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日曜日の夕食は、やっぱりマクドナルドハンバーガーだ。僕はもうずっと前からそう決めている。 毎週日曜日の7時になると、僕は車を運転して僕の町にあるマクドナルドに行き、ドライブスルーでマクドナルドハンバーガーを買って食べるのだ。 明日からまたタイヤ工場の倉庫係だと思うととても憂鬱だったけど、日曜の夜にマクドナルドハンバーガーを食べると、また一週間頑張るぞ、という気になるのだ。 僕の町にはマクドナルドが2店舗あって、僕はなんとなくそのときの気分でどちらにするか決めていたけれど、その週はたまたまカーラジオでレナードスキナードの特集をやっていたので、聴きながらとなり町のマクドナルドまで行くことにした。 となり町のマクドナルドまでは30分くらいかかった。 僕は注文所のところに車を停めて、窓を開けた。 すぐにスピーカーから女性の声が聞こえてくる。 〈いらっしゃいませ。お客様、ご注文がお決まりでしたらどうぞ〉 そしてこの声を聞いた瞬間、僕は深い恋に落ちてしまったのだ。 それは、僕がこれまで聞いてきたどんな声とも違っていた。 とてもやさしく、それでいてどことなく官能的で、語尾に透き通るような響きがある。そんな素敵な声だった。 ――こんな声がこの世に存在するなんて。 〈お客様?・・・お客様、ご注文をどうぞ〉 「あ、ああ、すいません。マ、マクドナルドハンバーガーをください」 〈はい、かしこまりました。ご一緒にポテトとドリンクはいかがですか?〉 ――ご一緒にポテトとドリンクはいかがですか!! 「コ、コーラの大きいのをください」 〈はい、コーラのスーパーサイズですね、以上でよろしいですか?〉 「は、はい」 彼女の声を聞いているうち、僕は自分が抑えられなくなってきてしまった。 〈はい、ではお客様のお会計、合計で580円になります。お車をゆっくり前に進めてお待ちくだ――〉 「ねえ、ちょっとごめん」 〈はい?〉 「とつぜんで申し訳ないんだけど、僕と付き合ってくれませんか?」 〈はっ?お客様、なにを仰っているので――〉 「君の声はとても素晴らしく僕の心に沁みてきて、どうにもこの気持ちを抑えられないんだ」 〈お客様、なにを仰っているのですか?こ、困ります。急にそんなこと言われても〉 「びっくりさせてごめん。だけど、いちばんびっくりしてるのは僕だと思うんだ。思いがけずこんな声に出会ってしまって。ねえ、今からそっちに行くから、付き合ってくれるかどうか、返事をくれないか?」 〈今からそっちに行くって、そりゃハンバーガーを渡すから来てくれなきゃ困りますけど・・・。返事って言われたって〉 「これから先、ずっと君の声を聞くことができたら、僕はこの上なく幸せだよ。さっき突然そう思ったんだ。そして君だって、今よりももっとしゃべることが好きになれると思うんだ。考えてみて、それってとても素敵なことだと思わない?」 〈・・・〉 「じゃあ、今から行くから。いい返事を待ってるよ」 僕は窓を開けたまま、ドキドキしながらゆっくりと車を走らせた。 カウンターの向こう側から、彼女がマクドナルドハンバーガーの紙袋を手に持って僕を見下ろしていた。 数秒間、僕と彼女は見つめあった。 そして次の瞬間、マクドナルドハンバーガーと一緒に彼女自身が、カウンターを乗り越えて僕の車の窓から車内に入り込んできたのだ。 僕はカウンターにぴったり580円を置いて、助手席にすとんと座った彼女を振り返った。 僕が笑うと、彼女もニコッと微笑んだ。 「どこに行きたい?」 「海」 「わかった、海に行こう」 そのようにして、僕は彼女と出会ったのだ。 ―おわり―
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まいどっ!サイパンさん!ありがとうございます。はい、100名様の方に登録していただけました。びっくりです!それもこれもサイパンさんのおかげでございます。ありがとうございます。これからもなにとぞよろしくお願いいたしますぅ!
