白野慎也のフィリピン・サリサリ・トーク

『旅の指さし会話帳』の著者、白野慎也がフィリピンの庶民生活への理解の深まる情報をお届けします。コメント大歓迎。投票もよろしく。

日本とフィリピンの関係

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 日本のマスコミで紹介されるフィリピン、これはみなさんご存知のとおり、麻薬や売春、殺人、誘拐などの犯罪、海難事故、自然災害による大きな被害、貧困などの社会問題など、ほとんど事件・事故に関する情報などネガティブなものがほとんどである。したがってフィリピンに対して特別思い入れのない一般の日本人のフィリピンに対する認識は「危ない国」「汚い国」「悪人がたくさんいる国」「できれば行きたくない国」といったステレオタイプの認識しか持ちようがなくなる。
 とかく多くの人は、マスコミや自分の近しい人からもたらされて情報以外では外国に対する知識を持ちようがないから仕方ないことなのだが、私たち、フィリピン親派組みからみると、上記に様なイメージは、フィリピンという国の本の一面でしかないことはよくわかっている。
 同様に、一般のフィリピン人の日本に対するイメージも同様である。自動車や家電品、カップヌードルやアジノモトなど日常生活にあふれかえる工業製品から優れた工業国は認識されているし、フィリピンに住む日本人の暮らしぶりや観光客の多くの派手な豪遊振りからお金持ちの国であることもよく認識されている。その一方で多くのフィリピン人は日本人は本国ではいつも着物を着て生活し、気候はいつも寒くて四季のあることを知らない人がほとんどだ。
 来日するエンターテイナーはみんな売春していると信じ込んでいる人も多いし、日本人はみんなやくざだと思っているフィリピン人も非常に多い。「あなたはヤクザですか?」と私自身何度聞かれたか数え切れない。
 こうしてみると、日本とフィリピン、お互いの理解度はまだまだ全然足りていないように見える。いつも一緒にいる奥さんや旦那さんのことだって完全には理解できていないだろう。
 大切なのは、すべての人が、世界に対して自分が以下に無知であるかを強く認識し、知らない世界を素人努力することではないかと思う。可能なら世界を時間と経済力の許す限り、自分の目で見て回るべきだ。
 これはフィリピンと日本のさらなる相互理解にとどまらず、世界レベルで言えることである。

 以前ご紹介した「消えたエンターテイナーのその後」(仮題)のレポート企画が、いよいよ本格的にスタートしました。これは文字通り、昨年度の省令改正で入国の難しくなった元エンターテイナーのフィリピーナや彼女たちに取りつかれた日本人男性たちを現地フィリピンと日本の両方でレポートするものです。
 第1回は、プロローグです。この企画の方向性や私の小さな過去、などが紹介されます。3月下旬、『旅の指さし会話帳』の出版社、情報センター出版局のリニューアルされたホームページで毎月連載される予定ですので、お楽しみいただければ幸いです。
 情報収集、原稿の試読、企画アドバイス、ご協力のお申し出などをいただきました、baby shunさん、jakcieさんなど、ご協力いただいておりますみなさまには、この場を借りてお礼申し上げます。
 そんなに自信があるわけではありませんが、ご期待下さい。アップされましたらまたご紹介させていただきます。

 フィリピンパプのかつての隆盛で、そこで出会った日本人男性とフィリピン人エンターテイナーを中心に国際結婚する、いわゆる日比カップルが増え、その数現在約10万人。そして現在、入管のきびしい締め付けにあいながらも、日々、日本各地で日本人男性とフィリピーナの新たな出会いのドラマは続いている。フィリピーナと出逢った日本人男性の多くは、同時にフィリピンとも出逢うことになる。

 こうして運命のいたずらでフィリピンと出逢った人々は、人生の選択肢に気づく。
「生活するのは何も日本じゃなくて、フィリピンでもいいじゃないか」
と。

 そう、その通りなのだ。賃金水準のものすごい格差もあって、日本人がフィリピンで仕事をしながら生活するのは、よほどシンプルな生活水準で満足できる人でなければ難しいが、ある程度たくわえのある人が、フィリピンをリタイアメントの地として選ぶのは、住み心地のよさ、寒さ氏らずの機構、物価水準の安さなどからいい選択だと思う。

