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神雅のつぶやき、

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書庫.SS-序楽章-

本編【UNiV.SchicksalSymphonie】――ユナイヴ.シックザールシンフォニー

兄・夕凪《ユウナギ》を探すため、弟の迅人《ハヤト》と従兄妹の江茉《エマ》が異界を旅し2人の成長を描くバトルアクション・ファンタジー。

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 莉凰《マオ》は少し考える。

「それじゃあ・・・やっぱり知りたいのは私の『鴉』について、かしらねぇ?」

 そして、思いついたように語りだした。

「そもそも『鴉』が使えるのは『神雅』だけ、なんて誰が決めたのぉ?」

「えっ・・・どういう事?」

 『鴉』は神雅かつて戦ったと言われる『大百足』の呪いによって発生した、と神雅に言い伝えられている。

 だから、神雅一族にしか目覚めないのが常識だ。

「『神雅』から追放された者、か・・・」

 その解答を出したのは背後の夕凪《ユウナギ》の影だった。

「そう、その通りよぉ」

 『神雅から追放された者』とはつまり俺と同じように、神雅一族に産まれながら神雅の街から追放された者、またその子孫のことだろう。

「つまり、アナタも『神雅』の遠縁という事なん・・・?」

 西の『神鶴』しかり『流山』もまた深い因縁の関係があるのだろう。

「『鴉』が使える理由は解ったけど、複数の『鴉』が使えるのはなんでよ?」

 江茉《エマ》はなにか深く考えるところがあったようだったが、すぐにもとの勢いを取り戻し言い返す。

「うふふ。そう、ここからが本題なのよぉ」

 莉凰《マオ》はもったいぶりながらも口を開いていった。

「私の『鴉』は『五大元素』全ての属性を使役できる唯一の例外、すなわち五眼《ゴゲン》の1つ慧眼《エゲン》なのよぉ」

 慧眼《エゲン》といえば、千和《チノワ》と同じ『鴉』。

 『氣を知識』に変換する力。

 それが『記憶』だけであろうとも、一度記憶したものは修行によって『再生』できる。

 その価値のあるが危険な能力を持っていたからこそ、千和《チノワ》は家に閉じ込められているのだ。

「・・・だからって」

 だが、修行によっても、どうにも出来ないものもある。

 『原理』の解らないもの。

 体系化されていないもの。

 分析がされていないもの。

 すなわち超能力であり、それが『鴉』である。

「だが、それを可能にする方法はある」

 夕凪《ユウナギ》の影は語る。

 そう言うと、莉凰《マオ》は語りだした。

「あるところに1人の少女がいた。その娘の家も神雅と同じく『帝』に仕える家系だったの。だから、ちょっと才能があった少女は神雅に入門することになったのよぉ」

 語る内容はまるで他人の様な話方をしながらも、昔を懐かしむ表情をしていた。

「でもねぇ、『帝』に仕えているが故にただ入門という訳にはいかなかったの。間諜・・・スパイとしてねぇ」

「スパイ・・・だと?どういう事だ!?」

 俺は耐え切れず、割ってはいったが「まぁまぁ、良いから聞きなさい」と話は聞き入れられなかった。

「だったんだけど、正直飽きちゃった。と言うか、神雅の秘密の一端に触れて興味を持った、の方が正しいかしら?私の悪い癖、興味を持つと調べずにはいられないのよねぇ」

 莉凰《マオ》は恥ずかしそうに、しかし恍惚の表情を浮かべていた。

「そして、私は『力』を手に入れたわぁ・・・」

「なに!?」

 そう言って差し伸べられた莉凰《マオ》の手からは、チョロチョロと水が滴り落ちた。

「水の『鴉』!?」

 それは江茉《エマ》のと同じ。

 だが、俺たち2人の目の前で、それは姿を変えた。

 指先から立ち上る赤き揺らめき。

「『火』?」

 それは、乾ききらぬ指先から着火した。

 そして、続けざまに土塊が、風が流れ出てきた。

「そんな・・・どういう事!?『鴉』は通常1人1属性のみのはず・・・」

「うふふ。反応が良くて話しがいがあるわねぇ」

「それに、なんで一族じゃないあんたが、『鴉』を使えるのよ!」

 必死に冷静を装うとしているが、江茉《エマ》の声からは『焦り』がわかった。

「だから、それがずれてるのよぉ。・・・そうね、どこから回答してあげようかしら?」

「・・・どういう事だ?」

 それは「いまなら見逃すから、ここから去れ」という事か。

 なぜそれを1支隊隊長がわざわざいう?

