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"わが国の貧しさは物質的なものではなく精神的な自信のなさに由来している。
それは、美術やデザイン行政の無策ぶりに、企業の文化事業からの後退に、そして明日に希望が持てない若者たちの姿に端的に表れていると思う。 資源を持たない国で、日本人がこれから胸を張って生きていくためには、今以上に知的エネルギーを発揮するしかない。国際的に通用する「デザイン」立国の道を探る方策もあるのではないか。
すぐれたデザインの伝統を保存・紹介する美術館づくりに、行政、民間、皆で力を合わせてすぐにでも取りかかろう。そこから、次の時代が生まれてくるものと確信している。
私がこの仕事をなんとかめげずにやってこれたのは「デザインには悲しみはそぐわない、デザインには希望がある、そしてデザインには驚きと喜びを人々に届ける仕事である」というまことに単純素朴な理由からである。"
2003年に掲載の三宅一生さんの"造ろうデザインミュージアム"の新聞記事から10年、2012年には、国立デザイン美術館をつくる会が設立。
今回の企画展は、ミュージアム設立を目指して様々な動きが起こる中、機運を高めたいとの思いとこれまでの活動を再構築する試みのようですね。 会期中、"デザインミュージアム実現にむけて展"を観に21_21 design sightへ行って来ました。
2007年に開館した21_21 DESIGN SIGHTは、これまで23の企画展を開催。
僕は、 佐藤卓さんディレクションの「water」、三宅一生さんディレクションの「XXI c. ―21世紀人」、吉岡徳仁さんディレクションの「セカンド・ネイチャー」、佐藤雅彦さんディレクションの「これも自分と認めざるをえない展」、藤原 大さんディレクションの「カラーハンティング展 色からはじめるデザイン」がとても印象的でしたが、過去・現在・未来におけるデザイン役割について考える機会になりました。
企画展の冒頭、1935年6月13日にブルガリアで生まれたクリストとモロッコで生まれたジャンヌ=クロードの奇跡のカップル。
ふたりは、布やドラム缶によるアートワークで都市の景観や自然の風景をある期間、劇的に変貌させた。
ニューヨーク市のセントラル・パークにサフラン色のゲート7503本を連ねた"ゲート"など、野外空間を芸術作品にしてしまう様々なプロジェクトに夢中になりました。 つづく、東北/祈り/ユーモアの系では、長い年月の中で培われた手間とひま(時間)。 伝統的に引き継がれ、地域と世界を結びつけるデザインの底力を観ることができましたが、宮城県の和紙工房で造られる紙衣はその歴史や製法に驚きでした。
建立から1200年以上つづく奈良・東大寺の国家安泰祈願法要にて11名の修行僧が身に着ける紙衣の技術をベースに、現代美術国際評価議会の依頼で特別なジャケットにデザインしてしまった三宅一生さん。
一行は、紙衣を身に着け比叡山延暦寺での世界平和祈願 大法要に参列されたそうですが、伝統技術をデザインで現代風に甦させた見事なイノベーションは素敵でしたね。
ショーケースに展示された、東北でつくられる和菓子の愛らしさや美しさにも脱帽でした。 つづく、佐藤卓さんディレクションの「water」のブースでは、山積み2.000リットル分のペットボトルの前に一杯の牛丼が展示されている。
我が国は、飲み水の1000倍、生活用水の10倍もの水を食糧生産に使われた見えない水として消費し、その多くを外国の水に依存しているようですね。
日本は、外国の水を使って生産された食糧を輸入し、国内での水消費を大幅に節約しているのです。 仮に牛の飼育、餌の生産、米や野菜の生産、牛丼の調理まで全てを国内で賄うと牛丼一杯をつくるためにはなんと2.000リットルの水が必要らしい。 世界的に深刻な水不足が問題視される中で、水は勿論、過剰生産や食べ残しなど食べ物のありがたさを考えな直さなければなりませんね。
最後に吉岡徳仁さんディレクションの「セカンド・ネイチャー」から" VENUS-Natural crystal chair" の展示に興奮。
ポリエステル繊維の塊を水溶液に漬け、人工的に水槽の中で結晶に命を吹き込む" VENUS-Natural crystal chair"は、自然がつくり出す予期せぬ美しさによって生み出されるまさに女神の椅子。
従来の造形や技法の概念から離れ、人知を超えた自然の造形美とそのエネルギーに観応する吉岡さんの作品にはいつも魅了されてしまいます。
行政と民間の力、一般の人たちの協力による日本初の国立デザイン美術館設立。
実現されることを僕も楽しみにしています。
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