2006/10/12(木) 午前 0:54 [ 塩野崎バード ]
はじめましてゆきおと申します。すてき!心の奥がぽっとあったかくなりましたょ!
2006/10/12(木) 午後 1:21 [ - ]
ゆきおさん、こんばんわ!読んでいただきありがとうございます。ここのところちょっと寒いですから、ゆきおさんの心を少しでもあったかくして差し上げることができてとても感激です!ありがとうございます!
2006/10/13(金) 午前 1:19 [ 塩野崎バード ]
予想外の展開に塩野崎ワールドを感じました。マックの店員さんの声か。今度じっくり聴いてみようかな!
2006/10/13(金) 午後 4:44
ontakarinさん、こんばんわ!おお、読んでいただきありがとうございます!塩野崎ワールドなんて言っていただけると嬉しくて顔が赤くなってあかべこのようになってしまいます。ぜひ聴いてみてください。ですが、セットの飲み物を早めに確認したがる店員には素敵な人はいません(笑)。
2006/10/13(金) 午後 8:35 [ 塩野崎バード ]
うーん、さわやかな出会いに拍手。それにしても、一日に二編もの小説をアップしてしまうなんて、凄いですねぇ。脱帽です!!
2006/10/13(金) 午後 9:39
houshyoさん、こんばんわ!読んでいただきありがとうございます。いつも頭をかきむしって書いているので、たまにスラスラッと書いてみたくて、そういうのも載せたくて書庫を作りました。いいえ、凄いことなどではありません。お恥ずかしい。もうすでに頭をかきむしっております。ありがとうございます。
2006/10/14(土) 午前 2:13 [ 塩野崎バード ]
訪問ありがとうございます。いい話ですね。心があったかくなってきました。
2006/10/15(日) 午前 11:52 [ 犬好き ]
さきさん、こんばんわ!こちらこそありがとうございます。寒くなってきましたからね、あったかくして差し上げられてとても嬉しいです。読んでいただきありがとうございます!
2006/10/16(月) 午前 1:24 [ 塩野崎バード ]
ああ。良いです!!こういう出会い・・・☆ささ鳴きは声はよく褒められるので、この手使ってみようかしら・・・♪でも最終的には素顔がばれちゃうのが問題・・・?
2006/10/16(月) 午後 11:07 [ ささ鳴き娘 ]
ささ鳴き娘さん!読んでいただきありがとうございます!僕の人生経験上、声が素敵な人は120%素敵な人です。声は身の内から出てくるものですから、その人の本質をごまかしようがないのです。僕は、「できればしゃべるな」と言われることがよくあります。ささ鳴き娘さんがウラヤマシイです。ちなみに僕はサ行とタ行の発音が全然なっちゃいません(笑)。
2006/10/17(火) 午前 10:07 [ 塩野崎バード ]
マクドナルドだいにんきわたしマックだいすきだよー
2008/3/8(土) 午前 8:53 [ ゆの ]
えーんわしとななまりらせ
2008/3/8(土) 午前 8:58 [ みき ]
マックおいしいからだいすき!
2008/3/10(月) 午後 4:48 [ みう ]
マックだいだいだーいすき!
2008/3/10(月) 午後 4:51 [ まな ]
マックおいしいよー
2008/3/10(月) 午後 4:52 [ りお ]
巣瀬にてナイン若菜WE9UTQな鄭和に予感ナ手ウイ余話那須佳代たてU−RT9JWEU9TUWEOPUT09WEUかよわんていによせんこかいてよわみなんかよわていんなわかこよんていよわんなかよわていす
2008/3/10(月) 午後 4:53 [ んくんによ ]
わたしマックだいすきなんだーだからほぼ1週間に1回はたべてるよ
だからマックいつもこんでるってことはマックだいにんきってことー
いいなー自分のおみせがだいにんきってーわたしもしょうらいマック
ではたらこっかなーでもそのときにんきじゃなかったらどうしようでもきっとまだにんきだよねー
2008/3/10(月) 午後 6:17 [ ゆの☆ ]
お久しぶりです。古い記事にコメントしますが、なかなか良かったです。
2008/4/25(金) 午後 0:36 [ - ]
マヅ
2008/4/27(日) 午後 7:21 [ マ ]