「昭和維新の歌」その解釈と鑑賞(二)
昭和維新の歌(二番)
権門上(けんもんかみ)に傲(おご)れども 国(くに)を憂(うれ)うる誠(まこと)なし
財閥(ざいばつ)富(とみ)を誇(ほこ)れども 社稷(しゃしょく)を思(おも)う心(こころ)なし
文 法
権門(名) 上(名) に(助詞) 傲れ(動・ラ四・已) ども(助詞・逆接の恒常的条件)
国(名) を(助詞) 憂うる(動・ハ下二・体) 誠(名) なし(形・ク・終)
財閥(名) 富(名) を(助詞) 誇れ(動・ラ四・已) ども(接助詞・逆接の恒常的条件)
社稷(名) を(助詞) 思う(動・ハ四・体) 心(名) なし(形・ク・終)
※ 活用形は文語文法による。尚、主要な助詞には「種類」を付した。
語 句
権門 ‥‥ 官位が高く権力・勢力のある家。また、その家の人。
傲る ‥‥ 地位・権力・財産・才能などを誇って、思い上がった振る舞いをする。
憂う ‥‥ よくないことになるのではないかと心配する。心を痛める。また、嘆き悲しむ。
誠 ‥‥ 私欲を離れ、心をこめて物事に対する気持ち。
誇る ‥‥ すぐれていると思って得意になる。また、その気持ちを言葉や態度で人に示す。自慢する。
社稷 ‥‥ 朝廷または国家。
解 釈
高級官僚たちは自分たちの地位に思いあがり、まるで国家国民を心配する誠意がない。財閥たちは財閥
たちで、自分たちの豊かな財産を自慢はするが、国家を心配する心がまるでない。
鑑 賞
守屋元防衛事務次官の問題は言うまでもなく、こうした問題は高級官僚全体の体質的な問題である。今回の守屋の事件は、腐敗した官僚組織全体のたかだか氷山の一角にすぎない。元防衛庁審議官太田述正氏は、「官僚や政治家の賄賂や汚職、口利きなどは(防衛省に限らず)全省庁当たり前なことで、守屋は脇が甘かっただけだ」と公言してやまない。下級公僕にしても、やたら権威的に振る舞い、虎の威を借る狐のごとく傍若無人に振舞う輩がなんと多いことか‥‥。
企業は企業で、自分たちの利益だけを優先・追求し、いつでも首を切れる非正社員の数を増やし富を貪っている。新製品をどんどん世の中に送り出し、一方で古い製品はその維持・修理などのアフターサービスを早々に切り上げ、消費者に負担を強いている。この時代、使い捨てを奨励するような企業のあり方であってよいのだろうか。物を大切にするといった本来あったはずの日本人の美徳を蹂躙し、人心を蔑ろにするそんな企業のあり方が、ひいては日本の伝統文化を蝕んでいく‥‥。
嗚呼「昭和維新の歌」に込められた憤りは、今尚我々庶民の憤りを代弁しているではないか‥‥。
つづく
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