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この「人生の達人」では、私の半生を自伝としてご紹介しています。
バックナンバーは、下段に置いていますので、ぜひご覧ください。 

★人生の達人をめざして★第22話★

凱旋 〜13年間のエピソード21〜


実質有効求人倍率0.5倍―。
世の景気は、これほどかというほどに冷え込んでいた。
建築業界を中心に信じられないような大企業が倒産していった。
多くの企業は、徹底したダウンサイジングを行い、バブル期に積み上げた
負債からなんとか延命を行う…そんな時代であった。

そこで、私が立ち上げた企画とは、若い素材を受け入れることだった。
これから景気が上昇すれば、間違いなく大手企業に優秀な人材は、持っていかれる。
いや、あらゆる人材が掻っ攫われるであろう。今こそ、この時期であるからこそ、
新たなる力へと繋がる若い世代を高校から募集するということであった。

しかし、ただ漠然と募集をかけても集まりはしない。更には、募集そのものさえ、
結果が出ない可能性もある。そうなれば、組織の活性化どころか、完全に分裂が起きる。
そこで仕掛けたのは、常に反対の急先鋒となるA課長の縁故を辿らせることであった。
つまり、トップダウンの指令には、モチベートされ難いが、自主的な作業からは、
モチベートをつくりやすい。自分の感情の入った企画ならば、気持ちが乗る。
そして、もうひとつは、保険として、私自身の出身高校から最低線の募集は、
確保する体制をつくる。

●新卒高校生の募集
○反対派からの感情移入
○最低線の確保 

私は、早速、母校に飛んだ―。

懐かしい街並み。懐かしい母校。
あの頃の苦しかった思い出ばかりが脳裏をよぎる。
12年ぶりの校庭に足を踏み入れた。
事務室に足を向け、事情を説明。在籍した科の陣容を確認した。
学年主任は、当時、私の担任であった先生だった。

「あ、学年主任が科の教室でお待ちしていますので、どうぞ。」
「はい。ありがとうございます。」

長い廊下を抜けて、別館へ。
思わず階段を駆け上がった。心なしか脈拍が上がっていた。
ドアは、ガラリと開いていた。私は、その前に直立し、教室を覗き込んだ。

「お、来たかぁ〜!」

先生は、なんとも言えない笑みを浮かべていた。それもそのはず。
学生時代の私は、学校側から見れば、なんとも手のつけられない問題児でもあったのだから。
まさかこんな場面で再会するとは、思いもしなかっただろう。

「ご無沙汰しております…。」
「まぁ、上がれよ。コーヒーでも入れるよ。」
「はい。ありがとうございます。」
「後輩達を採用してくれるとは、嬉しいなぁ。」
「はい。こんな時代だからこそ、普通とは逆のことをしなければと思うんです。」
「そうか。お前達の居た頃と違って、学校を取り巻く環境は変わったよ。募集なんて、
 なかなか無いんだよな。まぁ、でもこうしてお前が第1号で、帰って来てくれたことは、
 ほんとに嬉しいよ。」
「あ、そうですか。その節は、ご迷惑をおかけしました。」
「いいんだよ…もう。だって、今こうしてお前は、頑張っているじゃないか。」

時間は、すべてを洗い流してくれる。。。そんなことを感じさせてもらえるやりとりだった。

「じゃ、採用科に電話しておくから、バッチリ売り込んでおいてくれ。」
「はい。ありがとうございます。来年、本格的に動き始めたら、またお世話になりますが、
 よろしくお願いします。では、ボクはここで…。」
「そうか。。。」
「失礼します。」
「おぉ、こちらこそよろしくな。」

教室を出た時、先生の声がこぼれてきた。

「あ、○○ですが。今から、オレの大事な卒業生がそっちに行くから…よろしく頼むな。」

先生と私の間には、確執があった。それは、心の中に深く残る、お互いを否定した歴史でも
あった。しかし……私は、階段を駆け降りながら、止めどなく涙があふれてきた。

故郷との繋がり―。
それが、こんな時に蘇ってくるとは…。
ある意味、この帰郷は、距離感のあった人々との深い関係を辿らせることで、
目の前に迫っていた次なる運命の荒波を知らせようとしていたのかもしれない。

つづく

■序章 第1話:2億円の誘惑

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/3140709.html

■第2話:決断はスローモーション〜13年間のエピソード1〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/3358487.html

■第3話:天職の落とし穴〜13年間のエピソード2〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/3678824.html

■第4話:神戸に消えた3億円〜13年間のエピソード3〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/3770491.html

■第5話:All or Nothing〜13年間のエピソード4〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/3953827.html

■第6話:この世の果て〜13年間のエピソード5〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/4163667.html

