脱北女スパイ事件:北の思惑?(頭隠して乳隠さず)
北朝鮮、脱北女スパイ事件を「ねつ造の謀略劇」と反発
脱北者を装った北朝鮮工作員らが韓国検察当局などに摘発された事件で、朝鮮中央通信は3日、祖国平和統一委員会報道官の談話を伝え、「事件は資料を捏造(ねつぞう)した完全な謀略劇だ」とし、李明博(イミョンバク)政権を非難した。
北朝鮮側が事件に反応を示したのは初めて。
談話は2日付。事件で起訴された元正花(ウォンジョンファ)被告(34)の名前には触れず、「北朝鮮で無料教育、無料診療の恩恵を受けた」にもかかわらず、詐欺や窃盗を繰り返したと指摘。「法の裁きを逃れるために不法越境して南朝鮮(韓国)に逃げた醜い人間」とこき下ろした。元被告の共犯として逮捕された継父(63)についても、「職を転々とした怠け者で人間のくず」と決めつけた。
北朝鮮は2人が工作員であることは否定しているが、こうした形で北朝鮮出身者だと認めるのは極めて異例。
談話は今回の事件について、「我々に対する重大な挑発だ」と指摘した。
( 『 読売新聞 』 2008年9月4日01時38分 )
記事がいうように、北朝鮮が一部事実を認めることはきわめて異例である。ラングーン事件(1983年)のときも、北朝鮮側は事件を「韓国が北朝鮮を陥れるために起こした自作自演の事件である」と反発していた。また、大韓航空機爆破事件(1987年)のときも、北は事件への関与を否定しており、韓国当局による「自作自演」だと主張していた(いまだにそれを認めていない)。確かに今回、元正花らを北が放ったスパイだと認めてはいないものの、彼女らが北朝鮮出身者であることは認めているのである。これは大変異例なことである。
容疑者である元正花は、検察当局に「自分のめいは、北朝鮮ナンバー2の金永南最高人民会議常任委員長の息子と結婚した」と供述している。他にも北朝鮮での自分の経歴を検察側に供述しているが、そのことについて韓国にいる北朝鮮元高官の脱北者から、経歴を偽装しているのではないかとの疑問が出ている。元正花は「金正日政治軍事大学で工作員訓練を受けながら朝鮮労働党の関連団体で勤務した」というが「同大学に入学すれば外部との接触を遮断され兼務などできない」、あるいは「特殊部隊の訓練を平壌中心部で受けた」というが、「訓練を平壌中心部で行うことはない」との指摘である。他にも家族構成についての疑問も続出しているという。
検察幹部は、経歴内容の大部分は裏付けを取っていないことを認めながら、「問題なのはスパイという犯罪行為だ」と開き直っているが、元正花の供述はかなりの部分で信憑性があるのではないか。彼女は、北からの指令を実行することができなくて、いつ北の刺客に殺られるかも知れないと恐怖に脅え、自宅マンションに4つも鍵をかけていたという。つまり、我々が抱く「スパイ像」からはかなりかけ離れた、人間くさい、小心な一面を現しているのではないだろうか。もし、それも大掛かりな芝居であれば話は別だが、大抵そうした人間は保身のためにペラペラと、予想以上に本当のことを供述してしまうものである。
元正花容疑者が供述しているように、もし彼女らが北朝鮮ナンバー2の金永南最高人民会議常任委員長と親戚関係にあるとしたら、今回北朝鮮当局が彼女たちを北朝鮮出身者であることを認めたことが頷けるのである。要するに、北朝鮮最高幹部に対する忠義。彼女らを奪還したいというシグナルといっていい。つまり、彼女らを「北の刑事犯」として引渡しを要求する口実になるのである。もちろん、両国には「犯罪者引渡し条約」なるものは存在していないだろうが、詐欺や窃盗犯としてなら、実現は難しいとはいえ大義名分にはなり得るのである。おそらく、今回、北が彼女らの出生まで全面否定しなかった理由はそこにあるのではないだろうか。何度も言うようだが、北朝鮮は分かり易い。韓国側が今後この事案をどう処理していくのか、はたまた北朝鮮側が彼女らの奪還に向けてどのような手を打ってくるのか、ワクワクしながら見守りたい。
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shiraty5027
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