|
1998年2月、長野オリンピックが開催されました。それまで静かな山里であった世界中から大勢の人たちが集まり、一気に活気付きました。
当時大学生だった私は「国際ユースキャンプ」に参加しました。これは世界中から若者達が集まりオリンピック期間中、共同生活をしながらスポーツや文化を通じて国際交流を図ると言うオリンピック公式行事の1つです。この2週間オーストリア人のカーリンとフィンランド人のアイノカイザとルームメイトになりました。2人ともクロスカントリーの選手でそれぞれの国のジュニアナショナルチームメンバーです。英語もままならずお互いの生活習慣も違い、はじめはすべてがギクシャクしていました。しかし一つ屋根の下、数日間寝食をともにしていると気心も知れてきて、いつしか夜遅くまで語り合う仲になりました。別れの際は涙、涙・・・。再会を約束してさようならをしました。
「今度はこっちに遊びに来てね。」の言葉通り次の年、ヨーロッパを訪れました。真冬の2月、記録的な大雪が降ったアルプスの麓でカーリンは待っていてくれました。大きな暖炉のある暖かい家で彼女の家族は迎えてくれました。家のいたるところにカーリンと弟のクロスカントリーで取ったトロフィーやメダルが飾られています。夕方、私達も彼女のトレーニングについて近所の森のコースへ行きました。が、当然の如くカーリンと弟達との距離は見る見るはなれ、私と同行した友人は完全に散歩です。でもどこまでも広がる真っ白な世界の中、時折木々の間から夕日が射しこみ、なんとも幻想的な世界でした。
再び家に戻ると暖かい夕食が用意されていました。ほのかな明るさのライトの下、家族みんなワインで乾杯です。とても静かにゆっくりと時間は流れていきます。
カーリンの家に滞在している数日間で、普段私達は余計な音や光を使ったり、物を無駄に多く持ちすぎている気がしてきました。派手ではないけれど、彼女達はとても贅沢な暮らし方をしています。思えば1年前、カーリンは始めて日本を訪れ、日本の生活や文化に触れました今度は私が彼女を通じてオーストリアの生活に触れることが出来たのです。色々な国の友人を通じて肌で生活に触れる事により、世界が広がします。自分が外の世界を見て、もう一度日本のことが見えてきます。それはニュースや本の中ではなく、自分が体験をして、人と触れ合ってこそわかることではないでしょうか。冬のヨーロッパの長い夜、ワインを飲みながらいつまでも語り合うのでした。
さて、時はまた流れ2006年トリノオリンピックが開催されましたが、あの長野オリンピックのユースキャンパーの何人かが活躍していました。そしてルームメイトだったフィンランドのアイノカンザが銅メダルを取りました。長野オリンピックから8年、私はたいしたて出世していませんが、仲間の活躍に興奮した冬でした。
|