北朝鮮問題

硬軟、落差の激しい不思議なブログ

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久間発言ははたして問題なのか?

イメージ 1 これまでの久間防衛大臣の発言には確かに問題があった。過去に日本も同意したイラク戦争を批判したり、アメリカ政府の政策批判を繰り返していた。一昨年12月にも「日本は政府として(イラク戦争を)支持すると公式に言ったわけではない」と参院外交防衛委員会で答弁し、翌日「私の間違いで認識不足だった」と発言を撤回、失笑を買ったこともあった。

 また以前、北朝鮮の核実験実施について「核実験をやっただけでは周辺事態認定にならない。緊張状態が高まってくれば認定できる」と述べたこともある。その前に北朝鮮のミサイル発射実験があったのだが、何をもって「周辺事態」というのであろうか、と当時からその防衛大臣(当時長官)としての見識に疑いをもっていた。

 さらに「米国に向かっているミサイルを撃ち落とすことはできない。憲法を改正しないと難しい」と発言したこともあった。「日本に向けられたミサイルだけはアメリカと協力して対処することが出来るが、アメリカに向けられたミサイルはわが国には関係がない」と公然と言い放ったこともある。

 こうしたこれまでの久間氏の発言は、確かに防衛大臣としての見識を疑うに十分すぎるほどの無見識、無知・無能ぶりを披瀝したものであった。しかし、今回の発言はそれとは少し趣が違うものではなかったか。久間大臣の発言は以下の通りである。

 日本が戦後、ドイツのように東西が壁で仕切られずに済んだのは、ソ連の侵略がなかったからだ。米国は戦争に勝つと分かっていた。ところがなかなかしぶとい。しぶといとソ連もでてくる可能性がある。ソ連とベルリンを分けてみたいになりかねない、ということだから、日本が負けると分かっているのに、あえて原爆を広島と長崎に落とした。8月9日に長崎に落とした。長崎に落とせば日本も降伏するだろう、そうしたらソ連の参戦を止められるということだった。

 幸いに(戦争が)8月15日に終わったから、北海道は占領されずに済んだが、間違えば北海道までソ連にとられてしまう。その当時の日本は取られても何もする方法もないわけですから、私はその点は、原爆が落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったんだ、という頭の整理で今、しょうがないな、という風に思っている。

 米国を恨むつもりはないが、勝ち戦ということが分かっていながら、原爆まで使う必要があったのか、という思いは今でもしている。国際情勢とか戦後の占領状態などからいくと、そういうことも選択肢としてはありうるのかな。そういうこともわれわれは十分、頭に入れながら考えなくてはいけないと思った。

 私は、今回の久間発言にはどこにも間違ったところ、あえて国民の前で謝罪・訂正しなければならないような無見識・無知・無能なところはなかったように思う。

 原爆が非人道的で惨たらしい兵器、地球上から根絶しなければならない兵器だと思うようになったのは、原爆が実際に投下され、その惨状や実際の効力を世界が知って後のことである。当時、戦争に勝つために対戦国同士が互いに様々な兵器を考案・製造し、より相手を打ち負かすために強力かつ有効な兵器製造に凌ぎを削っていたことは想像に難くない。たまたまそれが核兵器であったというだけで、それを現在の価値観でもって一方的に非人道的兵器であったと裁断するのは、あたかも「慰安婦問題」を現在の価値観でもって裁断するのと酷似しているように思える。

 原爆が日本に落とされた背景には様々な要因があったといわれている。例えば、同じ対戦国ドイツには原爆が使われなかったのは、白人と有色人種との差別があった、あるいは、アメリカが戦後の世界戦略を睨み、ソ連に対する威嚇・示威のためにあえて日本に原爆を投下した、などと様々な推論や研究がなされている。当然、ソ連が日本との不可侵条約を一方的に破り、対日戦に参戦してきたことを考えれば、久間大臣が言うように、原爆が日本に投下されたがためにソ連の本土侵攻を阻んだ、という推論も成り立つのである。いや、むしろそう考える方が妥当なのかも知れない。