 フィリピンに縁のある人々にとっては、いろいろな意味での『第2の人生をフィリピンで過ごす』という選択肢は、非常にポピュラーなものになってきた感がある。カラオケボックスの経営、飲食店の経営、養豚業、各種コンサルタント業(この辺は怪しいものが多いようだが)を始め、日系企業のフィリピン現地採用スタッフとして働く日本人の増加など、引退前から、人生の選択肢として積極的な意味で、『第2の人生をフィリピンで過ごす』人々が増えている実感がある。20代から具体的なプランを持ち、20代後半から、30代で実践に移す人も珍しくない。

 みなさんの多くがご存知のフィリピン関係の雑誌『パライソ』も日本人のフィリピンでの現地採用広告を出すようになって発行部数が飛躍的に伸びたのは先日述べたとおりである。毎月4ページに及ぶ、現地でも求人情報を見ていると、私も応募したくなるくらいだ。

☆パライソ: www.paraiso.co.jp

 しかし、今日の話題は、これがメインではない。フィリピンにゆかりがない人が、現実的に『南の島でリタイアメントライフを』といったときに、フィリピンは意外にも(予想通り?)不人気なのである。これが今日の話題である。

 昨年の年末のTV番組で観たのだが、リタイアメント後の定住地として、マレーシアが今ちょっとした人気なのだという。外国人のマレーシア移住による、年金非課税を始めとする税制上の優遇措置、優れた医療技術など、いろいろ理由が挙げられていたが、何よりも私の印象に残ったのは、「治安がいい」ということだった。

 生活の場、あるいは旅行地としてのフィリピンの相対的な不人気は、治安の悪さ(あるいは治安が悪いというイメージ)にあるのではないか、と私は確信しているからだ。本当にどの程度フィリピンが危ないのか私は知らない。しかし、フィリピンびいきではない一般の日本人の中には
「フィリピンって危なそう」
というイメージが蔓延しているのが大問題なのだ。

 空港職員の袖の下要求、悪徳警官の所業、タクシードライバーのマナー(メーターを使わないなど)から始まり、ボッタクリ、犯罪・・・これらは、フィリピンだけのことではないはずなのだが。

 その責任の一端は、日本のマスコミにもある。フィリピンというとなぜか、売春とか麻薬とか誘拐とか、政変劇、事故など、ショッキングな話題しか取り上げようとしないのだ。 フィリピンにだって南の島特有の平和な静かな日常があるのだから、そういう素顔のフィリピンを持って取り上げてほしい。
 私のところに来たテレビ番組の元になるビデオ素材の翻訳依頼も、テーマを列挙すると、昨年の元日本兵発見事件(ガセでしたが)、ミンダナオでも日本人殺害事件、記憶に新しい仙台の赤ん坊誘拐事件と、まあこんな具合で、すべて「〜事件」ばかりで、マスコミが以下にフィリピンの日常に興味を持っていないかがうかがい知れるというものだ。

 また、かつてASEANでフィリピンと双子の兄弟と称されたタイとフィリピンの観光地としての人気の差は何なのだろう。何と言ってもタイには女性の観光客も多い。年配の色気目的でない観光客も多い。私が思うに、両国の観光地としての違いは、3つある。タイにあってフィリピンにないもの、それは、「これだ」とアピールできる、外国人にも分かりやすい『食文化』があること、長い独自の歴史、そして『比較的治安がよく見える』こと、である。

 魅力のある食文化があるからこそ、女性もひきつけられる。しかし、フィリピンにはこれだ、と決め手になる料理の顔といったものがまだないように思う。これは日本人女性観光客をひきつけられない大きな原因だ。これからの課題である。
 歴史に関しては、ない袖は触れないが、植民地であるがゆえの多様性のアピールの仕方、少数民族の紹介など、手の打ち方はいろいろあるだろう。

