白野慎也のフィリピン・サリサリ・トーク

『旅の指さし会話帳』の著者、白野慎也がフィリピンの庶民生活への理解の深まる情報をお届けします。コメント大歓迎。投票もよろしく。

日本とフィリピンの関係

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 『日本で、実質ホステスとして働くフィリピン人・エンターテイナーの受け入れ・処遇は人身売買』だ、などというアメリカからの指摘を受けた、省令改正のあおりで、芸能人として正規の来日ヴィザを取得して来日するフィリピン人タレントが激減した。入管のデータを概数でざっと紹介すると、2004年、芸能人ヴィザで来日したフィリピン人が84,000人に対し、2005年は34,000人と半減以下になっている。この数字だけみても、状況が以下に厳しいかが容易に想像できる。

 こうした入管当局の締め付けに対して、昨年秋頃から、フィリピンパブはフィリピン人以外の国からの女性を混ぜてインターナショナルクラブに鞍替えしたり、日本人の配偶者を持っていたり、すでに日本人配偶者と別れた日本に在留資格をもつフィリピン人女性を『アルバイト』として雇うなど、苦しい対応を迫られているが、多くのパブが閉店、一時バブル期には6,000件あったといわれるフィリピンパブは、一説には3000件あまりに減ったのでは、と言われるほどだ。

 今日は、こういう状況に至った背景うんぬんは抜きにして、こうした大きな背景のうねりの中で翻弄されている人たちに思いを馳せてみたい。
 
 まず、エンターテイナーとして来日したものの、フィリピンに帰国後、再来日もままならぬ人たちだ。事情通の人たちの話を聞いたり、みなさんにご協力いただいた投票結果、関係ブログなどをみていると、エンターテイナーたちのたどる道は、以下のように分かれるようだ。

★日本に戻ってこれらた(る)場合/日本に引き続き滞在できる場合
1)恋愛関係にあった日本人男性とめでたく結婚・本当の日本人の妻へ
2)日本で就労機会を得るために偽装結婚
3)フィリピンに帰らずに、ヴィザの期限が過ぎても不法滞在・就労
4)ライブチャットでのアルバイト

☆日本に戻ってこられない(来られない)場合
4)フィリピンの日本人向けのカラオケや軽度の水商売で仕事
5)かつて日本での上客をうまく操縦して、金づるとして活用
6)フィリピンのゴーゴーバーや出会い系スポットなどで売春婦に転業(復業)
7)フィリピンで、大学に戻って卒業し、一般企業に就職。
8)看護士、メイドなどとして、日本以外の外国での仕事を目指して準備中・渡航
9)フィリピンでフィリピン人と結婚して普通の主婦に納まる
10)日本以外の第3国で風俗・ホステス系の仕事をする
11)ライブチャットでアルバイト

 など、身のふり方は様々だと思う。

 その一方、フィリピーナの魅力に取り付かれたものの、こうした大きな法改正のうねりの中で愛を引き裂かれた日本人男性側の動きも急で、日本で出会い、日本に帰ってこられなくなったフィリピーナを追いかけて、フィリピンに渡航する、いわゆる『追っ掛け隊』の動きも活発だ。

 フィリピンの事情はもちろん、いとしの彼女たちの『真意』もわからぬまま、海を渡る日本人男性の勢いで、昨年も日本人のフィリピン渡航者数は40万人を突破、アメリカ・イギリスを抜いて見事トップに踊り出た。しかし、こうした日本人男性たちの苦悩も深い。彼女たちが日本にいさえすれば、頻繁に顔を合わせ、不自由ながらも何とかコミュニケーションを取ることができた。

 しかし、彼女たちが、フィリピンに行ったままの今、コミュニケーションはひたすら言葉のみだ。
 皮肉なことだが、こうした状況の中で、弊著『旅の指さし会話帳』、『恋する指さし会話帳』がここに来て売れているが、私は素直に喜べない。私の本は、フィリピンでも日本でも両方で垣根なく使われてほしい、と思って作ったものだからだ。

 本当の意味での深い恋愛経験などない、と言っていい私が、これらの本をはじめ、恋愛を扱った書籍をいくつか出しているためか、30代から50代の男性からの恋愛相談をほとんど毎日のように受けているのが現実だ。多くの相談者の人たちは、ほとんどが、純粋すぎるくらい純粋な方々だ。だから一人で悶々と悩む。何か力になりたいと思うが、一般的なことしか言えない。しかし、岡目八目で、第三者だからこそ、他人の状況を客観的に判断できることもあり、何人かのくそまじめな日本人男性を手練手管のベテランフィリピン・エンターテイナーの生け贄になる道から救い出したこともある。

