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かくして私は携帯を失った。しかし、各種連絡用に携帯は絶対不可欠だ。私はすぐさまSMメガモールに行って、一番安いNOKIAを2800ペソで買った。それにしても盗まれた携帯のことが悔しかった。その時私はふと海外旅行傷害保険のことを思い出した。携行品保証というやつだ。
私が盗まれたと証明してくれる人は誰もいない。ただ、せっかくだからダメもとで損保会社に連絡を取り、必要書類や手続き起源を確認した。
ポリス・レポート、購入時の領収書、所定の被害届書、この3点で手続き完了で、事故発生から2年以内に請求手続きをすればいい、ということがわかった。意外と簡単で、私は少しほっとした。
問題は、ポリス・レポート。本来は無料であるべきだが、パサイ市の警察では2000ペソを請求されたなんていう話も聞いている。しかし、私はともかく経験のために、そしてもしかしたら携帯電話購入料金が多少なりとも戻ってくるかもしれないと思い、地元のマンダルーヨン警察署に行ってみた。
予想どうり、かったるそうな警官のたらいまわし対応。まず、公証人役場で宣誓供述書(Affidavit:アピダピット:担当警官の発音どおり)を取ってこいという。当然、横柄な態度だ。公証人役場か? 宣誓供述書? いったいいくら請求されるんだろう? 私の懐の不安はますます大きくなる。でもまあいいや、ともかく経験だ。最終的にいくらかかるのか、逆に私の興味は膨らんでいったのだった。
「あの、公証人事務所はどこでしょうか?」
あっちへ行って、こっちへ行って。かれこれ30分。事務所に付いた。
私は携帯電話を盗まれ、ポリスリポート申請のために宣誓供述書をお願いしたい旨、説明した。
意外とスムーズだった。彼女は事件の状況を私に聞き、手際よくタイプし、15分ほどで宣誓供述書を作成。私は自分の名前が印字されたところにサインをした。
Thank you.
といったその場を離れようとした時、
「じゃ150ペソいただきます。」の声。
選択の余地なし。私はすぐ支払った。警察ではいくら請求されるのか? 不安が大きくなった。2000ペソとかあまりにも不当なことをいわれたら、あきらめようと心に決めた。
宣誓供述書を持って警察署に戻ると、先ほどの横柄な警官が、ちょっと目を通して、事件の現場を通り名まで記載してないとダメだと突っ返してきた。
「あちゃー、また公証人役場で150ペソ取られるのか?」
私はもうやめようかなあ、と思ったがここでやめたら結末がわからない。私の興味はもう完全に警察がいくら請求するのかの一点に変わっていた。
公証人事務所に戻ると先ほど対応した女性に説明すると、
「あーら、本当?」
というが早いか、さっと事件発生場所を追記して、私に今度は確認を促した。
「むむっ」
なんと申請人の私がFilipino Citizen(フィリピン人市民)になっているではないか? 私はすぐ問題箇所を修正してもらった。さあ、また150ペソかと思って彼女に言われる前に差し出すと、
「先ほどいただいていますから結構です」
この言葉に少しほっとした。150ペソよりも何回も何回もお金を請求されるんじゃないかというプレッシャーから解き放たれたからだ。
さて、いよいよと再度警察へ。
再び例の担当警察官。宣誓供述書の内容をざっと確認すると今度は、ささっとタイプする。
そして、署長のはんこ(押印)をもらって終わりというときに署長が外出中と判明。署長殿のお帰りを1時間待つ羽目に。
お腹のプクッとでた署長が戻ると、書類に目を通しもせず、押印し、担当者も無表情にポリス・レポートの完成品を私に手渡した。いくらと言ってくるかな、と固唾を呑んで彼の様子をしばし見守ったが何も行ってこない。こちらから「いくらですか?」というのはまさにやぶへび。しばらくそのまま待ち、彼と目が合った。
「その時もう終わりだ。帰っていいぞ」
と担当官の声。結局、警察署では1ペソの支払わずにすんだ。所要時間2時間。いい経験だった。
なお、帰国後、請求した保険料は、携帯を一年使用したということで15%減額されていたが、指定の銀行口座に申請後4日ほどで振り込まれていたことも申し添えておこう。
やれやれ、いずれにせよフィリピンの警察とは極力かかわりたくないものだ。
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