 しかし、何にもまして、フィリピン政府、そして一般国民が全力で取り組まなければならないのは、
 治安の悪さ、または治安が悪いというイメージの解消だろう。男性でも安心して街中を安心して歩けない、4年も住んでいる駐在員でさえ怖くてタクシーに乗れない国に、女性観光客がホイホイやってくるわけがない。タクシーの場合、メーターを使わないことへの罰金制度の実施がかなり厳格に行われるようになったようだが、治安の悪さの現況はやはり、貧困問題だ。経済の建て直しに向けてフィリピン政府には、容易ではないが(望むほうが無理かもしれないが)、汚職追放・国民の視点に立った大胆な経済政策の推進を何よりも望みたい。

 少なくとも『治安が悪い』というイメージの払拭と魅力ある食の開発・アピールで今よりは、女性観光客が呼べるのではないか? フィリピンには少なくともタイに勝るとも劣らない素晴らしい海という観光資源があるのだから。そしてライステラスやスペイン統治時代の美しい町ヴィガンといった世界遺産、また各種希少動物の棲息地など、本来の意味での観光資源にはこと欠かないのだ。問題はこれをどう生かすか、そしてそれ以前に「治安が悪い」というイメージをどう払拭していくかが大問題だ。

 現在、フィリピンの観光シーンでのトレンドは、セブとエルニド。どちらもマリン・リゾートだ。皮肉なことだが、フィリピンであるということをアピールしないがゆえに女性にも人気を呼んでいる。バリ島がインドネシアであることを知らずに日本人観光客が訪れるように、セブはセブであって独立国のようにとらえられているようだ。フィリピン中西部、長細いパラワン島の北部のダイビングリゾート、エルニドもしかり。エルニドは、最近人魚の島ラゲン島がエステの聖地になってひそかな人気を呼んでいるらしい。

 エンターテイナーが日本に入ってこられない、戻ってこられないから日本人男性がフィリピンに追いかけていくという現象。マニラはそんな『追っかけ組み』があふれかえっているようだ。そして、フィリピンのイメージを切り離して観光客を増やしているセブやエルニド。

 どちらも、フィリピン本来の魅力で日本人渡航者を増やしているのではないという点で、どうしても私は手放しでは喜べないのだが、フィリピンびいきのみなさんはどんな思いだろうか?

 『日本で、実質ホステスとして働くフィリピン人・エンターテイナーの受け入れ・処遇は人身売買』だ、などというアメリカからの指摘を受けた、省令改正のあおりで、芸能人として正規の来日ヴィザを取得して来日するフィリピン人タレントが激減した。入管のデータを概数でざっと紹介すると、2004年、芸能人ヴィザで来日したフィリピン人が84,000人に対し、2005年は34,000人と半減以下になっている。この数字だけみても、状況が以下に厳しいかが容易に想像できる。

 こうした入管当局の締め付けに対して、昨年秋頃から、フィリピンパブはフィリピン人以外の国からの女性を混ぜてインターナショナルクラブに鞍替えしたり、日本人の配偶者を持っていたり、すでに日本人配偶者と別れた日本に在留資格をもつフィリピン人女性を『アルバイト』として雇うなど、苦しい対応を迫られているが、多くのパブが閉店、一時バブル期には6,000件あったといわれるフィリピンパブは、一説には3000件あまりに減ったのでは、と言われるほどだ。

 今日は、こういう状況に至った背景うんぬんは抜きにして、こうした大きな背景のうねりの中で翻弄されている人たちに思いを馳せてみたい。
 
 まず、エンターテイナーとして来日したものの、フィリピンに帰国後、再来日もままならぬ人たちだ。事情通の人たちの話を聞いたり、みなさんにご協力いただいた投票結果、関係ブログなどをみていると、エンターテイナーたちのたどる道は、以下のように分かれるようだ。

★日本に戻ってこれらた(る)場合/日本に引き続き滞在できる場合
1)恋愛関係にあった日本人男性とめでたく結婚・本当の日本人の妻へ
2)日本で就労機会を得るために偽装結婚
3)フィリピンに帰らずに、ヴィザの期限が過ぎても不法滞在・就労
4)ライブチャットでのアルバイト

