白野慎也のフィリピン・サリサリ・トーク

『旅の指さし会話帳』の著者、白野慎也がフィリピンの庶民生活への理解の深まる情報をお届けします。コメント大歓迎。投票もよろしく。

コラム

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 今年ももう1月が過ぎた。時の立つのは本当に早い。一年の始めの区切り、今日は私の人生のひとつの転機についてお話したい。

 私が食品メーカーのサラリーマンをやめて、趣味であるフィリピンの言語・文化をテーマとしたカルチャー・ビジネスで何とか自分ひとりくらい生きていけないかと思い立ったのが、1996年。以降、出版社のライター、OPMカラオケの歌詞原稿チェック、テレビ素材の翻訳(英語・フィリピン語)、などを細々とやってきた。なかなか芽が出ない。そうこうするうち4年が過ぎた。

 日本ではフィリピンと言えば、まずフィリピンパブ、たいていの日本人はフィリピンの大衆文化やフィリピン語なんてまるで興味がない。フィリピンパブでフィリピーナに入れあげている人たちの多くもしかり。日比カップルにしても、お互いの生まれ育った文化の違いの深いところをまったく分からないまま、結婚してから気づくケースがなんと多いことだろうか。

 やはり、日本でフィリピン語・大衆文化の専門家としてやっていくのは無理かなあ、と思い始めていたとき、みなさんご存知のフィリピンパブ・パラノイアの掲示板で『旅の指さし会話帳〜フィリピン語版』の著者募集の書き込みを発見したのだった。忘れもしない2000年10月30日だった。当時、私はどうシリーズについては、ページ数の少ない薄っぺらの旅行会話集くらいの印象しかなかった。さっと1・2週間で書き上げて、原稿料をもらってそれでおしまい、くらいの軽い気持ちだった。

 そして翌日、面接の連絡があり、すぐに出版元の情報センター出版局を訪ね、「ようこそ応募してくださいました」とばかりにすぐに採用。編集担当者は、応募前から私のことを知っており、何人かのフィリピン通と言われる人から推薦を受けていたと言うのだ。しかも、出版契約は原稿買取ではなく、定価の何%という印税契約だった。売れれば売れるほど、収入も増えると言うわけだ。

 そしてすぐに執筆開始。しかしいざ制作に入ると、見掛けのソフトなイメージとは大違い、綿密に設計された枠の中に、選びぬかれたフレーズを組み込む。そして単なる語学書ではなく、そこに文化の香りをちりばめてゆくというすごく緻密で細部にこだわった仕事になった。わずか1ヵ月半の作業期間ではあったが、かなりの集中を要求され、締め切り前は、1週間で3時間しか寝ないという信じられない、我が人生でもっともハードな時を経験した。

 そして、2001年2月、『旅の指さし会話帳〜フィリピン』が世に贈られることになった。それからほぼ5年。86,000部というフィリピン関係の書物ではちょっとありえない販売部数を記録することになった。指さしというシンプルだが優れたメソッドと、私を支えてくれた読者の方々のおかげだと感謝している。同著がきっかけとなり、出版企画もどんどん実現するようになった。『旅の指さし会話帳〜フィリピン』の成功を受けて、私が企画した『恋する指さし会話帳シリーズ』もそのひとつだ。テレビの翻訳の仕事、読者の方の希望で拡大したフィリピン語のマンツーマンレッスンなど、仕事の幅はどんどん広がっていった。

 この1冊の本との、インターネットを通じての出会いで、私はかねてから名乗っていた『フィリピン・カルチャー・ウォッチャー』(フィリピン語、およびフィリピン文化のエクスパート)として何とかやっていけるんじゃないかというかすかな自身をもらったのである。

 そして、恋愛の方もインターネット・チャットを通じて知り合った親子ほど年齢の離れた(私は44歳、彼女は20歳の大学新卒)フィリピーナとゴールインの時も間近という様相を呈してきた。

 コンピュターが最大の弱点だった(今でも)アナログ中年男が、インターネットで仕事の転機をたまたま引き寄せ、将来の伴侶をインターネットで見つける、という何という皮肉。

