味をしめた北朝鮮と揺るぎない米外交基調
北朝鮮、2人目の米国人の拘束を通報と 国務省が発表
北朝鮮の朝鮮中央通信が28日、中朝国境を越え不法入国した米国人1人を拘束したと報じた問題で、米国務省のクローリー次官補(広報担当)は29日、北朝鮮当局が国務省に2人目の米国人を拘束していると伝えてきたことを明らかにした。この米国人の拘束の経緯や身元などは不明。
北朝鮮は昨年12月29日にも、中国との国境を越えて不法入国した米国人1人を拘束したと発表。今回の通報は、2人目は12月の人物とは異なることを明確にした形となっている。朝鮮中央通信は2人目を調査中としている。 ― 以下省略 ―
( 『 CNN 』 2010.01.30 13:12 )
昨年3月、中朝国境付近で米国人の女性記者2人が不法越境したとして逮捕され、強制労働12年の判決を受けた。だが、クリントン元大統領の訪朝によって金正日総書記の恩赦を得、2人の記者は釈放された。北朝鮮の思惑(人質外交)に米国がまんまと嵌ってしまった格好である。
北朝鮮という国(正確には地域)は内政的には虚構の連鎖(金日成の出自の嘘、国史の嘘、朝鮮戦争の嘘等々)であり、外交的には「はったり」を軸にゆすり・たかりといった恫喝外交が基本である。いうまでもなく、これは北朝鮮建国以来の一貫した姿勢である。
米国はことあるたびに北朝鮮の「はったり外交」に屈してきた。古くは1951年7月、朝鮮戦争の最中、北朝鮮側の開城で第一回の休戦会議が行われたときである。そのとき北側は米側(国連軍側)に対し白旗を掲げて会議に臨むように要請してきた。会議場に来る際、米側交渉団に不測の事態があってはならないというのが表向きの理由であった(白旗はあくまで目印にという意味で)。ところがその構図は、あたかも米側交渉団が北側に降伏を申し出てきたかのような印象を世界に与え、実際、北側はそれを大いにプロパガンダに利用したのである。その会議の席上でも、北側代表団の座席は米側代表団の座席より高く設えられ、北側代表団が米側代表団を見下ろすという構図になっていた。これも北側の意図的・計画的な策略であった。誰にでも分かる見え透いた稚拙な謀略。しかし、その単純明快な謀略に、簡単にしかも快く引っかかてしまうお人よしの米国人‥‥。間抜けというほかない。
一事が万事。以来、「プエブロ号事件」(1968年)では人質解放のために屈辱的な謝罪文に調印させられたり、近年では核開発撤廃の嘘による「朝鮮半島エネルギー開発機構」(KEDO)の挫折など、ことあるたびに米国は北朝鮮のはったりと恫喝に屈し続けてきたのである。米国は北朝鮮との交渉ごとにおいてはいつもこの調子。百戦百敗というのがここ60年の実態である。
当ブログではこれまで、その米国人の能天気ぶりや不甲斐なさを激しく非難してきた。北朝鮮が米国を恫喝しはじめると米国人は最初は猛烈に怒りを顕にするが、しばらくすると何事もなかったかのように妥協してしまう。つまり、北が十分に主張を通したあと少しだけ譲歩してみせると、米国人は新鮮な感動をもって諸手をあげてそれを歓迎し、しまいには感涙に咽びながら笑顔で妥協してしまうのである。ことあるたびに北にコケにされ続ける米国人‥‥。それは政権が共和党であろうと民主党であろうと関係ない。懲りない米国人、歴史から学ぼうとしない米国人。こいつら本当に馬鹿なのか‥‥。
ところが最近あることに気がついた。この北朝鮮に対する米国人の度重なる「学習能力喪失」という現象は、単なる「天然ボケ」という国民性的疾患によるものではなく、実は多分に故意によるものではないかと思うようになったのである。つまり、米国人の国益からすれば、我々が期待しているほど北東アジア、なかんずく北朝鮮などには関心がなく、たとえ北との間で大恥をかかされようが、北が米国の直接的な脅威にならない以上(米本土に弾道ミサイルが飛んで来るとか)そんなことはどうでもよく、米国の国益にとっては痛くも痒くもないのである。むしろ米国にとって大事なことは、国内の経済問題であり、外交でいえば直接的な脅威になる中東や、経済的に相互依存の強い中国との関係なのである。北朝鮮とのもめごとは、むしろ中国との関係において妨げになる。
正義や面子などどうでもいい。謝って済むのなら謝ってしまえ。妥協で解決するのなら妥協してしまえ‥‥。日ごろ自由と平等、正義と博愛を自認する米国人の口先だけの理念と、「恥を思わば命を捨てよ」といった日本人の道義的美意識が合致しているといった我々の過度の思い込みが、米国人に対するあらぬ幻想と誤った期待を抱かせてきた(拉致問題解決協力然り)。そのため、ことあるたびに我々は米国人の予期せぬ意外な行動に、挫折感と失望感を味わわされてきたのである。だが、前述したように米国は自国の国益にのみ惜しみなく「力」を発揮するのであり、直接的利害がない場合には表向き同情こそすれ、その実興味も関心もなく、基本的に関与しないのである。それは米国に限ったことではない。馬鹿げた「友愛」を真面目に国策とする稀有な国以外は、どこの国でも自国の「国益」を中心に当たり前にそう考え、それを基準に行動しているのである。
おそらく北朝鮮は、前回の2人の米国人女性記者の拘束に味をしめた。引き続き、今回このような事件を相次いで引き起こした。今後も北朝鮮は火傷をしない程度に、この「人質外交」を展開、繰り返していくことであろう。もちろん、米国人の「恥を恥としない」外交基調をしっかりと見据えながら‥‥。
shiraty5027
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