 今回、久間発言が問題になった背景には、日本人特有の核アレルギー、つまり世界で唯一の被爆国であるという、ある種国民的被害者意識、それにまつわる核禁忌(タブー)意識があるのではないか。まして参院選挙を控え、与党にとっては迷惑な、野党にとっては絶好の失言としてこの発言が捉えられたのではないかと思われる。

 久間大臣は1日昼、長崎県島原市内のホテルで記者会見し、米国の広島、長崎への原爆投下を「しょうがない」とした自身の発言について「これから先、一切そういうこと(発言)はしない」と述べ、事実上撤回したという。さらに「長崎、広島、全国の皆さんに大変申し訳なかったという気持ちだ」と陳謝したという。だが、これはまさに現代のガリレオ裁判ではないだろうか。

 日頃私はこのブログの中で、韓国の前近代的な政治手法を非難してきている。与党も野党も「反日」で自身の求心力を高め、マスコミも異口同音にそれを煽ることによって、韓国の国体というものを維持してきた。最近の例では政府の諮問機関「親日反民族行為者の財産調査委員会」によって、戦前日本に協力的であったという人たちの子孫の財産を没収するという、とんでもない政策がまかり通っている。韓国には言論の自由はなく、まして「親日」はタブーなのである。

 しかし、はたしてわが国もこうした馬鹿げた韓国の実態を笑えるのだろうか。それと同じようなことがわが国でもまかり通っているのではないだろうか。久間発言は確かに大臣の発言としては軽率であったかも知れない。しかし、それを与党も野党もマスコミも、寄ってたかって非難し、反論の一切を拒絶するという風潮は、言論の自由を自認するわが国にとっていかがなものであろうか。

 原爆は確かに非人道的な兵器である。まして、それによってわが国は他に類を見ないほど甚大な被害を被った。核兵器使用に対しては、他の国の人たちよりも数倍実感としてその使用に強く憤りを覚える。しかし、だからといって、原爆投下によってわが国が被った被害と悲惨さを、当時アメリカが政治的・戦略的な意味で使用した現実と混同して論じてはならないのではないだろうか。日本が受けた被害という現実がある一方で、その原爆の投下が戦争の終結を早め、ソ連の本土侵攻を阻んだという一方の現実も確かに否定できないのではないだろうか。原爆投下の悲惨さ非道さといういわば「感情論」と、厳然とした戦略上の史実としての「現実論」を混同してはならないのではないかと思う。

 これまでの久間大臣の数々の発言は、確かにいろんな意味で問題があった。はっきり言って久間氏は「防衛大臣」としての器ではない。しかし、今回の発言に限っては決してその発言を撤回しなければならないような、史実に反するような発言ではなかったように思う。防衛大臣が云々という前に、意見を意見として、史実を史実として堂々と発言できないような、ある種意に沿わなければ封殺されてしまうような、わが国の風潮がむしろ問題なのではないかと思う。

 今回の問題が、韓国の「親日派狩り」、アメリカ下院での「慰安婦決議」とダブって見えたのは、はたして私だけであろうか‥‥。

                        追    記

イメージ 2 1997年にワシントンにある『スミソニアン博物館』を訪れたときのことである。左の写真にあるように日本に原爆を投下したB-29爆撃機(エノラゲイ)がさも威風堂々と展示してあった。私はそれを見たとき、当然日本人として強い憤りを覚えた。しかもそのとき、アメリカの在郷軍人会 らしき一行がやってきて、そのエノラゲイの前で勝利の歓声のようなものを上げていた。私はその様子を見て、とても腹が立ち、気分が悪くなった。しかし、それはそれ。これも歴史のまぎれもない事実なのである。心情としてのやり場のない憤りと、振り返りたくもないこの歴史的現実を、厳粛に受け止めなければならないと思った。

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