 そして、今、ほぼ毎日ブログを通じてみなさんにメッセージを送り続けている。訪問してくださる読者の方々への感謝の気持ちを忘れず、これからも偶然の出会いを大切に、みなさんに『気持ちの入った、楽しみと安らぎ、そして実用性のある』メッセージを配信続けて行きたいと思っている。

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閉じる コメント(8)

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チャンスは誰にでもあるもの。でも好奇心がなければチャンスに気付かないし,傍観していればトンビにさらわれてしまうし。人生って本当に一期一会ですよね。1ケ月半で仕上げたとは思えない完璧なテキストですよ。楽しみながらいつでも携帯できるので、私にとって永遠不滅のバイブルになると思っています。ゴールイン目指してダッシュですね♪

2006/1/31(火) 午前 9:41 [ BabyShun ]

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ありがとうございます。1ヵ月半で仕上げさせられたのは、あのシリーズのコンセプトがしっかりしていたことと、出版社の都合に引っ張られたからです(笑)。最後の1週間は「死ぬかも」と思いましたね。第2刷は足掛け5ヶ月でゆとりを盛ってやらせてもらいました。過分な尾骨をいただいて心苦しいです。イラストとフレーズをああいう形で結びつけたアイデアこそが賞賛され、尊重されるべきだと思うんですよね。『指さし』の発案者は語学書籍部門のノーベル賞クラスの評価を受けてしかるべきですね。

2006/1/31(火) 午前 10:15 [ jessie ]

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ゴールイン?! 最後のところでしくじらないように頑張ります(笑)。

2006/1/31(火) 午前 10:22 [ jessie ]

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実はある他の言葉の「指差し」も買ったのですが、残念ながらあまり使い物になりませんでした。白野さんの言語の力量もそうですが、やはり編集に対するまじめな取り組みが大きいと思いますよ。ゴールインの方は、Bahala na ang Diyos.ですが、同時代に同じ言語を生涯の趣味とした仲間として是非協力を続けたいと思います。

2006/1/31(火) 午後 2:29 [ Oragon ]

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それはどうもありがとうございます。大きな力を得てとても心強いですね。指さしシリーズも著者の言語力もさることながら、書籍に対する愛着や本作りへのこだわりでやはりできばえにばらつきでるようです。また、私が提案した『指さし』の新シリーズ(今年9月発行予定)を少しでもいい物にするよう、すでにbaby shunさん、jackieさんにはご協力いただいています。今後ともよろしくお願いいたします。

2006/1/31(火) 午後 2:57 [ jessie ]

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手前味噌になって恐縮ですが、指さしシリーズの中で、ほぼ完全バイリンガル対応になっているのはフィリピン版だけです。なので、フィリピン人の方にもいろいろな場面でご利用いただいて、私の意図がピッタリ当たってありがたい限りです。その結果、旅をしない方にも随分と『旅の指さし』をご購入いただいてます(笑)。

2006/1/31(火) 午後 3:00 [ jessie ]

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白野さんのお書きになった「指差し」。どこかのサイトで紹介していたのをきっかけに彼の分と合わせて2冊買ったのを思い出しました。まさかここで白野さんとお近づき(実際には未だお目にかかっておりませんが)なるとは思ってもいませんでした。これも人生の偶然の一つなんでしょうね。それともフィリピン好きの宿命か???(笑)

2006/1/31(火) 午後 10:29 [ Mint Car ]

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そうですか。お求めいただいてありがとうございました。本当に人との出会いは偶然です。このサイトを通じて懐かしい方との再会もあり、新しい出会いがあり、また、あの本を書いたことによって今私が、結果的にこのブログをはじめるに至っているわけでもあります。いろいろな分野からフィリピン愛を持った方々のサロンとして、くつろげてなにかタメになるトピックを提供していきたいと思います。そうですね。フィリピン愛を持ったもの同士、方向性が同じ愛を持った人同士はどこかで出会うものなんでしょうね。これもまた運命なんですねえ。

2006/1/31(火) 午後 10:41 [ jessie ]


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