北朝鮮をめぐる最近の米中の動き
米国のAP通信が去る10日、北朝鮮にある新しいミサイル発射基地の存在を、あたかもスクープ記事であるかのように報じていた。前日の9日、建国60周年記念式典に金正日が姿を見せなかったことで、金正日の重病説が報じられたが、まるでそのタイミングを見計らったかのような報道であった。ミサイル発射基地の報道は、米国の一民間シンクタンクが報じたもので、それを米国情報機関関係者が「ずいぶん以前からその存在は承知している」と追認した形をとっていた。韓国情報当局も、そのミサイル発射基地の存在を以前から注視していると追認している。北朝鮮も、すでにそのミサイル基地の存在は米国に知られていることは承知済みなのであろうが、米国がここへきてあらためてその存在を指摘したことは、米国側の揺さぶりと見ていい。
中国報道官は10日の記者会見で、金正日重病説(脳卒中)の報道について、その真偽については認識していないとコメントしていた。ところが翌11日、中国外交情報筋は「金総書記が脳卒中の後遺症である痙攣を起こしているという情報は、建国記念の数日前に平壌を訪問した際、金総書記に会った中国側の高位クラスの要人が中国当局に報告したことだ」と語っている。つまり、中国政府は公式には友好国北朝鮮を庇っているように見えるが、実はそれとなく北朝鮮に揺さぶりをかけていると見ることができる。
遡って、ここ一連の北朝鮮にまつわる報道を並べてみると次のようになる。
5月27日 中韓「戦略的パートナー関係」の締結。
6月18日 米ライス国務長官、北の「テロ支援国家指定解除」を示唆。
6月27日 北朝鮮、寧辺の原子炉冷却塔を爆破。
7月11日 米「テロ支援国家指定解除」を延期。
8月14日 金正日「脳卒中」報道(ワシントンポスト)。
8月15日?中国人民解放軍所属の医療陣3人、8月中旬に訪朝。
8月17日 フランス能神経外科医訪朝。未だ離朝せずとの報道。
8月22日 金正日倒れるとの報道(朝鮮日報)。
8月26日 北、寧辺核施設無能力化を中断。
8月27日 韓国、脱北女スパイを摘発。
9月04日 北、「拉致問題調査委員会設置」延期の通告。
9月09日 金正日「建国60周年記念行事」を欠席。
9月10日 米メディア「北に新たなミサイル発射施設」が判明と報道(米韓情報筋追認)。
9月10日 中国、「金正日重病説」について認識していないとコメント。
9月10日 米中、北「不測の事態」に備えて話し合いを開始。
9月11日 中国外交筋、金正日の「脳卒中」建国60年記念行事前から認識していたと認める。
こうした経緯をあらためて見てみると、明らかに北朝鮮包囲網が米中を中心に着々と進められているのではないだろうか。6者協議の議長国である中国は、明らかに北朝鮮に対し、国家としての見切りをつけた。米国もこれまで散々北によって仕掛けられてきた陽動作戦を、今度ばかりは逆に仕掛けているようにさえ思える。韓国は、「金剛山射殺事件」はともかく、今回の「脱北女スパイ逮捕」の一件を見ても、以前からこの女スパイの動向を把握していたにもかかわらず、このタイミングで暴露した。日本はいうまでもなく、拉致問題で北朝鮮との関係は険悪である。
韓国は、今回の一連の事態を受け“北朝鮮急変対策”を全面的に見直し、新マニュアルを作成中であるという。米中央情報局(CIA)分析官であった米シンクタンク、ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員は11日に発表した論文で、北朝鮮の体制崩壊への対応を整えるためにも、ブッシュ米政権が韓国側に対し「概念計画5029」をめぐる交渉を早期に妥結するよう働きかける必要性があると指摘した。
米・中・日が足並みを揃えて北朝鮮に迫ろうとしているときに、肝心な韓国がまごついているのは金大中以来、韓国前左派政権の残した負の遺産が禍しているのである。「概念計画5029」というのは、こういうときのために検討されようとしていた米韓の協力作戦計画。それを対北抱擁政策といった馬鹿げた政策によって反故にしてしまったのは前政権なのである。あらためて10月に米韓は話し合いをもつというが、本当に困ったものである。なお、「概念計画5029」については、参照を是非ご覧いただきたい。
朝鮮では、9月14日は「秋夕(チュソク)」といって日本のお盆に当たる。毎年この日に金正日は公共の前に姿を現しているが、今回この日に姿を現さなかったら、これまで報じられてきたように金正日の容態はかなり深刻だと見ていい。今後の成り行きに注目していきたい。
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shiraty5027
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