「昭和維新の歌」その解釈と鑑賞(四)
昭和維新の歌(四番)
昭和(しょうわ)維新(いしん)の春(はる)の空(そら) 正義(せいぎ)に結(むす)ぶ丈夫(ますらお)が
胸裡(きょうり)百万兵(ひゃくまんへい)足(た)りて 散(ち)るや万朶(ばんだ)の桜花(さくらばな)
文 法
昭和(名) 維新(名) の(助詞) 春(名) の(助詞) 空(名)
正義(名) に(名) 結ぶ(動・バ四・体) 丈夫(名) が(格助詞)
胸裡(名) 百万(名) 兵(名) 足り(動・ラ四・用) て(接続助詞)
散る(動・ラ四・終) や(間投助詞) 万朶(名) の(助詞) 桜(名) 花(名)
※ 活用形は文語文法による。尚、主要と思われる助詞には「種類」を付した。
語 句
維新
《「詩経」大雅の文王から。「維(こ)れ新(あらた)なり」の意》 すべてが改まって新しくなること。特に、政治や社会の革新。
丈夫
《「じょうぶ」とも。中国の周の制度で1丈(約2メートル)を男子の身長としたところから》りっぱな男。ますらお。
胸裏
胸のうち。心の中。胸中。
万朶
《「朶」は垂れ下がった枝の意》多くの花の枝。また、多くの花。
解 釈
昭和維新決行の晴れやかな春の空の下、正義をもって契り、同志として結集した立派な男たち。心中は必
勝の思いで、戦士たちの志気、人数とも十分に足りて有り余るほどである。(さあ挺身しよう)潔く万と散
る桜花のように‥‥。
鑑 賞
桜は『日本書紀』や『万葉集』にも出てくるが、『万葉集』では梅を詠んだ歌のほうがずっと多い。桜が花の代表的な位置を占めるのは、平安時代の『古今集』あたりからである。以降、桜は我々の間で親しまれ愛されてきたが、一方で桜は日本人の美意識、「はかなきもの」「もののあはれ」の象徴して、情緒的・感傷的にとらえられてきた。だが、この「昭和維新の歌」に出てくる桜は単に情緒的・感傷的なものにとどまらない。むしろ潔さ、逞しさすら感じるのである。桜は散って終わりではない。絢爛豪華に咲いた花は潔く散るが、すでにそのとき次なる豊穣な花の生命をその樹木に芽吹かせているのである。樹木全体は青々とした生命力に溢れる。桜は自ら散ることによって、後につづく豊穣な生命を育むという重要な役目を背負っているのである。 つづく
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2007/12/1(土) 午後 2:44
桜散る散る維新は明ける。
2007/12/1(土) 午後 7:34 [ hiromichit1013 ]
先生、これは意味深長なコメントです。私には理解しかねます。どういう意味なのでしょうか。どうか、是非お教えください。
2007/12/1(土) 午後 10:25
「皇国護りよ」という歌があって、その三番に「桜散る散る維新は明ける醜の御楯と吾も亦」という句があり、後に続くという意味です。それと同じことだと感じて書きました。
2007/12/3(月) 午後 6:03 [ hiromichit1013 ]
ありがとうございます。勉強になりました。是非「皇国の護りよ」という歌を鑑賞してみたいと思います。
2007/12/3(月) 午後 7:19
ここの部分の解釈はすごく難しいなあとなかなか書き込めませんでした。
三上中尉は、どういう心境だったのでしょうか?
正義に結ぶ→正義に帰結する
散るや万朶の桜花→蹶起の結果死ぬ
と滅びの美学のようでボクにはなじめません。
どんな場合にも軍人は最後まで戦い抜く栗林中将のような
方を尊敬してしまいます。
2007/12/9(日) 午後 8:14 [ 太郎ともも ]
もちろん傑作に○!
2007/12/9(日) 午後 8:14 [ 太郎ともも ]
「滅びの美」(broken blossom)と捉えるか、「より豊穣な実りを託す死」いわば昇華と捉えるかによって、解釈が異なってくるのだと思います。私がこの詩部分を感傷的な死と訳さなかったところをどうか咀嚼してください。
2007/12/9(日) 午後 9:40
「絢爛豪華に咲いた花は潔く散る」はソメイヨシノで、ソメイヨシノは江戸時代中期までありませんでした。それ以前の桜は、山桜で、花が咲く前に葉がでます。さらに、花がいっせいに散ることもありません。
2015/1/21(水) 午前 5:05 [ bonbu_desu ]