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遅ればせながら、DVDを借りて見てみました。
いや、壮絶ですね。
もう体制の崩壊とはこのようなことか、というのが厭と言うほど見えました。
一応、ヒトラーの女性秘書が主役となって、ヒトラー最後の12日間を再現するという内容ですが、
他の生き残りの方の主観も混じりつつ、多角的にヒトラーと第三帝国の最後を描いています。
非常に秀逸な作品だと思いました。
本編の内容ですが、大戦末期のドイツはひどいものです。
何がひどいって、ヒトラーもひどけりゃ周りの取り巻きもひどい。
ヒトラーは「死守命令」の連発や、しぶとく地図上の部隊を見つけてベルリン救助を命令するが、
全くもって、名称は「軍」や「師団」だが、兵力が激減している部隊ばかりで敵を抑えることも困難。
そして、あきらめモードの将軍達は命令も下さずに、酒をあおるばかりで士気の弛緩は目を覆うばかり…。
最初、総統専用防空壕はヒトラーが煙草を吸わない為、禁煙となっていたのに
ソ連軍が迫るにつれて、皆がそこかしこで吸い始める。
ヒトラーが死んだ後は、将軍達ですら吸殻をポイ捨てする始末。
また、酒や色欲に溺れる国防軍、親衛隊将校の多いこと。
ソ連軍がすぐ側まで来ているというのにパーティーなんて開いちゃう
エバ・ブラウン(ヒトラーの愛人(自決の2日前に結婚))の神経もすごいですね
(もうヤケクソだったのかも)
側近達の行動も末期になるとさすがに(もともとか?)壊れてきます。
命欲しさにベルリンを離れ米英軍に降伏しちゃうヒムラーやゲーリングなど、ヒトラーの側近達。
最後までヒトラーに付き従うゲッペルスも異常としか言えず、ベルリン市民を無理やり防衛隊に編入して
武器の操作法も戦術も知らん市民を戦線に投入し見せ掛けの兵力を増やし、
ヒトラーを元気付けようとする暴挙…。
またヒトラーユーゲント(青年組織)を軍に組み込んで88mm高射砲を打たせたり、
12歳の子がパンツァーファスト(対戦車ロケット弾)でソ連戦車に肉薄攻撃。
そして勝手にスパイや敵前逃亡の嫌疑をかけられ、憲兵に吊られていく非戦闘員(ベルリン市民)
確かにベルリンで籠城しても、救援部隊が来ず弾薬も少ないのではまったく「籠城」の意味が無い。
ヒトラーもそのことは分かっていたはずだ。
ヒトラーが最後まで諦めなかったのは、しかし市民にとって悲劇でしかない。
第三帝国を残すことが不可能とわかった時点で
それ以降に、国民を無駄に殺すことに何の意味があったのか。
国防が国民の義務であるとの認識は理解できますが、
国防そのものの概念が何なのか明確で無い場合、国民の義務感は向上しないと考えます。
国防とは、国民が生活の基盤とする土地、家族や友人、そして自分達の政府を守ることであるからです。
民主主義政権の場合、その国はめったに戦争が出来ません。
これを「民主主義国家同士は戦争をしない」とPolicy Maker達は言っています。
どういうことかというと、民主主義の場合、政府はいちいち国民の顔色を窺う必要があるということです。
であるから、政府は国民が嫌がる戦争をすることが出来ず、国家間のSecirutyが向上すると。
ヒトラーという民主主義の産物が正統なプロセスを経て「総統」になったことは
むしろ国民の責任であります。
しかし、だからといって国の舵取りのすべてをヒトラー総統に任せたわけではない。
「生存権の確保」がヒトラーの戦争の命題ではありますが、
そのために死んだドイツ人はその命題をどう思っていたのか知りたいですね。
さて、余談が過ぎましたが、この映画は民主主義のモロさというものを表していると思います。
いったん、独裁的な政治家を選んだが故に、ドイツ国民はあれほど苦労したのです。
見終わって、Liberal Democracy(偏りの無い民主主義)のよさを改めて噛み締めました。
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