白野慎也のフィリピン・サリサリ・トーク

『旅の指さし会話帳』の著者、白野慎也がフィリピンの庶民生活への理解の深まる情報をお届けします。コメント大歓迎。投票もよろしく。

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 豊かな国々のための冬の祭典、冬季オリムピックがイタリアのトリノで開催中だ。報道は過熱気味だが、私の心は今ひとつ、この祭り騒ぎに乗っていけない。スキーにしろ、スノボにしろ、用具を揃えるだけですごい初期投資が必要だ。値段はピンキリだが、スノボの場合、ボードに始まり、ウェア、グラブ、キャップ、ゴーグルなど一式揃えるとすぐ10万円くらいになってしまう。そして板のメンテナンスも5000円単位である。
 10万円と言えば、46000ペソくらいであろうか。私の定職のある友人たちの5か月分の給料だ。夏のオリムピックはともかく、冬季オリムピックはやはり豊かな国限定のお祭りなのだと改めて思う。

 それはさておき、私も日本人、やはり日本人選手には頑張ってほしいのだが、スノボの競技前の今井メロ選手の発言にちょっとカツンと来た。
「メダルとかは、神様がくれるものじゃなくて、自分の力で取るものだから・・・・」
と言うものだ。フィリピン人に出会う前、日本の文化の中だけにどっぷり使っていた以前の私なら、
「しっかりしていて威勢のいい女の子だなあ」
の印象を持って、何事もなくその場限りで聞き流していたことだろう。しかし、今回は違った。

 このブログをよくご覧いただいている方なら、「またコイツ」と思われるかもしれないが、この発言はやはり問題があると思う。
 この世界では、日本のような実質無宗教の一部の国を除いて、ほとんどの国々の人々が神様の存在を信じているのだ。キリスト教にイスラム教、その他土着の宗教にも神様という絶対的存在はつきものだ。その絶対的なものの力を否定してしまうのだから大ごとだ。だからこそ、若きスノボ界の星、今井メロ選手の発言は、宗教に対する配慮と言う国際感覚に欠けるものとしてネガテヴィブな受け止められ方をしても仕方がないと思うのだ。

 私自身は『一応は仏教徒』、実態は無宗教人だ。しかし、自分と異なった信仰を持つ存在の人々のことをいつも強く意識し、そういう自分とは異なった生活・文化背景で育った人の価値観を尊重するのが、世界の常識だと思っている。

 だからこそ、『神様』に関する発言はひとたび日本の外に出たら、場合によっては日本国内でも気をつけなくてはならないと思う。また、義務教育の課程で、「世界にはこんな宗教があるんだよ」くらいの宗教に関する認識と、自分たちと異なった宗教観を持った人々を否定するのではなく、尊重し、共生するような方向付け祖する教育が不可欠だとかねてから思っているのだ。

 かく言う私も、以前、思いを寄せていたフィリピーナに
「僕は神様なんて信じない。君への愛だけを信じる」
なんていう甘い言葉のつもりで口にして、大ひんしゅくを買った挙句、物凄い平手打ちを食った経験がある。
 今思えば何たる無知、神様への不敬。恥ずかしい限りだ。

 また、時代をさかのぼれば、人気絶頂のビートルズが1960年代にフィリピンで公演した際に
「俺たちは神だ」
といった発言をして袋叩きにされそうになったこともあったと聞く。

 神様を心から信じている国の人々と付き合っている身として、今井メロ事件(?)は、少なくとも私にとっては、改めて『神様を信じる国の人々の心情への配慮をいつも忘れてはならない』という教訓を与えた出来事だった。

 島国日本、日本の中高年の方々の世界観についてにとこと言わせてください。
★世界には2カ国人しかいない
 私の母親を例に話しをします。我が愛する母はと言えば・・・ちょっと古い典型的な日本人の世界観の持ち主。つまり世界を構成しているのは『日本人』と『外国人』の2カ国人しかいないという世界観です。世界はこの2つの国籍の人々から成り立っていると思っています。日本人以外はみんなよその国の人『外国人』というわけです。そして外国人はみんな英語を話すと思っています。フィリピンのことは『ふいりぴん』と呼びます。フィリピン語はおろか片言の英語すらできません。
 こんなことがありました。愛する母君を馬鹿にするわけではないのですが、フィリピン人の友達から私の留守中、私宛に電話がかかってきたときのこと。私の母は「あなたのお名前なんですか?」 と英語で聞きたかったのですが、母君の口をついて出てきた言葉はな・なんと「What my name?」だったのです。そう、文法的にも間違ってますし、話し相手に「私の名前は何?」なんて聞いたら「この人おかしいんじゃない」と思われるのが落ちですよね。というわけで結局私が帰宅すると結局誰が私に電話をくれたのかもわからず、心当たりの友達に電話をかけまくって、電話の主にたどり着いたわけです。私は友達に「僕の母は英語はまったくダメで、本当は君の名前だけでも聞いて、電話があったことを僕に伝えたかったのだよ」と伝えました。彼女は本気で内の母がぼけているんじゃないかと心配してくれていた様子でほっとしたのもつかの間、『一般の日本人の英語力のすさまじさ』に感心したのか、突然大笑い。私もつられて大笑いしてしまいました。この話を母にフィードバックしたところ、さすがにプライドが傷ついたのか、今度生まれ変わったら『外人』に生まれて英語で苦労しないようにしたいわ」とちょっとふてくされていました。笑いものにしてすみません『我が愛する母上様』。ただ『外人』と言わず、せめて「アメリカ人」とか具体的な国名で言ってほしかったなあ。72になろうという母にいまさら英語をどうのこうの言うつもりはありませんが、フィリピン関係の仕事をしており、近々フィリピン人、いや『外人』と結婚しようかという息子をもつ母としてはもう少し広い世界観を持ってほしいなあといつも思っている次第です。
 あなたの近くにもこんな世界観を持っている人はいませんか?

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