 しかし、問題の本質は平成鎖国とも言える時代錯誤の日本政府の外交姿勢だ。外交方針の何ら見えない日本、欧米から何か言われると過剰に反応する一方で、アジアの格下とみなす国に対しては(残念ながらフィリピンも含まれる)、異様に強気で、高圧的な態度を崩さぬ国。そんな日本が、一日も早く、アジアやアフリカ、中南米、いわゆる第3世界に対しても、開かれて国に少しずつでも変貌できるように祈っているし、私自ら、身の回りから行動をおこしていきたいと思っている。

 フィリピンと日本にしても、垣根のない交流をいつも心から望んでいる。パブにしろ、看護士にしろ、介護士にしろ、様々な国から、プロフェッショナル、またそうでない人も、一定の枠の下に受け入れ、平成鎖国といわれるような現状から一刻も早く脱してほしいと願っている。

 こんな思いを胸に、私は、消えたエンターテイナーのその後を追うドキュメントを今年3月から、『指さし会話帳』のホームページの中で毎月連載していくことになった。この企画の趣旨は、日比双方で、日本のふらふらした法令改正の中で翻弄される人々への私からのささやかな応援歌を送るということである。だからこそ、レポートの中では、先述のような様々な境遇の人々の生き様を鮮明に描いていきたいと思っている。ご期待いただきたい。

閉じる コメント(23)

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韓国・サイパン・香港などに働きに行ったフィリピーナはやはりそこでは快適に仕事できなかったのでしょうか? 2年間の興行ビザ(証明書)ですか? どんなビザ(証明書)なんでしょうか? ただ、日本政府は、一貫した政策が感じ入られないので、また、のどもと過ぎればなんとやらで、何食わぬ顔して書類が揃っていればサクッとOKという日が遠からず来るような気もするのですが。

2006/1/27(金) 午前 10:00 [ jessie ]

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ただ、以前の招聘業者や店舗による搾取や締め付けのシステムは、改めなければならないと思いますね。ただ、法改正や実施という大きな流れは私などにはわかりませんが、今の問題意識としては『あのパブで働いていた彼女たちはどこに行ったのだろう』から始まり、その典型的な生き様を紹介したい、ということになったのです。

2006/1/27(金) 午前 10:05 [ jessie ]

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追跡ドキュメントを楽しみに待っています。前述の国に行ったタレント達の話しでは実質GOGOやカーサであり日本のPPのようには行かなかったようです。我が地元のSも一旦閉店しましたが今週から再OPENしました。日比露バリ等混合で再スタートした店もありますが混成はうまく行かないようです。

2006/1/27(金) 午後 0:19 [ BabyShun ]

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そうだったんですか? まあ、いろいろな事例があり、どこまで集められるかわかりませんが、頑張ります。また、情報もありがとうございました。

2006/1/27(金) 午後 0:34 [ jessie ]

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僕はこの騒動、フィリピン軍がイラク撤退をしたことによるアメリカのフィリピン制裁のひとつと考えてますが。どうなんでしょうかねー。

2006/1/27(金) 午後 1:17 DaddyBong

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ことの発端は、そうとも言われていますね。と考えると、ほとぼり冷めればよい展開も期待できるかもしれませんね。しかし、フィリピン人エンターテイナーも中国人犯罪者も一緒くたで第3世界の人々の入国を極力押さえつけようとする外務省や法務省の体質、またそれをほったらかしにしておく日本の一般国民にも責任の一端はあると思います。北朝鮮の拉致にしろ、私も含めて政府や世界に向かってアクションを起こしている人は、拉致家族の会の方を始めとする有志の方だけですからね。

2006/1/27(金) 午後 1:34 [ jessie ]

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また、エンターテイナーの輸出を嫌うアロヨ大統領の発言を始め、自国の庶民のことなど本気で考えていないフィリピン政府にも責任があると思いますよ。加えて、アメリカの言うことには過敏に反応する日本政府の主体性の無さにもあきれます。今回の問題はさておいても、自分に自身があれば、アメリカがなんと言おうとNOと言うべきですね。ただ、人身売買という解釈は、私は手を売ってしかるべきだと思っています。しかし、もっと早く。ここまで放置してきたこと自体が法務省の責任だと思います。

2006/1/27(金) 午後 1:39 [ jessie ]

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はっきりさせておきたいのは、私の問題意識ですが、法改正のはざ間で、まさに運命にもてあそばれるエンターテーナーや彼女たちを追い求める人々の生き様のスポットを当てるということに尽きます。

2006/1/27(金) 午後 1:41 [ jessie ]

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昨夜のラジオでフィリピン国内の話ですが、サマールの少女が親に売られて(借金のかたにされて)マニラに来て違法なお店で働かされている現状についての番組がありました。日本も行き先の一つなのでしょう。それで幸せをつかむことは難しいと判っていてもそうせざるを得ないということだと思います。

