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*写真上:選択科目で日本語を履修する友だちの大学生。君も言葉ごとに、脳みそと舌と歯茎のギア・チェンジするのはお手の物なのかなあ?
写真下:ラブラブフィリピン語会話ショートフレーズ集第3巻〜デート&すったもんだ編(白野慎也著:アドマーズ発行:http://www.admars.co.jp/tgs/0509shortphrase.htm)
弊著『恋する指さし会話帳フィリピン』の完全音声CD版の『ラブラブフィリピン語会話ショートフレーズ集4巻シリーズ』もとうとう、第3巻まで、収録・原稿ともに完了。あと数日で、ご希望の方にはお届けできる見込みになりました。
それはさておき、日本語のアナウンスは、へたくそながら私がやっているのですが、2枚目のCDの最後に「それではみなさんさようなら。Mabuhay ang Pilipinas!!」というナレーションがあります。先月初め、このフレーズの件で、制作販売元のアドマーズ社のサウンド・エンジニアの方から電話があり、
「さようなら」の「ら」の音が、RAの音になって舌がぶるぶる震えているように聞こえて日本語として不自然だと思うのですが、それでいいでしょうか?」
という指摘をいただきました。
私は、早速受け取ったサンプルCDの音を聞いて愕然!! 日本語の「ら=La」ではなく、フィリピン語の「Ra」になっていて、舌がぶるぶる震えて、舌と上歯茎の間に風が起こっているのがハッキリ聞こえるのです。昔の江戸っ子言葉、べらんめえ調の「ら」そのものなのです。
先日、フィリピン語学習が英語に及ぼす影響についてお話しましたが、自分の日本語の発音まで無意識に『こわれている』とは!! ショックと言うより驚きでした。
わたしは、ラリルレロを発音するときに頭の中にra,ri,ru,re,roを思い浮かべている自分にはじめて気がついたのです。
日本人がフィリピン語を勉強する場合、必ず問題になるのが、LとRの問題です。英語でも同様ですね。われわれ日本人は、通常RAとLAを区別しませんよね。「らりるれろ」は、限りなくLa,Li,Lu,Le,Loの発音に近いと思います。それなのに、ローマ字ではra,ri,ru,re,roと表記するんですよね。これは実態に合わせて、日本語の「らりるれろ」は、La,Li,Lu,Le,Loと表記するように改めるべきだと思いますね。
こうした表記と発音の食い違いもあってかなくてか(?)、外国語学習経験のない日本人は、そもそもLとRの発音の区別をしませんから、フィリピン人から見ると、日本人の発音するLとR、特にRの行は、やはりとても奇妙に聴こえるようでなんですね。
私も、学び始めのころLとRの区別ができていない、と身近なフィリピン人に注されたことか、数え切れません。後でお話しするNとNGの区別ができなかったこともしかりです。
幸い、ほとんどの場合、状況から意味は通じることが多いのですが、Lは舌を上歯茎につける、Rは上歯茎と下をつけずに間で風を起こしてふかすような感じ(言葉で説明するとちょっと難しい感じになっちゃいますね)の区別をハッキリさせるようにしたいものです。
日本人の話すフィリピン語の発音の泣き所その2は、単語の最後に来た、NとNGの区別がつかないことです。Nは単語の一番最後に来たとき、舌先を上歯茎にしっかりつけて「ヌ」と聴こえるくらいはっきり発音するし、NGは逆に舌を上歯茎につけず、のどの奥に『ング』と飲み込むような感じです。これも意識して発音練習して体、いや舌と歯茎で体得してください。
よく見られる日本人の発音の欠陥の最後は、ga,gi,gu,ge,goとnga,ngi,ngu,nge,ngoの区別がないことです。前のグループは素直にローマ字読みでガギグゲゴでいいでしょう。しかし、後ろのグループは鼻にかかったガギグゲゴで、鼻濁音と呼ばれて、日本語のガギグゲゴとは明確に区別しなければいけないものです。カラオケの振り仮名などでは、簡略化して、どちらのグループもガギグゲゴで済ませている場合が多いですね。これは初心者の場合は、負担を軽くする上でまあいいでしょう。
ただ、nga,ngi,ngu,nge,ngoグループを「ンガ、ンギ、ング、ンゲ、ンゴ」というのはちょっといただけません。と言うより、個人的には「これは許せない」とすら思います。
たとえば、pangako(約束)という歌のタイトルが、「パンガコ」と読み方がふってあったりします。これは大間違い、ちょっと見過ごしにはできないところです。
一方、日本人が、NとNGを区別しないせいか? フィリピン人にも混乱が起こっているようです。先日、日本語が少しできるフィリピン人がローマ字書きの日本語で手紙をくれました。
Otosang, Okasang, yorosukune.
そこには、こう書かれていました。yorosukuneはご愛嬌としても、問題はotosang、okasangの部分です。 私は、「彼女の身近な日本人は、こんな風に聞こえるような、いい加減な日本語の発音をしていたんだな」と、自分を含む日本人の自国語にに対する認識の低さを反省するとともに、「フィリピン人の耳にはこんな風に聴こえていたのか」という新鮮な発見もあり、ちょっと複雑な思いでした。
ですから、学習者のみなさん、特に初学者のみなさん、発音の表記のカタカナは、単なるひとつのヒントと考えて、100%信じきってはいけません。自分の耳を頼りにしてください。
話は、『壊れてしまった私の日本語』に戻りますが、その一件以後、私は、日本語を話すとき、フィリピン語を話すとき、そして英語を話すときと、脳みそのギア(舌と歯茎のギアもですね)を切り替えるのに大分神経質になってきました。
フィリピンチャンネルのバラエティ番組など見ていると、英語、フィリピン語、その他の言葉と、このギアの切り替えが、難なくできるフィリピン人がうらやましいですね。
今度生まれるならフィリピン人に生まれたいなあ、などと気まぐれに思った録音でのエピソードでした。
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