■第7話:FINAL COUNT DOWN 12時間〜13年間のエピソード6〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/4195608.html

■第8話:ピンチを凌いだ者だけが〜13年間のエピソード7〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/4225623.html

■第9話:世界への扉〜13年間のエピソード8〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/4487875.html

■第10話:我ニ奇策アリ〜13年間のエピソード9〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/4607604.html

■第11話:お台場の公約〜13年間のエピソード10〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/4699984.html

■第12話:幻想と現実〜13年間のエピソー11〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/4970448.html

■第13話:結束の動機〜13年間のエピソード12〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/5195770.html

■第14話:体質改善〜13年間のエピソード13〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/5496023.html

■第15話:期待されてこそ〜13年間のエピソード14〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/5754433.html

■第16話:月光〜13年間のエピソード15〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/6321978.html

■第17話:師弟再会〜13年間のエピソード16〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/7309340.html

■第18話:品川の乱〜13年間のエピソード17〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/10883170.html

■第19話:あるべき正義〜13年間のエピソード18〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/27266082.html

■第20話:傷つけしモノ〜13年間のエピソード19〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/29589060.html

■21話:来る者は拒まず〜13年間のエピソード20〜

http://blogs.yahoo.co.jp/shinnochan1965/29887477.html

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閉じる コメント(16)

いいですねぇ。先生との確執が昔にあったとはいえ、こういう感じでまためぐり逢えるというのは。その先生もすごく良い人なんだろうと思います。自分だったら母校には行かなかったかも←恥ずかしいですし(笑)

2006/3/29(水) 午前 7:20 [ K’ ]

大人だなーアニキも先生も♪

2006/3/29(水) 午前 7:51 ayu*i*abi*0

アニキ、良い、続きが読みたい!

2006/3/29(水) 午前 9:22 [ mmk*1*65 ]

やっぱ先生はいつまで経っても先生だし生徒のことってのは忘れられないもんですよね。俺もそういう師弟関係みたいなの作れればいいなあって思います。

2006/3/29(水) 午後 0:56 [ cipher ]

今だからこそ、素直に話せたりするってことありますよね。わたしも、高校のころの先生が大嫌いだったんですが、今になると、本当に親身になっえて考えてくれていた先生なのに、なぜそんなにつっぱっていたんだろう…と思ったりすることがあります。その先生も、アニキが来てくれて、りっぱな姿を見てとてもうれしかったんじゃないのかなと思いますね!

2006/3/29(水) 午後 3:42 [ jun*n*ke*men ]

やっぱりここで書き溜めておいて・・・本ですよね!今年は・・・聖静なるしずけさの中での収穫っと達成って感じらしいので・・・今年中に! 本にして・・・みんなにかってもらお〜!\(^o^)/

2006/3/30(木) 午前 2:20 TAKATAKA

K'さん>ここでは、私も切り札しかなかった。そんな気持ちでした。

2006/3/30(木) 午前 2:29 SHINNOH

あゆかさん>いやいや子供のままいいかもね。

2006/3/30(木) 午前 2:33 SHINNOH

mmkgさん>ノッてきました。バリバリ書きますよぉー

2006/3/30(木) 午前 2:35 SHINNOH

けんたろうさん>それはつくろうと思ってもつくれないものだと思います。私は、けんたろうさんが、そのままありのままで、ぶつかってくれればそうなれる気がします。

2006/3/30(木) 午前 2:37 SHINNOH

TAKATAKAさん>そうですね。でも、来年は、厄年なんです。。。うぅ〜

2006/3/30(木) 午前 2:38 SHINNOH

ぽんたさん>誰しも通る道かもしれませんが、思春期の頃って、なんか素直になれなかったんだと思います。もしかしたら、「オレは、結構、複雑なんだぞー!簡単に評価するな!」って、熱くなっている単純なヤツだったのかも…(笑)

2006/3/30(木) 午前 2:40 SHINNOH

大人対子供が、大人対大人になると、見えてくるものがあるんですよね。ホントに子供にとっては先生は初めての関わりの多い大人なので、こんな先生の存在は大きいと思います。じぃ〜ん・・・ときちゃいました。

2006/3/30(木) 午前 6:54 sen

SENさん>この先生とはほんと複雑な確執がありました。でも、こうして伝わった感じ…これも時がそうさせたんでしょうね。

2006/3/30(木) 午後 10:53 SHINNOH

時が全て洗い流してくれたって感じなのかな?でもこういう風に良い出会いに繋がるなんて☆

2006/3/30(木) 午後 11:23 [ - ]

AKIさん>不思議なご縁です。最初から繋がっていたような不思議な感覚もありました。

2006/3/31(金) 午前 0:31 SHINNOH


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