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*写真は1991年の噴火でお馴染みのピナツボ山麗に暮らす、少数民族アエタ族の子供たち。火山灰で足は真っ白(本文とは関係ありません)
青年海外協力隊が発足してから今年で40年。その成果や援助のあり方をめぐっていろいろな議論はありますが、日本の若者に、第3世界を体感する貴重な機会を与えてきたことに、異論をさしはさむ余地はないと思います。
今日は、そんな協力隊の、フィリピンでの山岳部族対象の人口抑制プラン、すなわち家族計画プランの指導に従事した隊員Qさんのエピソードをご紹介します。
フィリピンでも、文明の恩恵を被っていない山岳民族が存在し、中央政府との交渉もほとんどありません。当然彼らはフィリピン語とは違った独自の言葉と文化・信仰を持っています。そんな土地で、彼はまずコンドームの普及を手っ取り早い方法として試そうとしたのでした。
住民を実験台にして実演するわけではないですから、始めはコンドームを木の枝に差し込んでデモンストレーションを行いました。数ヶ月して、ある村人が不機嫌な顔で彼の元を訪れていいました。
「君の言うとおり、コンドームを家の近くの木につけて使ったのに、女房は妊娠したぞ」
その言葉に、隊員Qさんは愕然。急遽村人を集めて、今度は自らの指にコンドームをはめて、不自由な言葉で、一生懸命に使い方を説明。
しかし、数ヵ月後、またしても別の村人が、憮然とした表情で彼の元を訪れていいました。
「お前の言う通り、コンドームを指につけて使ったのに、妻は妊娠したぞ」
その言葉に、隊員Qさんはまた愕然。再度、急遽村人を集めて、改めてはめるべき場所を何度も力説。自然物崇拝の強いその村では、『男性のあそこにかぶせる』ということがいくら言葉で説明してもわかってもらえなかったのでした。
これを機に、Qさんは、村人の各家を個別に訪問して個別に指導し、家の主人が拒めば、自ら実験台となり、文字通り身を呈して、コンドームの装着法を指導し、最終的には一定の成果を収めたということです。
文明世界との接触のない山岳自治区での活動。頭ではわかっていたつもりですが、『フィリピンはひとつじゃない』と、再認識させられたエピソードでした。
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