ミグ25事件の教訓(2)
教 訓
この事件の教訓はいくつかある。まず、「A−1」といわれる情報にわが国が頼りすぎていたということである。今日、この情報収集の甘さが教訓となって、多くの国にわが国の駐在武官(防衛駐在官)が派遣されており、また十分とはいえないまでも独自の偵察衛星を持つまでに至った。これは評価してよい。
しかし、政府の国防に対する認識はどうであろうか。北朝鮮が核実験を行った際、久間防衛庁長官は「今回の事態でもって周辺事態法適用というのは拙速である」と明言した。また、安倍首相も当初の主体的意気込みからすると、明言を避けあいまい路線を歩んでいるように思われる。自衛隊にしろ、北朝鮮制裁における船舶検査が話題に上ったとき、尻込みするような発言があった。自己保身的官僚イズムが蔓延ってはいないだろうか。また陸海空自衛隊の連携は機能しているのであろうか。縦はもとより横の連携、意思統一はなされているのであろうか。各省庁間でこうした予期せぬ非常事態に対する事前協議や対策が積み上げられているのであろうか‥‥。
私が見る限り、現状は30年前の「ミグ25事件」の時と何ら変わっていないように思える。喉もと過ぎれば熱さを忘れる、といったことの繰り返し。北朝鮮というわが国にとって現実的な脅威が身近にある以上、いい加減に政治家や関係者は自分の問題として目を覚ましたらどうか。本気でこうした危機管理問題に取り組まなければ取り返しのつかないことになる。また政府は、防衛庁を防衛省に格上げしたいといった表面的な改革に固執するのではなく、他の省庁と同様、まずは官僚化した自衛隊組織にしっかりメスを入れる必要がある。国防というのは国の要である。言うまでもないが、こと国防に関しては事態が起こってからでは間違いなく手遅れなのである。致命的にならないよう日頃からあらゆる状況を想定して、即時、事態に対応できる体制を確立しておかなければならない。少なくとも「ミグ25事件」のときのように、第一線に立つ現場の指揮官が戸惑うような状況があっては断じてならない。
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