 もちろん戦ったとしても、勝てはしないだろう、むしろ死にに行く様なものだ。

 であれば『災厄』に戻れば今、ここでは殺されることはないだろう。

 だが、

「私たちには異界へ行くという、ユウさんを連れ戻すという、願いがあるんです!」

 それはもう哀願だ。

 江茉《エマ》はまさしく俺の思っていたことを代弁してくれた。

「願い・・・ねぇ。私にもあったわよぉ?『異界』へ渡るっていう願い。でも、それを邪魔されてね。その術に、ユウナギに打ち勝つ方法を探し続けた」

 それらの言葉に少なからず希望さえ見出せた、と思った。

 だが、それはすぐに無駄だと思い知らされた。

「そして、私は見つけたわ・・・だからもう、あなた達は用済みなのよぉ。諦めないなら仕方がないわよねぇ、ゴミは掃除しないとねぇ?」

 それは否定だった。

 言葉に一切聞く耳を持たず、全てを切り捨てたのだ。

 いやだが、ちょっと待て。

 今、何かがおかしかった。

 ・・・用済み?

 用済みとはどういう意味だろう?

 俺たちは何に利用されていた、というのか?

「・・・お前は『何』を知ってるんだ!?」

 そこにはいろいろな『意味』を混ざっていた。

「あらぁ?本当に何も知らないのね・・・」

 莉凰《マオ》の向けたその表情には『哀れみ』が含まれていた。

「ならぁ、面白い話を聞かせてあげるわ」

 夕凪《ユウナギ》の目が入り口のほうを睨む。

「さっきからそこに隠れてる奴、出て来い!」

「なるほどねぇ。・・・大氣を使った無限機関を創って氣を補充、その術の弱点となる機関部にも仕掛けを施し『自身』で管理してたわけねぇ」

 その言葉から数秒遅れて、ガラリと扉が開らいて女性が入ってきた。

「弟にしか解けない封印術ねぇ・・・さすが『天災』いや、ここはブラコンらしいと言った方が良いかしらぁ?」

 夕凪《ユウナギ》の封印術を解析しながら入ってきたソイツは神雅流の道着を着ているが見覚えはない者だった。

 しかし、このしゃべり方と『子』の紋を持つものはただ1人のみだ。

「もう4年前、になるんか?この『術』に触れて『攻撃』を受けた自身の経験か、マオ?」

「ふふふ・・・あの時はお世話になったわぁ」

 十二支会統主にして1支隊隊長、流山莉凰《ナガレヤママオ》、その人だった。

「4年前・・・?4年前に何があったんだ?」

 4年前、当然ながら俺はまだ十二支会ではなく、江茉《エマ》また地位が低かったため事情を知らないようだ。

「まあ知る者はいねぇだろうな。『異界』の研究を行うために現在の地位まで登りつめ、見られないためにわざわざ『石碑』を室内に入れたんだからな」

 なるほど、4年前の急な神社の改築もそれなら繋がる。

 しかし、問題はそんなことより、『外部のもの』である莉凰《マオ》が『異界』の存在を知っていることだろう。

 十二支会の隊長ともなれば当然『災厄』にも参加する事になるだろう。

 それが1支隊にもなれば、さらに詳しい事も教えられているはずだ。

 しかし、それはあくまで鬼や魔の発生する災害として、それ以上は腐っても神雅である俺でさえ夕凪《ユウナギ》の日記を読まなければ知らなかったはずだ。

「なぜ、お前が「ねぇ、ところで提案、なんだけどもぉ・・・今回は『異界』を諦めて、『災厄』に戻らないかしらぁ?」

 人型。

 そこには誰もいないのに、ただ影だけが、石碑の光を遮っていた。

 壁に照らされたその影は平面だが、その形は確かに見覚えがあった。

「・・・久しいな」

 その影に目を奪われていると突如、影が言葉を発した。

 その形、その声。

「兄さん!?」

「ふっ・・・お前を捨てた俺のことをまだ『兄』と呼ぶか」

 自信家で傲慢不敵。

 だが、『家族』に対してはいつも優しい顔も見せてくれた兄・夕凪《ユウナギ》そのものだった。

「当たり前だろ?いったい何年、お前を探し続けたと思ってる」

「そう言うだけあって、いろいろ成長したようだな。特にエマ、」

「え・・・?」

「ハヤトのこと、アリガトな。そして『鴉』まで・・・やはり総首はお前の方が向いているようだ・・・」

「そんな・・・私は・・・」

 すべてを見透かすような夕凪《ユウナギ》の言葉に、江茉《エマ》もいつもの勢いを失ってしまった。

「それで今、どこにいるんだ?」

 夕凪《ユウナギ》のたわ言に付き合っていては日が明けてしまう、と感じ俺は本題を持ちかけた。

「そうだな。この俺の『鴉』は予想以上に氣を使うからな、本題に入ろうか」

 そんな俺の様子に同調したのか、夕凪《ユウナギ》も本題に入る。

「俺の残した日記の通り、これからが3つ目の障害だ」

「・・・『渡世』か」

「そうだ、俺と再会したければ『世界を渡れ』。今こそ封印も解いた。期限は災厄の間だけだ、次はまた4年後になる」

 『渡世』それは掟によって禁じられた行為そのもの。

 どうして、神雅流にそんな掟があるのか、その理由も日記に書かれていた。

 人間を異界に送り込むために行っていた人体実験。

 その発端が『大百足の難』と呼ばれていた、この災厄であり、結果である。

「渡世の方法については『システム』が教えてくれるだろう。が、その前に・・・」

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