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1959年から20数年に渡り、日本での民族差別や貧困に苦しんだ約9万人以上の在日朝鮮人の皆さんが当時"地上の楽園"と謳われた北朝鮮に渡ったらしいのですが、日本政府の対応も冷ややかなもので社会保障費の削減や治安維持の側面から帰国意思を尊重したようですね。
ソンホにとって祖国とはやはり日本なのだ。異国で暮らしながらも自分勝手な理想や思想のために息子を遠い見知らぬ国へ送り出す父親。
彼は、腹立たしさや絶望感にはち切れんばかりの胸を押さえ、家族の誰かが犠牲にならなければならないのだと悟り、妹や両親を守ったに違いない。
しかし、現実は予想をはるかに超えた過酷さが彼を待ち受けていた。選択の自由はない、許されているのはただ耐え忍ぶこと。
もう随分前のことですが、テアトル新宿で公開中にヤン・ヨンヒ監督の「かぞくのくに」を観て来ました。
1970年代、在日コリアンのソンホは朝鮮総連の重役を務める父の勧めに従い理想郷と称えられる北朝鮮の帰国事業に参加し新潟から海を渡り半島へ。
現地で結婚し子供も生まれたが、日本との国交が樹立されていないため家族の再会は果たされていなかった。
それから25年、病気治療のためソンホの一時帰国が実現する知らせが朝鮮総連の父の元へ。
監視役のヤン同志等と共に3ヶ月間だけの日本帰国が許されたソンホを暖かく迎え入れる家族だったが、日本で生まれたときから自由に育った妹のリエと両親との家族団欒は、微妙な空気に包まれていた。
兄のかつての級友たちは、奇跡的な再会を喜んでいたが、検査結果は芳しい状態とは言えず医者から3ヶ月という限られた期間では責任を持って治療することはできないと告げられる。
なんとか手立てはないかと奔走するリエたち。そんな中、本国からヤン同志に、ソンホ達を連れ明日帰還するよう帰国命令が下る。
日常の厳しさ故、北朝鮮で行き抜くために裏の仕事に手を染めたソンホ。リエに日本での工作員の仕事に興味はないか?と持掛けたことを後悔しながらも自分の身の上を語り始める「思考をゼロにするのって楽でいいぞ、あの国ではどう生き残るかってことだけだ」と。
そして「お前は自由に生きろ」とつぶやいた翌日、リエの必死の制止も空しく彼は北朝鮮へ帰国していく。
うつろな眼差しで遠くを見つめ口づさんだ白いブランコ。
家族や友人達にもう会うこともできないこと、そう遠くない時期に訪れる死を受入れたのであろう安らかソンホの姿に僕は、とても悔しい思いにかられた。
人が、一番苦しいこととは貧しさや寂しさじゃなく、自分らしくいられないことなのだから。
大きなトラベルバックを引きづりながら出かけたリエは何処へ向かったのか?最愛のソンホと離れ離れになり医者の元に嫁いだスニは幸せになれるのだろうか?
息子を北朝鮮へ繰り出した父の心中は?息子一家の幸せを案じ仕送りをつづける母の想いは叶うのだろうか?
原作本「兄 かぞくのくに」は、是非読んでみたいと思っています。
■映画 "かぞくのくに" 2011年/日本・韓国 (100分)
https://www.youtube.com/watch?v=htGbRVJ1n2I
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国の政策のために、
分断されたままの家族が、多くあるのだと言うことを知りました。
父や母の悔いはどれ程大きいだろうと思いました。
あの大きなトラベルバッグに、兄の思いとそれを受け止めた妹の思いが
詰まっているのだと思いました。
安藤サクラ、本作で初めて見ました。いい女優さんですね。
井浦新の表情も、深い思いが瞳に込められていて、印象に残りました。
2012/11/28(水) 午後 5:34
こんにちは♪
安藤サクラさん、ここ最近大活躍ですが、奥田瑛二さんのご息女なんですよね。井浦新さんも改名されてから芝居が極まってる感じがするのですが、若松監督の遺作「千年の愉楽」が楽しみです。
2012/12/6(木) 午後 7:04 [ Shintaro ]
泣かせますよね。第三国を日本と韓国で合作している。
見事な企画だと思います。
2013/5/6(月) 午前 5:41 [ dalichoko ]
chokoboさん、はじめましてこんにちは♪
レンタルも開始になったみたいですが、もう一度観てみたいなぁって思っていました。
ヤン同志役のヤン・イクチュンさん、今度は宮藤官九郎さん監督・脚本作品「中学生円山」にご出演らしいですが、ご本人の監督作品を僕は楽しみにしています。
2013/5/8(水) 午前 4:20 [ Shintaro ]