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この「人生の達人」では、私の半生を自伝としてご紹介しています。ご一読いただくことで、多くの皆様にとって、今の時代を生き抜くヒントや勇気に繋がる「メッセージ」となれば幸いです。バックナンバーは、トップページに置いていますので、ぜひご覧ください。 


現実そして事実★人生の達人27話 〜13年間のエピソード26〜


姪の術後は、安定した。
母親からは、毎晩のようにその状況の連絡が入った。
彼女は、背中の切開手術を受けていた。
そのため、腹ばいにしか寝ることができない。
点滴を受けながら、その苦痛に耐え続けていた。

私は、自分の中の裏側にある感情に蓋をしながら、
仕事に集中していた。そこに社長からの呼び出しが。

「失礼します。何か…?」
「ちょっと頼みたいことがあるんだ。」
「はい?なんでしょうか。。。数社の協力は、確約していますが…。」
「そうか。でも、それだけでは、足りないんだよ。現金がなんとかならないか?」
「いやぁ〜現金は、私は、ありませんよ。」
「そこをなんとかならないかなぁー。」
「持ってないものは、どうにもなりません。」
「そこらのア●ムとかサラ金でもなんでも借りてきてくれよ。パッと行ってくりゃ、
 50万くらいなんとかなるだろ!?」
「そんな!オレだって、これまで、数百万は、会社の経費を借金で立て替えてます。
 知ってますよね!?」
「あぁ…。」
「私だって、個人融資は限界まで来ています。なんとか、違う方法で…、できる限りはやります。」
「そっか…。」

追い込まれているのは、わかっている。
しかし、そこまで要求されてもできないこともある。
私は、この数年の間、自身の限界まで、借り入れを起こして経費を捻出していた。

1週間が過ぎた。
待ちわびたあの連絡が母親から入った。
それはそれは、心臓が飛び出しそうな数分だった。

「もしもし。」
「あ、はいはい。そろそろ結果は出たか?」
「あぁ、出たよ。」
「そうか。で、どうやった?」
「それがなぁ…。」
「うん。」
「悪性やった…。」
「……。」
「でもな、これから抗がん剤で、投薬治療を行うんやって。」
「そうか…。」
「ただ、先生の話によるとその薬の効き目があるみたいやから...。」
「わかった。」
「それと、、、。」
「ちょっと待って、お父さんに代わるはぁ〜。。。」

母親は、その話をすることができなくなったようだった。
受話器は、父親の持ち代えられた。

「あ、もしもし。」
「うん。」
「開いた時になぁ、、、背骨の中に腫瘍があって、
 そこを観音開きにして洗い流したんよ。それで…。」
「?」
「そこから、背中の筋肉の部分にも広がっていた。。。でも、そこには
 いろんな神経が集中しているため、手をつけられんかった。」
「じゃぁ、残ったままか?」
「あぁ…。ただ、その薬が効けば、消える可能性もある。」
「わかった。。。治療費は大丈夫か?」
「いや、それがぜんぜんかからんみたいや。」
「何で?」
「どうも何百万人にひとりとかの事例で、国の研究対象になったんよ。」
「ふぅ〜ん。喜べん話やけど、、、良しととるしか無いんかな。」
「そうやな。こんなことでも不幸中の幸いなんかな…。」
「帰れんで、悪いけど…頼むな。」
「おぉ〜。大丈夫や。」
「とにかく、看病するみんなが倒れんように…。
「ありがとうな。兄ちゃんも仕事、がんばれよ。」
「あぁ…。」

電話を切って、しばらく呆然とした。
部屋の中がゆっくり回転しているような感覚にもなった。
この事実は、いったい何なのか?
夢なのか?夢なら、早く醒めてくれ。早く…。
しかし、それが現実であり、事実であった。



重い気分を背負って出社した。
そして、この仕事という現実も闘いは、続いていた。
15時を回った頃、経理室で、荒げた声があがった。

「だからー!!!もうー!!!」

それは、何かが起こったことに対する嘆くような様子であった。
バタバタとあわただしくなってきた。

「ちょっと、部長!いいですか!?」
「あ、はい。」

私は、ノックもせずにそのまま入った。
社長の親族である、経理責任者は腕組みをして、荒れていた。
その横には、社長の奥さんが…。

「やっちゃったのよ!」
「…。」

そこにあらわれた現実。
いや事実が会社経営の根幹を揺るがすことなのは、誰の目からも明白だった。



つづく

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閉じる コメント(16)

え〜?何やっちゃったんですか?姪っこちゃんは研究対象になるくらいの病気だったのですか。一度に重いもの抱えすぎでしたね、、、

2006/4/11(火) 午前 9:14 ゴン太

姪っ子さんの病気・・・凄く怖くて・・・でも何度も何度も読み返しました・・・こんなこと・・・ホントにあるんだ。。。ああ・・・すべてが苦しい内容・・・涙

2006/4/11(火) 午前 9:45 [ Hero ]

つづく。。。早くつづいてーーー

2006/4/11(火) 午後 0:54 ayu*i*abi*0

私もアニキ程ではないですが、スカポンタンの 経営者に振り回されたんで、お気持ちわかるな・・・

2006/4/11(火) 午後 9:28 [ mmk*1*65 ]

姪っ子さんの病気に会社…色々と苦労してますねぇ。でも社員に個人融資しろという社長もなんだかなぁ…人としてどうかって気が。

2006/4/11(火) 午後 9:43 [ K’ ]

う〜ん・・・。言葉が出ない・・・。ただただ、アニキが苦しい思いをしているというのがビシビシ伝わってくるというか、、、。

2006/4/11(火) 午後 10:14 二隻の舟

苦しいですね。大人でも大変なのに、ホントつらいけど頑張ったんだなぁと思います。回りの支えも重要ですもんね。

2006/4/12(水) 午前 6:43 sen

それはアリなんだろうか・・・社員に借金してこいっていう社長は。松下(違うかも)の社長さんの言葉を聞いて、本当に実行しちゃったって感じなんだけど。

2006/4/12(水) 午後 9:32 [ - ]

ゴン太さん>抱えたのか?背負ったのか?人生、何が起こるかわかりません。。。

2006/4/13(木) 午前 3:23 SHINNOH

ひろたん>ここは、体験談ですから、あったことしか書いてないです。

2006/4/13(木) 午前 3:25 SHINNOH

あゆかちゃん>まだまだつづきますよー

2006/4/13(木) 午前 3:25 SHINNOH

mmkgさん>そのパターン、めちゃめちゃ多いですよね。

2006/4/13(木) 午前 3:26 SHINNOH

かさなるときゃ〜重なるものですが・・・なんともいえんばかさ加減が・・・ なんともね、よくがんばってたな〜って思い出される。そんなことが今の心の筋肉を鍛えたっていうことだよね。うんうん!

2006/4/13(木) 午前 4:22 TAKATAKA

TAKATAKAさん>あの時は、、、ならばいいですがぁー長い期間続くとそれ以上のものですよ。心どころが魂まで。

2006/4/13(木) 午後 3:19 SHINNOH

生きていて一番つらいことは、自分の力ではどうにもならないことに直面した時ですね。その人の頑張りに希望を持つことしかできない時、天に祈るしかできない時、自分の無力さを知りますね。

2006/4/15(土) 午前 1:50 ude**jiroc*

うでちゃん>生きていると同時に生かされていますから。

2006/4/15(土) 午前 6:36 SHINNOH


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