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神雅のつぶやき、

目指せ!1週間1回以上更新!

書庫.SS-序楽章-

本編【UNiV.SchicksalSymphonie】――ユナイヴ.シックザールシンフォニー

兄・夕凪《ユウナギ》を探すため、弟の迅人《ハヤト》と従兄妹の江茉《エマ》が異界を旅し2人の成長を描くバトルアクション・ファンタジー。

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「姉さんもハヤト兄さんも大切な家族だから。・・・でもね。だからこそ、兄さん。姉さんを傷つけたら許さない」

 その時の表情は、おとなしい千和のものとは思えない『強さ』だった。

「どういう事・・・?」

 江茉が傷つくとはどういうことだ?あの時は勢いだったとはいえ、今や同世代では最も強い。

 だから、あの程度の『道場破り』にやられるハズはないのだが。

「姉さんは、兄さんを運んでいるのが見つかって・・・今、掟による処分を受けてる」

 短い沈黙。それは信じがたい真実だった。

「・・・エマが?」

 自分なんて放っておけば良いのに。

 俺がかってやったことだ、と言っておけば良いのに。

 なんでそこまでするんだ。

「今回だけじゃない。姉さんはいつも、倒れた兄さんを宗家に見つからないように看病してた」

 たしかにそれは不思議に思ってはいた。

 人目に付かない所で倒れても、いつの間にか家にいたことがあった。きっと見つけた分家の誰かが、運んだものだと思っていた。

 それがまさか、江茉だったとは夢にも思わなかった。

 ・・・いや。

 たしかに、倒れた後は必ず江茉が看病してくれてたっけ。

 1人で修行をしていても、飯や薬を持ってきたこともあった。

 俺が邪険に突き放しても、江茉はそれを決して辞めなかった。自分を解っているのは自分だけだと信じた。

 だから、それがウザったくて邪魔だった。

 その理由(きもち)を理解しようとは思わなかった。

 だが今になって、突如その思いがやっと、わかったような気がする。

(『家族』か・・・)

 その音(ぬくもり)が懐かしかった。

 だが俺はそれ拒否し続けた。裏切ってしまった。

 もう全てが遅い。そう感じざる終えなかった。

「・・・すまなかった」

「ケガ。診るから」

 包帯をほどいて、怪我の状態を診る。

「ここに来て大丈夫なんか?」

 千和は江茉の実妹、もちろん宗家だ。

「姉さんに頼まれたから」

 さぞ当たり前のように答える。

「だから、って・・・」

 千和はわずか11歳である。

 しかし、すでに鴉に開眼しており、優秀な宗家の一人だ。

「これで大丈夫」

 千和は一通り診た後薬を塗り、包帯を巻きなおす。

「どうして、ここまでしてくれるんだ・・・?」

 解らない。いくら姉に頼まれたからといえ、引き受ける理由にはならないはずだ。

「家族だから」

 それが千和の答えだった。

「家族・・・?」

 白虎もそんな事を言っていたが・・・家族はそんなに大切なものなんだろうか?

 幼くして両親をなくした俺には解らない。

(だが今、ここで寝ているのなぜだ!・・・あいつと俺とは何が違ったんだ!?)

 俺たちは似ていた。

 白虎も俺も原因こそ違うが家族をなくし、そのために力を求めた。

 だが、孤独の時間(力)は確実に迅人の方が上。

 それなのに、負けた。

 そこには、別の何か(力)を感じた。

 その何かがあったから、他流派に挑むという危険を犯していたのかもしれない。

 それはかつて、夕凪に感じた力にも近かった気がする。

 夕凪もそれを求めていたのか?

(それは何なんだ!?)

 一人考えたが、その答えは出なかった。

 その時、部屋の扉が開いた。

「あ、起きた?」

「・・・エマか?」

 と思ったが、そこには予想外の人物がいた。

 それは江茉の実妹、千和だった。

 そのころ命令に従わなかった分家への、宗家の監視は厳しくなった。

 まるで従わなかった俺は、宗家の建物の出入りを禁止された。

 あと『情報』があるとすれば、『そこ』だけだったのに。

 だが、その全てを諦める事などできなかった。

 だから、俺は人目に着かない場所で1人、修行に明け暮れた。

 兄を探すため、追いつくため。

 朝も、昼も、夜も。

 そのためには食事も、睡眠もただ邪魔だった。

 だからいつも疲れ、倒れて眠った。

 病気で死にかけた時もあった。

 それでも修行はやめなかった。

 才能がないのは誰よりも自分が解っていた、だからこそ。

 力を、強さを、高みを目指した。

 力さえ手に入れれば、何でもできる。

 そんな日々の中、いつしか『夢』も見なくなっていた。

 その頃、神雅流の幹部『十二支会』の末席を手に入れた。

 そこでは神雅の宗家・分家にとらわれず、その実力が地位が確立する。

 だから、俺を責める者も少なくなった。

 わずかに手が届かずとも、力は身に付けた。

 そう、思っていた。

 正化20年 如月28日 午前10時頃

 木製の天井。

 とても見慣れた、良く知っている天井だった。

 しばらく道場の中で寝泊りしていたため、帰っていなかった自分の家。

「〜〜〜ッ!」

 体中に巻かれている包帯から、鈍痛が体中にめぐる。

 どうやら、神鶴との戦いは負けたらしい。

 だがそんなこと今はもう、どうでもよかった。

 それよりもさっきの夢。

 あの夢は初めてでなく、夕凪の失踪から、この時期になると必ず見ているもの。

 ここ数年間は見ていなかったが、あの神鶴のせいで見たのだろう。

(夕凪はどこへ行ったんだろう?)

 幸い、家は被害からは逃れていたが、何も残ってはいなかった。

 それは極秘任務の多い『寅』以上の者が、自分の情報を隠蔽する事は当たり前の事だった。

 そのため総力をあげた調査でも、見つかることはなかった。

 そして、誰の協力も選られなくなった後も再三、夕凪の情報を集め、探した。

 だが、それでも結果は変わらなかった。

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