2006/1/27(金) 午後 2:03 [ Oragon ]

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国を挙げて貧乏なので、日常の物価が低いので僕も質素に暮らしていればお金には困らない生活が送れるわけですが、フィリピン人は家族を助けるために海外でOFWをする。そのため国内に良い人材が残らない。国内産業が育たない。だから海外へ。と悪循環しています。また政治も無駄なお金(コミッションという名の賄賂)が絡んで出費も多く政敵の妨害が多くて実らない。税金の社会への還元も少ない。

2006/1/27(金) 午後 2:19 [ Oragon ]

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海外からの送金があるために、海外送金を受けていない一般人にとっては、収入に比較すると物価が高い。生活費を借金する。子供が借金のかたにとられてしまう。長くなりましたがこういったサイクルがあるようです。

2006/1/27(金) 午後 2:27 [ Oragon ]

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私は、所詮先進国から来た人間なので、姑息な手段ですが、フィリピン人たちに深入りし過ぎないよう、ある程度距離をとって質素に生活するよう気をつけています。

2006/1/27(金) 午後 2:40 [ Oragon ]

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jackieさん、ありがとうございました。フィリピン国内の問題としてみると、国内産業の育成→人材の受け皿→出稼ぎの必要のない健全な資本主義国家への成長と言う流れになるのでしょうが、この流れを妨げるのが、政治の腐敗、そして権力者層にもはびこる政敵は消せ、というような暴力の横行などでしょうか? また、フィリピン人はファミリー主義が強く、これが時としては自分のファミリーさえよければ他のファミリーがどうなろうと・・・という強すぎるファミリー主義も社会の変革へのマイナス要因として働いているでしょう。

2006/1/27(金) 午後 2:45 [ jessie ]

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でも、jakcieさん、われわれはやはり100%フィリピン人にはなり切れませんから、ある程度距離をとって、ついていけないところは日本流、あるいは自分流でというのはいたって自然なことだと思いますよ。

2006/1/27(金) 午後 2:47 [ jessie ]

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来るにこれなくなった一人の女性の話を聞きました。そして最後は今のマニラの住まいはでなければならない。だからお金貸して・・・。1年ぶりの電話から1週間目の電話でした。正直に貸せるお金もないので、断りました。それから電話もないし、電話にもでないし、メールの返事もありません。

2006/1/27(金) 午後 10:17 natsumi_s_58

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う〜ん、どういう状況なんでしょうか? NATSUMIさんとは恋仲か、それに近い関係だったのでしょうか? 『来る』というのはエンターテイナーとしてでしょうか? 通常愛情がらみなら、お金の話が出たところでゲームオーバーという掟を設けている人が多いようですね。私もまったく同感です。ただ、友だち関係なら話は別ですが、貸す=あげる、ですからそのつもりでいなければいけないですよね。私もそんな個人ODA、または授業料と言ってもいいかもしれません。どれだけ出費したものか(反省)

2006/1/27(金) 午後 11:20 [ jessie ]

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jackieさんの言うフィリピン人と「ある程度の距離をとる」ってとても大切なことだと思うのですが度合いが難しいですね。機会がありましたら教えて下さい。実践されているjackieさんや白野さんの言葉には重みがあります。妻の家族のみに100%依存して生きていくのも何かあったら辛いし、かと言って・・・ってところです。うーん。

2006/1/28(土) 午後 3:58 [ BabyShun ]

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baby shunさん、おっしゃる通りですね。奥様の家族は、もうご自分の家族、奥様のご家族もbaby shunさんは大切な家族の一員ですからねえ。義理の家族の距離感ってカップルそれぞれだと思うのですが、むしろその点は、私の方が人生の大先輩のbaby shunさんからご教示賜りたいくらいです。また、今後とも情報交換させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

2006/1/28(土) 午後 9:30 [ jessie ]

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No,thank youそして代案。これが私の付き合い方の掟です。気を遣ってもらっているのだが、ありがた迷惑って時もあるし料理が不味い時もあります。私に余裕がない時もあります。そんな時は率直にゴメンってことで。でもNOのあとにはThanksを忘れずに、そして明日なら良いよ、満腹だから後で食べるよ、料理だったら甘過ぎて・・・って具合に理由か代案を付け加えます。最初はドキドキして言ってたのですが最近は解ってくれるようになりました。

2006/1/29(日) 午後 1:43 [ BabyShun ]

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そうですね。相手を傷つけずに、「No thank you+代案」これはフィリピン人だけでなく、異文化の人々と付き合うための普遍的な方策ですね。それをまたしっかり相手に理解させてしまう辺り、さすが『俺の掟の男』、baby shunさんですね。またまた脱帽です。

2006/1/29(日) 午後 9:43 [ jessie ]

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