汐'S ウチのおいしい!タビのおいしい!

世界で暮らしてタビして出会った美味しいものと、ずっとそばにあるウチの美味しいもの。エピソードのスパイスをつけて紹介しています。

オーストラリア プロローグ

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オーストラリア

大きな大地と大きな家族と大きなオーブン

 その頃特に仕事や生活について大きな不満や問題があったというわけではありませんでした。大学を卒業し、就職してそれなりに職場も上手くいっていたし、友人達と過ごす時間も楽しんでいました。でも、ふと仕事の途中オフィスの窓から空を見て「このままなのかな。」と思ってのです。このどこまでも続く空の下、もっと違う世界が広がっている。「行かなきゃ。」とにかくそう思いました。昔描いていた夢がよみがえり、もっとドキドキする気持ちになりたい。そんな思いに駆られました。一度そうなると居てもたっても居られません。気が付くと私はオーストラリア行きの飛行機の中でした。どうなるかわからない、不安もある、心配もある。でもそれを上回る希望もある。仕事を辞め、また新しいスタートのため日本を出発しました。
 私が暮らしていたのはNSW州とVIC州の境にあるコロワという人口8000人ほどの小さな町でした。ホームステイをしながらSt,Mary's Primary Schoolで日本語と日本文化を紹介する先生になりました。「より多くの人たちと触れ合って欲しい。」という学校の方針から1年間で計6家庭のホームステイをしました。それぞれの家族にそれぞれの個性があり、でもどの家族もおおらかで温かく私を家族に一員として受け入れてくれました。
 ホームステイはオーストラリアの普通の人たちと一緒に寝食をともに暮らすことです。寝ははっきり言って1人で行うことであるし、国が違ってもある程度は同じだと思います。しかし、食、これは国が変われば大いに違うように思うのです。今までの私の普通の食がどう変わるのか。ホームステイをして1番のぞけるのはその国の台所ではないかと思いついたのです。
 ステイ先の家庭が変わるたびのその家のキッチンに入り込み、ホストマザーと一緒に料理をして気に入ったレシピを集める事にしました。それはただレシピを集めるだけでなく、家族、特にお母さんとの関係を良くしてくれました。誰だって「これ美味しいね。作り方教えて。」と言われて悪い気はしません。一緒に料理をすれば自然に会話も弾みます。
 実のところ私は、日本で料理は食べる専門であまり得意ではありませんでした。そんな私にすべてもオーストラリアの母達は「ああしたほうが良い、こうしたほうが良い。」と親身に教えてくれたのです。そして何より魅力的だったのは大きなオーブンです。そのオーブンは時にはローストやキャセロールを作り、時にはビスケットやケーキを焼いたりしてこの大きな大地に暮らす大きな家族の大きな胃袋を支えているのです。そして時にはホームシックにかかりそうな私も気持ちも支えてくれたのです。

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