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神雅のつぶやき、

目指せ!1週間1回以上更新!

書庫.SS-序楽章-

本編【UNiV.SchicksalSymphonie】――ユナイヴ.シックザールシンフォニー

兄・夕凪《ユウナギ》を探すため、弟の迅人《ハヤト》と従兄妹の江茉《エマ》が異界を旅し2人の成長を描くバトルアクション・ファンタジー。

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序楽章7話-災厄 3

 大氣が渦を巻く。

 その空気は杖に巻きつくと、炎に包まれた。

「あれは、棍《こん》か・・・?」

 炎に包まれた杖は鬼の身の丈を超え、それは中国拳法における棍そのものだった。

 鬼はそれをブンブンと振り回し、構えた。

「・・・なんだと!?」

 知性を持たない鬼。

 だからこそ『鬼』であり、破壊と殺戮の限りをつくす。

 だが、知性を持ったそれは、『魔』だ。

 魔の力は鬼とは比べ物にならない。

 知恵を持ち、目的のため策略を組む。

「だが、だったら・・・」

 だからこそ、逆にその戦法は解った。

 魔の構え、それは。

「小林拳《ショウリンケン》か!」

「イロオトノス!」

 猿の魔は俺の言葉に呼応する。

 中国拳法、嵩山少林寺で学ばれる拳法は達磨《ダーマ》の教えと同じく、倒れてもただでは立ち上がらない。

(倒すなら確実にしないと、か・・・)

 俺もまた、構えたが、先手は魔だった。

 炎の棍による、突き。

 それはまさに、侵し掠めること火の如く。

「くっ、」

 焼けるにおいと共に、髪の一部が焼けちぢれた。

 瞬きよりも早い一閃もかわせる俺でさえ、これをかわすのはギリギリだった。

 いや、棍をかわすだけでは、熱気を避けることはできないようだ。

 後ろに飛び、間合いを取った。

序楽章7話-災厄 2

「ウリィノコドゥ・・・」

 それは町の中、うなり声をあげてキョロキョロと何かを探していた。

 長い杖を持つ、その姿は老人のようだ。

 だが、皮膚が堅そうな甲殻で覆われた姿は、まさしく異形の『鬼』だ。

 気付かれないようにしかし素早く背後に近付く。

「・・・アレラド?」

 だが、おれの間合いに入るわずか前、身軽に距離を取られてしまった。

 鬼はその血走った目で威嚇する。

「アナドタヤハゲアモ!!」

「もし帰る所があるんなら、すぐに帰れ!」

 それは最後の警告だ。

 鬼に言葉が通じる訳もない。

「、オイフ・・・」

 しかし、何かを呟いたと思った瞬間、鬼の持っていた杖から激しい炎が迸った。

「うゎ、っち!」

 右の手甲でガードするがシュゥ…、という音を立て、防いだ鎧を溶かす。

「なんなんだ!その技は!?」

 神雅流にも『鴉』で炎を起こす技の使い手はいる。

 だが、鋼鉄で出来た鎧を溶かすほどに、激しい炎は不可能なはず。

 人間が持つ『氣』は絶対的に少ない。

 こんな炎を放とうとすれば、体中の『氣』を使い切ってしまう。

 氣=生命力はなくなれば、戦うことは難しくなるだろう。

 だが、この鬼は相変わらず威嚇している。

(どういう事だ、この鬼は何をした・・・?)

 それを探ろうとするが、構えを取らない鬼から原理を解明する事は難しそうだ。

 間合いをはかりつつ、打開の手段を考える。

「オタヂアナキク!?」

 さっきは不意を突かれたが、あれは食らうのはまずい。

 しかし、かといって躱せば炎は、後ろの町を焼くだろう。

 これ以上、生まれ育った町を破壊したくはない。

「、エクチオタモ、オイフ!」

 だが、鬼は再び何かを呟きはじめる。

序楽章7話-災厄 1

「行こう、」

 開いた日記を読んでいたら、時間が経っていた。

 そろそろ、スタンバイの時間。

 災厄が終わり次第、すぐ町を出られるように荷物を持つ。

 十二支会の各隊長は担当地区が指定されており、鬼を逃がさない包囲網が張られている。

 俺の担当範囲は町の最南端、直径5キロ。

「ここでいいか」

 あたりで最も高い、周り見渡せる高台に登る。

 空気は澄んでいて、夜空が良く見えた。

 だが、空はあの時と同じもの。

 漆黒のオーロラがゆらゆらと揺らめいていた。

 それは災厄の前兆といわれ、終わらない限り続く。

(さあ、そろそろ日付が変わる頃、か・・・)

 最北端のアカギ山では、すでに『災厄』が始まってるのだろう。

 時折、閃光が見える。

 しかし、ここまでやって来る鬼はごく一握りだろう。

 dddDDDDドドドド・・・

 って、山からなにやら地響きを鳴らし、一直線にこちらへやって来る。

「まったく、他の奴らは何をやってるんだっ!」

 俺は他隊の怠慢に呆れながらも『それ』に向かい駆け出した。

 ガッ!

 金具は金属特有の音を鳴らす。

「なにっ!」

 しかし、それを切る事はできなかった。

 内功によって強化された今の力は、鋼鉄の棒ですら引きちぎる事ができるハズなのに。

「なんだこれ?」

 日記の封を確認すると、一箇所だけ黒光りする留め金あることに気付いた。

 そこには歪んだひし形に十字を描いたような図形が描かれていた。

 美しい、そう感じる。

 謎の魅力がそれにはある。

 俺は力《それ》に引き寄せられるがまま図形をなぞった。

 すると瞬き、発光。

「くっ!」

 突然の強い発光にやられ、焦点が合うまでしばらく眼を覆った。

(・・・いったいなんなんだ?何かの罠を起動させてしまったんか?)

 『陣』や文字を用いた、呪術や罠がある事を聞いたことがある。

 ガチャリ・・・

 金属の落ちる音が真下で聞こえる。

 回復した視界で音のした方向を確認すると、それは日記にしてあったハズの封だった。

「さあ、これからどうしよう」

 これまでの事、これからの事。

 思いに浸っていると、いつの間にか家に着いた。

 『災厄』の深夜0時まで、あと7時間。

 今ごろ、他の十二支会らは今頃、様々な雑務に追われている頃だろう。

 だが、俺に下されているのは『待機』。

「荷物をまとめるか」

 とはいえ、普段あまり家にいなかった俺の持ち物は少ない。

 旅仕度もかばん1つだけですぐ終わり、再びやる事がなくなった。

「・・・ん?」

 その時、ふと袂《たもと》に入っていた、1冊の日記を思い出した。

 先ほど庭師からもらった、夕凪《ユウナギ》が残したという物。

 日記には金具で硬く封がしてあったが、この程度をこじ開けるのは容易な事。

 俺は手に氣を貯め、金具の端を掴み一気に引いた。

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