

「だったら、心配することは何もない」

 これをくぐったら、この世界に戻れるかわからない。

 だが、今は最も信頼できる『家族』が隣にいるのは、なんと心強いんだろう。

「ねぇ、そろそろ行こうよ?」

 格子からは、早くも朝焼けの光が差し込む。

 そこにはあるべき景色が戻っていた。

「あぁ、行こう。俺たちの道へ!」

 この先がどんな世界でも2人なら乗り越えられる。

 いつの間にかつないだ江茉《エマ》の手から感じる体温は本当に懐かしい。

 その手で互いの存在を確認して、俺たちは光の中に踏みいれた。

「エマ。これからまたユウナギを追かけ、お前にまた面倒をかける事になる。そんな俺について来てくれるか?」

「当たり前でしょ!ハヤトが無謀なことをした時、私以外の誰が止めるのよ?」

 その意思は変わらない事に俺は感謝し、江茉《エマ》も守っていくことを再決心した。

「なによ、ハズい事を何度も言わせないでよねっ。もう、とっとと行くよ!」

 江茉《エマ》は威勢良く話し、照れ隠ししていた。

「ちっと待ち、」

 その勢いを止めたのは、八代《ヤシロ》だった。

「渡世人が、丸腰で行ぐんかぃ・・・?」

 俺は武器を必要としない徒手空拳だから特に必要としないが、先の戦闘で愛刀・水映月《スイエイゲツ》を折ってしまった江茉《エマ》には必要だろう。

 しかしあいにくココは神社で武器は置いておらず、取って戻って来るまで『門』が開いているかわからない。

「これを持ってけ」

 そう言って八代《ヤシロ》は、自身が持っていた刀を鞘に入れて渡した。

「・・・これって!」

 江茉《エマ》の驚きも当然だろう。

 それは国宝級の妖刀・小松五郎義兼《こまつごろうかねふさ》だった。

「こんなん、受け取れないよ!」

 伝説の刀に江茉《エマ》は触ることも戸惑い、返そうとするが八代《ヤシロ》はそれをさらに押し返す。

「神雅が宗家と分家に分裂してしまったんはワシの責任なんに、はぁその溝を埋めることは出来ねぇと諦めてたぃね。だけんどお前たちは、まだ出来るのだと身をもって教えてくれた。これはその礼だと思って、何も言わねで持ってってくれねぇかぃ?」

 それは神雅の総主としての、八代《ヤシロ》なりの感謝だったのだろう。

 そんな事を言われてしまっては江茉《エマ》でさえ、その刀を受け入れざるを得なかった。

「・・・ありがと」

 妖刀は普通なら刀も破壊されてしまう技の衝撃もなかったように、美しく輝いていた。

 目の前に、全ての道は開かれた。

 しかし、ここまできて迷っていた。

 ここを目指した時、俺は独りだった。

 独りであれば、この先にたとえ死地に行くことになろうと構わない。

 だが、ここまで来る間に俺は『仲間』を得た。

 全てを拒絶している間、江茉《エマ》は常に思ってくれていた。

 だからこそ、そんな未知の地へ連れて行くことは到底できない。

「ねぇ、ハヤト?はやく行こう」

 しかし、俺が拒否したところで、留まらせる事はできないだろう。

 だが、それを言うことは江茉《エマ》を再び裏切ることになるだろう。

 その答えは出ない。

「せめて・・・」

 せめて、災厄が終わるまでこの土地に残って、その間に結論を出そう。

 まだ、ここにも守らなければならない者たちがいる。

「ハヤト・・・お前は何のためにここまで来たんだぃ?」

 そんな俺の揺れる心を感じ取ったのか、八代《ヤシロ》は俺に問いかける。

「お前が求めるは何だぃ?お前が求めるは誰だぃ?」

 それは迅人《俺》という存在そのものを問われているような気さえした。

「お前の道はどこへ繋がってるんだぃ?」

 その質問は心の揺れをすべて吹き飛ばした。

「俺は8年前のあの日、消えた理由を、真実をユウナギに問うため 異界へ渡る!」

 それが強くなった理由。

 ここまで来た理由。

 そんな事、はじめから決まっていたんだ。

「だったら、はぁ迷うなぃ!」

 だが、それよりも。

「心得童子《こころえのどうじ》ってどういう意味なんだっ!?このユウナギの術の名か?」

「なんだ・・・まだ気付かんのかい?」

 俺の質問に八代《ヤシロ》はさも当然のように答える。

「いくら『天災』と呼ばれたユウナギとて、外界にここまで精密で精巧な写し身を作るんは不可能。されど、『魔の体』を媒介にして擬似的に、とはいえ可能にするとは恐れいらいね」

「『魔の体』・・・だと?」

「その体を提供している魔こそ『心得童子《こころえのどうじ》』。この世の調整とあの世への使者もいっぺんに兼ねておる」

 異界への門番を行っている魔の体を用いて、影の夕凪《ユウナギ》を形作っているらしい。

「渡世に必要な『世界での役目を終えた』とゆう資格、そいで『世界を越えられる』とゆう資質を見極めるておるんだけんど・・・お前らはそれを認められたんだ」

「・・・小僧が偉そうに。いや、いつの間にか偉くなったのか?」

 八代《ヤシロ》がそう説明すると、偽るのをやめたように夕凪《ユウナギ》の影の口調がガラッと変わった。

「ふふふ・・・そう、俺は『ユウナギ』じゃねぇ。俺はユウナギに『力』を借りる代わりに、アイツの意思の一部を宿してやってたんだ。後は・・・」

 夕凪《ユウナギ》の影を纏った心得童子《こころえのどうじ》は石碑に歩み寄ると、さもそこにはじめからあったかのように空間を『開いた』。

「コレがユウナギの言っていた『渡世の方法』だ。後をどうするかは自分で選べ」

 それはまさしく『光の門』。

 中から溢れ出る光が、部屋をさらに明るく包み込む。

 光の奥はどこまでも深く、先は見えない。

 童子は全ての役目を終え『門』の脇に座り込んだ。

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