☆日本に戻ってこられない(来られない)場合
4)フィリピンの日本人向けのカラオケや軽度の水商売で仕事
5)かつて日本での上客をうまく操縦して、金づるとして活用
6)フィリピンのゴーゴーバーや出会い系スポットなどで売春婦に転業(復業)
7)フィリピンで、大学に戻って卒業し、一般企業に就職。
8)看護士、メイドなどとして、日本以外の外国での仕事を目指して準備中・渡航
9)フィリピンでフィリピン人と結婚して普通の主婦に納まる
10)日本以外の第3国で風俗・ホステス系の仕事をする
11)ライブチャットでアルバイト

 など、身のふり方は様々だと思う。

 その一方、フィリピーナの魅力に取り付かれたものの、こうした大きな法改正のうねりの中で愛を引き裂かれた日本人男性側の動きも急で、日本で出会い、日本に帰ってこられなくなったフィリピーナを追いかけて、フィリピンに渡航する、いわゆる『追っ掛け隊』の動きも活発だ。

 フィリピンの事情はもちろん、いとしの彼女たちの『真意』もわからぬまま、海を渡る日本人男性の勢いで、昨年も日本人のフィリピン渡航者数は40万人を突破、アメリカ・イギリスを抜いて見事トップに踊り出た。しかし、こうした日本人男性たちの苦悩も深い。彼女たちが日本にいさえすれば、頻繁に顔を合わせ、不自由ながらも何とかコミュニケーションを取ることができた。

 しかし、彼女たちが、フィリピンに行ったままの今、コミュニケーションはひたすら言葉のみだ。
 皮肉なことだが、こうした状況の中で、弊著『旅の指さし会話帳』、『恋する指さし会話帳』がここに来て売れているが、私は素直に喜べない。私の本は、フィリピンでも日本でも両方で垣根なく使われてほしい、と思って作ったものだからだ。

 本当の意味での深い恋愛経験などない、と言っていい私が、これらの本をはじめ、恋愛を扱った書籍をいくつか出しているためか、30代から50代の男性からの恋愛相談をほとんど毎日のように受けているのが現実だ。多くの相談者の人たちは、ほとんどが、純粋すぎるくらい純粋な方々だ。だから一人で悶々と悩む。何か力になりたいと思うが、一般的なことしか言えない。しかし、岡目八目で、第三者だからこそ、他人の状況を客観的に判断できることもあり、何人かのくそまじめな日本人男性を手練手管のベテランフィリピン・エンターテイナーの生け贄になる道から救い出したこともある。

 しかし、問題の本質は平成鎖国とも言える時代錯誤の日本政府の外交姿勢だ。外交方針の何ら見えない日本、欧米から何か言われると過剰に反応する一方で、アジアの格下とみなす国に対しては(残念ながらフィリピンも含まれる)、異様に強気で、高圧的な態度を崩さぬ国。そんな日本が、一日も早く、アジアやアフリカ、中南米、いわゆる第3世界に対しても、開かれて国に少しずつでも変貌できるように祈っているし、私自ら、身の回りから行動をおこしていきたいと思っている。

 フィリピンと日本にしても、垣根のない交流をいつも心から望んでいる。パブにしろ、看護士にしろ、介護士にしろ、様々な国から、プロフェッショナル、またそうでない人も、一定の枠の下に受け入れ、平成鎖国といわれるような現状から一刻も早く脱してほしいと願っている。

 こんな思いを胸に、私は、消えたエンターテイナーのその後を追うドキュメントを今年3月から、『指さし会話帳』のホームページの中で毎月連載していくことになった。この企画の趣旨は、日比双方で、日本のふらふらした法令改正の中で翻弄される人々への私からのささやかな応援歌を送るということである。だからこそ、レポートの中では、先述のような様々な境遇の人々の生き様を鮮明に描いていきたいと思っている。ご期待いただきたい。

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